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【トレード】損切りが出来ない人へ④

「損切り」

これって思考停止状態ではできない行動です。

ただただ戻ってくれることをお祈りする状態になる。
感情に振り回され、根性論で突っ張る人、パニックになってしまう人…。

なぜそこで切らなければならないのか。
ある程度、合理性と根拠をもってただ淡々と切る(腹の中では死ぬほど苦しかったり、いろんな感情が沸き起こったとしても、頭は冷静に)。
それが出来るかどうかって、実はここまでお話してきたような投資や運用の前提条件の整理を合理的にできているかどうか。
そこに合理性や論理性のかけらもないような人が、よりプレッシャーのかかった状態で合理的判断なんて、そりゃできんわな(^^;

ということで、前提条件の整理(リスク許容度の確認)が出来たとしましょう。
次に考えるべきは、目指すべきリターン。
リスクとリターンのバランス。
リスクに対して目指すリターンが高ければ高いほど「ハイリスク・ハイリターン」になる。
目指すリターンを低くしていけば「ローリスク・ローリターン」になる。
当たり前のこと。
前提条件がしっかりと整理できていれば、どっちを目指すべきかは明確になる。
100万円の元手を全部失っても割り切れるようなリスク許容度なら、ハイリスク・ハイリターンでもいいかもしれない。
でも将来必要になる資金だったり、生活にすら必要なお金だったりするのであれば、ローリスク・ローリターンの運用を行うべきということになる。

株、債券(金利)、外国為替(FX)、商品。
金商法上のリスク・カテゴリーとしては、基本的にはこの四分野が定義されている。
仮想通貨(暗号資産)は昨年のバブルで一気に注目を集めたけれど、この四カテゴリーには属していない新しいリスク資産だ。
また海外市場のものなども考慮すれば、投資対象商品というのは実に沢山存在しており、マーケットを形成している。

投資や運用でリターンを目指すにあたって
「何を使って儲けるか?」
がまず一つ考えなければならないこと。
債券(金利)、外国為替(FX)、商品、株…それぞれにリスクが違ってくる。
そのリスクはボラティリティ(変動率)によって表され、同じ100万円を投じても、投資対象商品の違いによって、期待されるリターンも、リスクも変わるということをまずは頭に入れておいて欲しい。

さらに「レバレッジ」というものがある。
信用取引や派生商品(先物やオプション)、FXなどでも「レバレッジ」という魔法の杖によって、少ない資金で、より大きなポジションを取ることが可能になってくる。
この「レバレッジ」が実は非常に危険な代物だということを知っておいて欲しい。

レバレッジが10倍なら、100万円の元手で、1000万円のポジションを取ることができる。
これっていいことのように思えるかもしれないけれど、いい面しか見えていないとすれば、それはリターンしか見えていない人が陥りがちな勘違い。実はとても怖いことだ。

個人投資家でも、取り返しのつかないダメージや失敗を被った人は、ほぼ漏れなくこの「レバレッジの罠」にハマっている。
オプション(の売り)なんかは、シャレにならない損失を被った例が多い。
信用取引やFXでも再起不能なダメージを負ってしまう例は少なくない。

レバレッジは「リターンを10倍にしてくれる」ものではなく、「リスクも10倍にする」危険な道具だということをまずはしっかりと頭に叩き込んでおいて欲しい。
このレバレッジを使うのは、リスク管理やロスカット、ポジションのコントロールといった「自分の身を守る術」をしっかりと身につけてからやるべきもの。
そういった根本が出来ていないまま、ただ「期待リターンが増えること」だけしか見えないような素人が使っていいものではないと肝に銘じておいて欲しい。

「リスクと向き合う」
これが出来ている人がはじめて使っていいアプローチ。
でも「リスク許容度」に対して、目指すリターンが極端に高い人は最初からレバレッジを使いたがってしまう。
結果、取り返しのつかないダメージを負うことになるかもしれないのに。
また最初のうちは慎重にやっているつもりでも、積み重ねた勝ちが気を大きくし、もっと大きなリターンを得たいと欲が生まれ、リスクに対して鈍感になり、レバレッジにのめり込む。そいうったパターンも少なくないだろう。リターンの裏には常にリスクがある。そこを忘れてはいけない。

単なる調整といっていい下落ですら退場させられる人って、そういうところが十分にできていない人なのだろうと思う。

相場は自分の思い通りになんて動いてはくれない。

「これぐらいまで上がるだろう」
というリターンについての想像は出来るけど
「ここまでは下がるかもしれない」
というリスクについての想像ができない。

レバレッジを安易に振り回してしまう人や、前提条件の整理が出来ていない人の傾向だと思う。

・投資対象商品の選択によって同じ金額でもリスク(変動率)が違う。
・レバレッジを安易に使ってはいけない。

何を使って自分の目指すリターンを得ていくのか。
その辺を考えていくうえで、最初に理解しておいて欲しいことだ。




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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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