【トレード】損切りが出来ない人へ③
さて、ちょっと手が空いたので…。
「損切りが出来ない人」
の共通点として、『うまくいったときの想像はできるけど、悪い方向にいったときの想像ができない』傾向が強いと思う。
これは自身の経験からだけではなく、沢山のディーラーや個人投資家さん、いろんな人と関わってきた中で感じている自分の感覚。
だからこそ「最初の一歩」である自分のお金の色を知り、リスクの限界点を把握するプロセスが大切になる。
そういった(嫌でつまらない)ことと向き合うことが出来るかどうか。
それすら怠っていて、これからもそれをする気がないのであれば、このブログを読んでいただいてもなんの役にも立たないだろう。
リスクの限界点(リスク許容度)を知り、それが生活や人生を脅かすことにならないようにコントロールすること。
それが出来ていると「(精神的な)余裕」も生まれる。
余裕がない状態、追い込まれている状態でする判断は、概ね適切なものにはならない。
限界を知り、限界まで追い込まれない範囲でリスクをコントロールすることが、危険が沢山ある相場という世界で長く生き残り、成功していくためには実はとっても大切なことだったりする。
でも多くの人が、
「稼ぐ方法」
「儲かる銘柄」
を知りたがり、そういった情報ばかりを追い求める。
分析の仕方や、銘柄の見つけ方といった勝つための思考プロセスの構築と同じぐらい、リスクと向き合うことは大切なこと。
相場をギャンブルにしないために、それだけは理解しておいて欲しい。
で、リスクの限界点を知ったうえで、次のステップ。
それを原資にどういったリターンを目指し、そのためにどういった手法を選択していくのか。
元手として100万円があったとする。
その100万円が投資用資金として寝かせておけるもので、目先必要な資金ではない。
生活費などは本業(いわゆる兼業投資家)でちゃんと得られるという前提なら、「これだけは稼がなければならない」ということはなくなる。
一方で、「専業」となれば話は別だ。
家賃や生活費、生きていくためにはお金がかかる。
1000万円元手があったとして、10%の利回りでは100万円にしかならない。
100万円ではとても生活なんてできはしない(やれる人もいるのかもしれないけど)。
一年間で必要なお金が300万円だとして、税金で20%もっていかれることを考えれば、年間で約380万円前後は投資で利益を出さなければいけないことになる。
1000万円しかないとすれば、年率40%近い利回りで稼ぎ続ける必要がある。
ディーラー・トレーダー、ファンドマネージャーなら、給料もらってリスクが取れる分、そういったことはあまり考える必要はない。
ただし、こちらも厳しい世界。
稼げなければクビになるし、勝ち負けのある世界で勝ち続けなければいけないし、稼いだ金額から報酬率に従ってボーナス(インセンティブ・成功報酬)が支払われ(稼いだ金額が自分のものになるわけではない)、しかも、報酬に対して「所得税」というコストもかかる。
ディーラーなら、月間でこのぐらいは稼いでいないとコスト割れになり、会社に貢献できないというラインがある。稼ぐのが仕事のディーラーで、それを達成できないとなれば致命的だ。何か一時的な要因とか不調ならいいけれど、それが続くようなら、クビになるだろう。逆にそれをしなければ組織がもたなくなる。
他人の資金でリスクを取る以上、資金の出し手(投資家や会社)によって、求められるリスク・リターンのプロファイルは変わってくる。
現在、自分は証券自己(ディーリング)の世界から、ヘッジファンドの世界に身を移して取り組みをしている。それだけでもとんでもなく世界が違う。投資家のニーズ、これって実は様々。日本国内の機関投資家が求めるもの、ファミリーオフィスが求めるもの、欧米の投資家が求めるもの、年金などの長期性資金が求めるもの…それによって求められるリスク・リターンのプロファイルが異なる。ただ儲かればいいってもんじゃないのが難しい。
我々のそれが、どの投資家層にマッチするのか。マーケティングをしっかりとやりながら、ビジネスをしていく必要性を思い知らされている。
どういったリターンを目指すのか、それだってこういった自分自身が置かれている状況に応じて考えるべきことや求められることが変わってくる。
100万円の元手(リスク許容度)でいくら稼ぎたいのか(稼がなければならないのか)。
しかもどれぐらいの期間をかけてそれを実現するのか。
それはそれぞれの置かれている状況や、目標によって変わってきていいものだと思う。
その目標によって、取るべき運用手法やリスクの取り方は変わってくる。
ただそれがあまりにも非現実的なものであったりすれば、やはり相場をギャンブルにしてしまい、人生を脅かすものになってしまうかもしれない。