【トレード】損切りが出来ない人へ②
損切りの考え方って難しい。
「何%逆にいったら切る」
というのもよく聞く話。
でもその何%に合理的根拠があるのかどうかは疑問。
このやり方は、ある意味思考停止と思われる部分もあるし、まぁ損切り考えていないよりはいいといったところだろうか。
損切りを考えるうえでは
①自分の投資している資金のリスク許容度
②自分の目指しているリターンと戦略
③その後の状況の変化による調整
投資を行ううえでの前提条件が整理できているかが大事だと思う。
まず土台がしっかりしていないと話にならない。
①を考えるうえでは、
・生活や将来のために必要なお金なのか。もし将来的に必要なお金だとしたら、いつまでに換金しないといけないのかも考えておかないといけない。
・どの程度まで損をしても大丈夫なのか。例えば、その資金はゼロになっても構わないものなのかどうかなど。
例えば、100万円が手元に投資用資金としてあったとして、そのお金はゼロになっていいものなのか、それとも将来必要になる資金だから損失があっても30%以内の30万円に留めたいのか、などをしっかり最初に考えておくべきことになる。
信用取引や派生商品などでレバレッジをかけている場合は、さらにリスク管理が重要になるし、難しくなる。100万円の元手で100万円以上の損失を被って、借金生活に陥るリスクだってそこには存在する。
専業ではなく、兼業投資家であるなら、まだ月々安定した収入が得られるだろうから、生活に直結するリスクは少ないだろう。投資を行ううえでの「前提条件」を一度しっかり整理しておいた方がいい。経験も知識も不足していて、相場の怖さも知らない状況で、誰かの本や講演聞いて、すっかりその気になって、仕事も辞めて人生賭けるような勝負に一気に出るのは…やめてね。
もしディーラーやファンドマネージャーという他人のお金を預かって運用する場合は、そのお金の色は投資してくれる他人(会社や投資家)が決めるものになる。その投資家の要望に沿った運用とリスク管理が出来ていなければ、それは受け入れてもらうことはできない。自分のやり方を100%理解してくれる投資家に巡り合えればラッキーだけれど、よほどの実績がないとなかなかそんな都合よくはいかない。
まずお金の色をしっかりと確認したうえで、自分が目指すべきリターンを考える。よくあるのが「リターンが先にあって、リスクを考えないパターン」。これはね、ダメだと思う…。
これだけのリスク許容度がある。だからそのリスクをベースにどれぐらいのリターンを目指すのかが決まってくる。
「一億円稼ぎたい」
が先にあって、自分の手元資金が100万円しかなかったとする。一億円稼ぐのがずっと先の目標ならばまだしも、わずか数年でそこまでに増やしたいと考える。年率何%で回せばそこまでいきますか?となるともっとリスクを取らなきゃいけないと考えるから、安易にレバレッジをかけたくなる(信用取引は派生商品など)。100万円しかないのに、大きなレバレッジをかけてリスクを取れば、勝つときも大きくなるけれど、負けるときも大きくなる。
「勝率が5割だとして、9900万稼げる可能性と、100万円失う可能性はどっちが高いですか?」
ちょっと考えれば当たり前のこと。なのに自分の都合よく物事考えて、無茶なリスクを取って大きな損失を出し、気がついてみれば借金生活なんて人も多い。しっかりと生活がそれでも成り立つならばいいのかもしれないけれど、それで追い込まれて妙なこと考えるなんてのはダメ。相場ってすごく魅力的なものだけれど、危険も沢山ある怖い場所。それで人生おかしくなるなんて、ホントやめて欲しいし、馬鹿々々しいよ。
まず100万円の手元資金がある。その資金が完全に投資用資金として貯めたもので、失っても構わないと割り切れるのかどうかをまず考える。もし生活や将来設計に必要になるお金であるならば、失っていい限界点はさらに低くなるはずだ。
「リスク許容度」
これとまずはしっかりと向き合って欲しい。これが最初の一歩になる。そのうえで次のステップ。どういったリターンを目指し、どういった戦略で運用し、それを実現していくのかを考えていく。
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【オマケ】
そういえばちょっと話は変わるけど、Twitterでちょっと流れていたコメント。
『メディアに出ている人や本を出していたりする人って、所詮は過去の運用者で終わった人。そういう人のコメントみているとダメになってしまう。』
みたいなのがあった。
うん。ある意味、的を得ていると思う。
だって現役バリバリで稼いでいる人は、別にそんなん出る必要もないし、名前が出たり、表に出ることはリスクでしかない。
〇億円稼いだとかいったって、所詮は過去の実績。
現在はそれを続けていられないから、違う道でやっている人が少なくないのも事実。
自分もある意味その一人かもしれない。
スポーツでいうなら、選手としてそれなりにやってきたけれど、今は現役を退き、監督もしくはGM的な立場で後輩たちの将来を作る仕事を中心にやってきてる。
信頼しているキャスターさんや記者さん、出版社の方に、是非にと声をかけていただいて、テレビに出たり、本も一冊だけ出版させてもらったりもした。それが本業ではないし、あくまでそっちは頼まれてちょっとやってみたぐらいの話なんだけど。
現役としての限界も感じた部分はあるし、今、相場張ってどこまでいけるかは分からない。
過去、最高だったときの自分を超える覚悟。それを持ち続ける自信がなかったのかもしれない。
一方で、それを持てずに中途半端に現役にしがみつくよりも、可能性に満ちた若い世代のために自分の経験やネットワーク、全てを活かした方が「存在意義」があると思えた。
今の仕事にやりがいも感じているし、素晴らしい後輩達も何人も育ってくれているし、新しい様々なチャレンジもできている。
そういう機会を与えてくれた経営者にも感謝しているし、自分は幸運だとも思う。
本の執筆を頼まれたとき。
「自分は所詮過去の運用者なんで、伝えられることって今の相場で儲ける手法云々とかではなく、普遍的なものや思考プロセス的なものぐらいしかありませんよ。」
と一度は遠慮したりもした。
「部下や後輩の若いディーラーに伝えたいと思うことを書いてください。」
と殺し文句を言われて書いたけれど、どれぐらい売れているかも気にしたことがあまりない(出版社の方に迷惑かけない程度には売れていればいいなとは思うけれどw)。
ブログも同じ。アフリエイトで稼ぐ気もないし、個人投資家さんから何かを得ようとは思っていない。
確かに中にはいかにも自分はすごい運用者だとアピールして、正直ディーラー時代の実績知っているこっちから見ていて、どうなんかなと思う人もいるし、悩ましいところ。
でもね、一つの番組やセミナーでそれなりに説得力のある話するのを見てると、それはそれですげぇなと感心したりもする。
1時間のセミナーや番組やるのに、キャスターさんや講師の人がどれだけの準備をしているのかを考えたら、それは十分価値のあるものだとも思う。
相場格言ってあるよね。すっごい昔の相場師の人たちが伝えてきた普遍的な考え方。
過去の運用者かもしれないけれど、ある時代を必死に戦い、結果を残してきた人たち。
そこから学ぶべきものがないとは思わない。
大事なことは、信頼していい人なのかどうかを見極める目と、その人から発せられる言葉を取捨選択できるだけの基本的な知識を身につけることなんだと思う。
ホント相場関係の講師や商材ビジネスやってる人って色んな人がいるから、その辺しっかりと見極めてくださいね。
自分は暇が出来た時に気まぐれでしかブログ書かないし、セミナーや番組、取材の依頼が来ても、信頼出来ている方からのお話以外はあまり受けない方なんで滅多に出てくることはないですがw