FC2ブログ

【トレード】損切りが出来ない人へ

以前、一般の個人投資家さん向けのセミナーで講演させていただいたとき、講演後に相談に来られた方から「損切りが出来ないんです」と言われた。

自分は今は現役を離れ、監督 or GMとでもいうべき立場にあるのだけれど、20数年間現役で戦ってきて「損切りが出来ない」ってことはなかった。「損切りで無茶苦茶辛い思いをした」ことはしょっちゅうだったけどw

なんで「損切りが出来ない」んだろう?

著名な個人投資家さんでも「損切りは大事」って言っている人は多い。
というかほぼ全員がそれを分かっているから、おカネを失わずに増やせているんだと思う。
そういった人たちのブログやセミナーにも参加している方、様々な本も読んで勉強されている方、それでも損切りが出来ない。

トレードの勝率が100%ならそれでもいいだろう。
でもそんなことはまずありえない。
かのジョージ・ソロスやウォーレン・バフェットですら「自分は度々間違いを犯す」ことを分かっていて、負けることがあると認めている。

株の知識も経験も全然足りていないような人が、余裕もないままに、すぐに人生賭けるような勝負をしようとしてしまったりする。
そういう人は大概「勝つ」ことしか頭にないし、「負ける」想定なんてしていない。
根拠のない自信、思い込み…etc。

誰かの本や、ブログを読んで、この世界に興味を持ってくれることはすごく嬉しいことだし、様々な人が市場に入ってくれることがとても大事なことだとも思う。
でもね、危険がいっぱいのこの世界で、その怖さや恐ろしさも知らないままに夢だけ見て人生賭けるのは辞めて欲しい。

うまくいった時のことだけを想像して、初心者がいきなり仕事辞めてしまったり、人生賭けるような大勝負してしまったり、借金したり、親や家族のお金巻き込んでしまったり…。
まずは少額で様々な経験を積み、勝つプロセス、守るプロセス、苦しい時を乗り越えるプロセス…様々なものを経験してから、一つずつステップアップすることがとても大切。

ディーリング部門でも、未経験者に最初から大きなポジション渡すことなんてまずありえない。
一定の金額の範囲で経験を積み、利益を積み上げるプロセスが出来てからポジションを増やしていく。
それはケチっている訳ではなくて、丁半博打のようなトレードをさせたくないし、せっかく夢を見た世界で安易に終わって欲しくはないから、自分の身を守れるだけの知識と経験を積むまでは本人を守るためにもそうしているはずだ。

損切りが出来ない人は、おそらくは多くの場合、「上がりそう(儲かりそう)」という判断のみでポジションを取っている。
下がった(損をした)場合(=ロスカット・ライン)のことを予め想定するということがないのだろう。
自分にとって都合の悪いことは想像したくない気持ちは分かる。
でもリスクのある世界で戦う以上、「常に最悪を想定して最善を尽くす」これは当たり前のことだ。
ビジネスだって同じだろう。

最悪のときでも致命的な結果にならないようにリスクの限界点(撤退点、ロスカット・ライン)は予め考えておく。そしてそのポイントは状況の変化によって常にアップデートしていく。

トレードでも、ビジネスでも、トライ&エラーは必要だ。
トライしなければ、変化も成長も起こりえない。
でもトライすれば、失敗は常についてまわる。
100回やって100回成功するなんてありえない。
でも失敗によるダメージを最小限に留め、成功による発展(収益)を最大に伸ばすことが出来ていれば、最終的な結果はついてくる。
それが相場の世界でいうところの「損小利大」になる。

中には(自らの)失敗を認めない人や、自分ではトライもしないくせに人の失敗を批判ばかりする人もいる。
そのせいでトライが出来なくなってしまえば、何も生まれることはなくなる。
リスクとリターンと常に向き合う姿勢。
相場でも、ビジネスでも同じだと思う。

時間があるときに、「損切り」についてちょっと書いていきたいと思う。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR