FC2ブログ

【トレード】損切りが出来ない人へ⑧

ディーラーで「月間損失限度額」を頻繁につけてしまう人や、利食いに比べて損失が大きい人って、これまで書いてきた「リスクと向き合う」が十分にできていない人が多い。

「リターン」にばかり目が行き、「リスク許容度」に合わせたポジション量に抑制することが出来ていなかったり、ロスカットラインを考えずに「上がるだろう」だけでポジションを取ってしまう。そこには「下がるかもしれない」というリスクに対する発想が欠如していたりする。

「そんなこと考えていたら勝負なんてできねーよ。」

と思う人もいるかもしれない。
でもそんなことはないと思う。
「下がるかもしれない(リスク)」と考えて、下げた場合の最大リスクがどの辺りなのか、様々なファクターから自分なりに考察し、「上がるだろう(リターン)」とのバランスを見極めたうえで、リスクに比べて十分なリターンが見込めると判断すれば、十分に勝負できる。

本来は、これをポジション作るときに考えなければならない。
最初にそれが出来ているからこそ、メンタル面での余裕も生まれる。
最大のヤラレがいくらと分かっているのだから。

VaR(バリュー・アット・リスク)とか、基本的なリスク管理プロセスにも、そういった視点がちゃんとある。

どんな取引においても、リスクと向き合う姿勢がちゃんとできているからこそ、悪い状態になったときでも冷静に自分を保てるし、適切な判断も下せる。
盲目的にリターンしか見ておらず、リスクに目を瞑ってしまっていたら…リスクが顕在化したとき、ストレスと感情とやせ我慢に振り回されることになる。そしてストレスにさらされ続け、もし値が戻ってきても、「やっと戻ってきた。これで損をしないで済んだ。」と「ヤレヤレの売り」で終わってしまったり(抱えていた評価損に対してのリターンが小さ過ぎる。非合理的なトレードだし、相場に救われる典型)、どんどん追い込まれてどうしようもなくなって現実逃避の「塩漬け」にするか、強制的に切らされる「強制ロスカット」ことにもつながる。そしてそういった人たちが「損切りが出来ない人」であることが多い。

負けたときですら、想定の範囲内であること。

想定外の状況が起きたときは、少なくともある程度ポジションを減らすなりして、状況の再分析をしっかりとやり直す。
自分でコントロールできない状況にポジションをさらすことは、運用においては現実逃避や責任放棄でしかない。

中長期運用といったって、色んなアプローチがある。
ロングオンリー、ロングショートあたりが一般的。
銘柄の選別方法によっても、バリュー投資であったり、グロース投資であったりと様々だ。
それによっても期待されるリターンとリスクが変わってくる。

大事なことは、自分がその運用によってどういったリターンを取りにいっているのかを理解しておくこと。そしてその運用の裏に、どんなリスクが潜んでいるのかを知ること。
ヘッジファンドや投資信託のように、投資家からのお金を預かるビジネスにおいては、そういったことを投資家に向けて説明する必要だってある。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR