【雑感】儲からない相場
【ブログより】
北朝鮮のミサイル基地拡張。
カナダでのファーウェイCFO逮捕。
今日も不安定な相場になりそうですね。
今年は「儲からない一年」だったとそこら中で耳にします。
今朝も記事で二つ。
「ニクソン時代の1972年以来で最悪、どの資産も儲からない今年の市場(Bloomberg)」
「キャッシュの魅力、市場の乱高下で人気復活(WSJ)」
今年はヘッジファンド業界も全体として低迷していて、エクイティロングショートは全体平均では年初来でマイナスに沈んでいるとか。年末にかけて解約もかなり出ているような印象です。
自分が日本にいる間に少しだけ初めていたiDeCo(すでに積立はできず、運用指図者でしかない)も運用報告見ると「貯金しておいた方がええやん」と思ってしまう状況(会社で取り扱い始めたので気持ちとして始めただけなんでいいんですが)。
そんな状態だからこそ、資金運用難で困る人が沢山いる。
キャッシュ(貯金)にしておけばかなり安全ではあるけれど、諸々の手数料考えると実質はマイナスかもしれない。
なんとかリターンをと望まれるけれど、どこにいっても資産運用難。3%程度のリターンを望む声は多いように見えるけど、そのレベルのリターンを得られる資産を探すのが結構難しい。実際にそのリターンを狙って、サンプル・ポートフォリオ構成してみても、シャープレシオは1を大きく割り込む場合が多い気がする。
あるブローカーの友人と飲んだときに、「株の日計りとかでコツコツ利益積み上げる形ならいけるんじゃないですかね?」と言われたことがあるけれど、実は株の短期売買ほど今年苦労しているところはないと思う。
確かにボラティリティはあるんだけれど、値動きの根拠が薄弱というかなんというか…。それこそリスクとリターンが見合わないんだよね。
ただ大事なことは、そういったときに耐性をどれだけ保てる運用になっているか。
自分がディーリング部長として、「多様性」にこだわっていたのはそこにある。
あるストラテジー(運用手法)がうまく機能しない状態になったとき、他のストラテジーがしっかりとカバー出来れば、全体としての水準は保てる。
マネジメントとしては、それぞれのストラテジーの相関や特性をしっかり把握してバランスしておく必要はあるけれど。
そしてあるストラテジーが低迷したからとバシバシ切り捨てるのではなく、しっかりとバランスを取りながら低迷しているところもサポートしていく。もし儲からなくなった要因が構造的な問題や、改善が見込めないものである場合はしかたないけれど。
その判断は運用者の近くにいて、それを間近に見てあげられる存在でなければ難しいところもある。
この一年。
運用者達は、どちらかといえば苦労したという話の方が多いように思う。
ただそれが永遠と続くわけではない。
苦しい時にどうしのぐか。
それを乗り越えて、より強い運用者になれるか。
相場にはいいときもあれば、悪い時もある。
ストラテジーによって機能するときもあれば、そうでないときもある。
大事なことは、しっかりとリスク・コントロールして、悪いとき、苦しいときにつぶれてしまうようなリスクの取り方はせず、しっかりとガードを固めて判定勝ちでもいいから勝ちにもっていくしぶとさ。
振り返ってみれば「あの一年は苦しかったなぁ。」と、ほろ苦い思い出ぐらいにできるといいね。