【ビジネス】就職と採用②
確か内定者が120人ぐらいだったと思う。
総合職が10人ぐらいと、一般職が110人ぐらい。
自分は一応、総合職での内定をもらっていた。
とはいえ、所属部署や希望なんて聞かれても…。
「自分は全然証券のこと知らないので、一からやらせてもらえれば結構です。」
としか答えられなかった。
「ディーラー」という職種のこともよく知らなかったし(^_^;)
一応、営業志望に○をつけていた。
内定期間中に人事部が内定者に向けて実施してくれた「株式投資コンテスト」。
2回行われたと記憶している。
5銘柄好きな銘柄を選んで、その理由を書いて、一ヶ月間のパフォーマンスを競う。
内定が決まってからというもの、自分は片っ端から証券や株の本を買っては読んでいた。
インターネットすら、ロクにない時代。
知識を得るなら、お金を払って本を読むしかなかった。
自分なりに、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析についても勉強した。
それをベースに5銘柄をピックアップし、理由もビッシリと書いて送った。
結果は…
たいしたことはなかった。
1回目がその人数の中で20位ぐらいだったかな?
2回目は半分より下だったと思う。
「こんだけ調べても簡単にはいかないもんなんだなぁ。」
ぐらいに思っていたけれど、その株式投資コンテストが自分の未来に繋がることになった(それはその会社を辞めるときに初めてきかされたのだけれど)。
ここからは、その会社を辞めるときに人事の方から聞いた話だ。
当時、株式部門には派生商品専門のチームがあり、先物・オプション、アービトラージなどをやっていた。
そこのチーフはとっても厳しい人で(後の自分にとっても師匠であり、恩人)、当時色んな部署から人を引っ張ってきてはNGを出していたらしい。
「色がついてしまっているヤツはダメだ。真白なヤツをよこしてくれ。」
と人事に強く要請していたらしい。
そこで新卒から一名配属させることになったらしいのだが…。
その株式投資コンテストでの銘柄選別理由が目に止まったらしい。
初めて面接した頃は、何も知らないような状態だったのが、ずいぶん勉強しているなと。
テクニカルやファンダメンタルズでの分析と、その論理構成をみて可能性を感じてくれたようだ。
スポーツやってたし、根性はあるだろうというのもあったらしいが。
入社式の日。
配属先はそこで知らされることになっていた。
120名近い同期が一人ずつ名前を読み上げられ、「はいっ」と返事をして所属先を言われる。
自分は最後の最後まで読まれなかった。
正直に言う。
「俺、この会社に内定決まったのって勘違いかドッキリだったんじゃないかな。」
結構本気でドキドキしていた。
一番最後に自分の名前が呼ばれ、所属先を読み上げられた。
「東京本部、株式部先物オプション課」
周囲に軽くどよめきが起きた。
当の本人はまたキョトンとしていたのだけれど…。
そこからは周囲の勘違いもあって、エライ大変な目にあった。
でも必死に喰らいついて、なんとかそれなりにやってこれた。
自分なんて、本当にか細い可能性が繋がってきたから、ここにいる。
色んな人が見つけてくれたから、ここにいる。
その後も何度も挫折しかけたり、苦しい思いもしてきたけれど、誰かが自分を信じてくれたから、ここにいる。
今、自分はそれを見つけてあげる側にいる。
この世界を志す若者。
運用者としての将来を目指す若者。
彼らの可能性を見つけだし、信じてやること。
自分にしてあげられるのは入口だけかもしれない。
上司として、その可能性を最大化できるように努力はするけれど、そのチャンスをモノに出来るかどうかは、本人次第の面もあるから。
もちろん望む人全員にそれをしてあげられるわけではない。
だからこそ一つ一つの出会いを大事にし、その都度必死に悩んで考えて決断をする。
何もなかった自分が、誰かのおかげで、今ここにいられるように。
誰かの未来に繋がる存在になれるように。
それが与えてもらってきた自分が返すべき責任だと思うから。