【トレード】考える力②
「(株価が)上がる銘柄を知りたい」
「(株価が)上がるタイミングを知りたい」
それは誰でもそう思うでしょうね。
一般の個人投資家さんならそれでいいと思う。
そのためにアドバイスする仕事をしている人がいるのだから。
それこそ自分たちがこれから踏み出そうとしている仕事というのは
「その辺考えているの忙しいし、そこまでマーケットと向き合ってる暇ないから運用は任せるよ。」
という投資家さんがお客様となるわけだし。
ただディーラーやファンドマネージャーという「運用を仕事」とする道を志しているのなら、それでは話にならない。
目指すべきは運用のプロであり、そうではない方々からお金を預けていただける存在になる必要がある。
「(株価が)上がる銘柄を見つけ出す力」
「(株価が)上がるタイミングを判断できる力」
を自分で身につけなければいけない。
目指すべきものが運用で食っていくことなら、それが大前提になる。
もしそういった道を目指していながら誰かの推奨や煽り、コメントで取引するような「イナゴ」になっているようでは話にならない。
もしそういった推奨をする人がいて、参考になると思っているのなら、学ぶべきはその人の思考プロセスだ。
「なぜその銘柄をいいと思ったのか?」
「なぜそのタイミングをいいと思ったのか?」
その思考プロセスを学び、自分のものにしていくこと。
それが出来ない限り、他人の思考の後追いでしかないし、思考停止状態のままでいたら成長はない。
昔、ある証券会社でディーラーやっていた頃、あるおじさんディーラーが自分のID/パスワードを調べて、自分のアカウントに無断ログインして、自分のポジションをパクっていたことがある。
他にも稼いでいるディーラーのポジションを知りたい、中にはそれを何とか盗んでまねようとするやつもいた。
ただポジションをパクっているような運用者は、厳しい言い方になるけど「三流」でしかない。
プロとしての矜持、誇りのかけらも感じられない。
個人間で納得・了承のうえでなら教え合うのも構わないだろう。
そこから何故そういう銘柄選択になったのか、その思考プロセスを学ぶのであれば…。
特に経験が少ない間は、先輩ディーラーのそういったものから学ぶものは沢山ある。
でも気をつけて欲しいのは、「ただ銘柄をまねる」のに終始するのではなく、「なぜその銘柄を選んだのか」を学ぶことが出来ない限り、成長はしない。
もし先輩がそれを見せてくれているのだとしたら、それはとても特別なことだと知っておいて欲しい。
その期待や信頼に応えられるよう、必死に考えてその人の思考プロセスを学んで欲しい。
自分もまだ若手のペーペーだった頃、すごい稼いでいたトップディーラーの先輩に引っ付いてた。
毎日、引け後にその先輩は決まって同じ共有端末のところに座って二時間ぐらいだったかな、ひと銘柄ずつチャートを見ていた。競馬新聞抱えているおじさんのように株式新聞を片手にペンを持ち、チャートを見ては印をつけていた。
「すいません、自分も横で見せてもらってもいいでしょうか?」
とその先輩の許可を取り、毎日毎日その横に座って、キーボードを叩いて銘柄を表示する→ジッとみて新聞に印をつける。そのプロセスを見ながら、自分も何か共通点やポイントを見つけ出そうと必死に見ていた。
一ヶ月過ぎた頃かな。ようやくその先輩が色々と話しながら雑談ベースで教えてくれるようになった。まだ若かった自分にとっては、とても大きな財産になった。
学ばなければならないのは、「いい銘柄」を教えてもらうことではなく、「いい銘柄を見つけ出すプロセス」だということを肝に銘じておいて欲しい。
その思考プロセスを身につけ、自分のものにしてはじめて「自分で考える力」を得ることができる。
運用者はマーケットの中では孤独だ。
「今、売りなさい」
と誰かがささやいてくれるわけではない。
刻々と変化するマーケットの中で、自分の目で見て、自分で考えて、自分で判断しなければならない。
自分で考える力が自分を守ってくれる。
それこそがプロの運用者として大事にしなければならないことだということを忘れないでいて欲しい。
それこそがプロの運用者として大事にしなければならないことだということを忘れないでいて欲しい。