【ビジネス】新しい場所で
シンガポールに移って仕事をして1年2ヶ月。
新しい会社を立ち上げて、自身がそこに籍を移してからだと3ヶ月目に入る。
確かに自分が言い出しっぺだったし、それこそ8年前の採用面接で構想をお伝えしていたことをやっているわけなんだけれど、自分がここにいて、それをやっているということが、どういうわけだかちょっと不思議…^^;
ベースはドメドメの地場証券上がりの自分。
英語もロクに話せないし、ヘッジファンド業界に関しては、多少なりとも知り合いはいても、まだまだ未知のことばかり。
なんでもかんでも頭文字繋げて短縮するのにも辟易としている始末だし。
生きてきた世界とはやはり違う。
その世界では多少なりとも顔も名前も知ってもらって、それなりにネットワークも作ってきたし、信頼できる人たちに囲まれて、居心地もよかった。
それなりに知識もあると思われていただろうし、それで十分にやっていけた。
でも、こっちの世界に来ると知らないことばかり…。
最初のうちは、あっちでも、こっちでも「すいません、今の言葉知らないので教えてください」の連発だった。
必死に色々と勉強して、なんとか理解できるようになって、色々と前に進めては来たけれど、運用者(ディーラー)として生きてきた20数年、マネジメントに専念するようになってからの数年、それがまるで役に立たない。
全く違う分野の仕事をしている気分(これから過去の経験も生きてくるのだろうけれど)。
うんざりするほどの英語の契約書、書類…合計すれば数百ページにおよぶ。
ちょっと気が遠くなる。
自分のことなんて全く知らない人たちの中で、ある意味そんなド素人の自分がイチから信頼関係を作っていかなきゃいけない。
「やるっきゃない」
で、やってきてはいるけれど、自分が生きてきた世界にいれば楽は出来たのだろうな…とちょっと思ったりもしなくもない。
こっちの世界に来て、今まで自分が生きてきた世界がどれだけ狭く、閉ざされた世界だったのかを思い知らされることも少なくない。
でも新しい道を切り拓いたり、作っていこうとするならば、誰かがチャレンジしていかないといけないしね。言い出しっぺの自分がやるしかないもんなw
「ユニークな取り組みですね」
この数ヶ月で何度も言われた言葉。
こういう仕組みを作ろうとしているヘッジファンドはあまり例がないらしい。
でもその世界を目指す若い世代の人たちが、それを目指すための具体的な道筋を作っていく。
そこで成功者を生み出すこと。
それが憧れにもつながり、また新たな若い世代が挑戦してくれる。
そうやってバトンが繋がっていかなければいけないのだと思っている。
個人投資家でもそうだと思う。
素晴らしい著名個人投資家の人たちがいて、それに憧れる若い人たちが沢山増えた。
それがまた次へとバトンが繋がって、個人投資家には素晴らしい運用者も沢山いると思う。
でもヘッジファンドのマネージャー、プロの運用者は狭き門。
閉ざされがちな世界で、なかなかそこにたどり着く道筋も見えない。
『頂点を高くしたいのであれば、裾野を広げることが大事なんだ。』
自分が常々思っていたこと。
その裾野を広げる取り組み。
未経験者や若い世代がチャレンジできる環境。
先輩が後輩を教えるという当たり前の景色を取り戻すこと。
それに数年かかった。
でもみんなが応えてくれたから、次の挑戦をしなければならないと思えるところまでになった。
本当は自分よりうまく出来る人がいるのではないかとずっと思っていたけれど、もうそんなことは言っていられないしね。
こっちのプロの人達にしっかりと認めてもらえるだけのプロに自分自身がなってみせなければ、信頼してくれる後輩たちに申し訳ないし。
いくつになっても学ぶことは出来る。
新しい知識、新しい経験。
今月で50歳になろうといういいおっさんだけれど、しっかり学んで成長して、後輩たちの道をしっかりと切り拓いていきたい。
そしてそんな挑戦をこの歳になっても出来ることに感謝し、前を向いていきたいと思う。