【トレード】ロスカットについて②
昨日アップした「ロスカット」のところで、『新規でポジション取ることよりも、利食いやロスカットの方がはるかに難しい。』
それって当たり前のことだし、トレード経験者なら、誰しも感じたことがあることだと思います。
でもそれを忘れがちになってしまう。そしてそれを疎かにして、いい銘柄を見つけているのに、トレーディングの部分でそれを台無しにしてしまう。
なので今日も「当たり前のこと」を書きます(笑)
なぜ新規でポジション取るよりも、利食いやロスカットの方が難しいのだと思いますか?
「ポジションがない状態に比べて、ポジションを持った状態だと、メンタル面で様々なバイアスがかかるから。」
だと自分は考えています。
ポジションを持つと、そこには「期待」「不安」「歓喜」「恐怖」といった様々な感情が自分の中に沸き起こります。
人間ならば当然のことです。
それは相場に重なる部分が多分にあります。
「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し幸福感の中で消えていく」
こんな格言を聞いたことがあるでしょうか?
ここでは「悲観(恐怖)」「懐疑(不安)」「楽観(期待)」「幸福(歓喜)」といった言葉に置き換えられていますが、相場はある意味人間の感情の起伏を表している側面があるといってもいいかもしれません。
ある意味、この格言は市場心理(大衆心理)と同じ行動を取っている限り、儲からないという見方にもつながります。
一方で、その感情を否定してしまっては、人間の良さやメリットも失ってしまう。
全ての取引を機械(AI)に任せた方がいいとなりかねません。
自分はその感情が沸き起こることは肯定的に考えています。
そんな人間だからこそ、市場が感情に支配されるような動きを示したとき、今でも機械より優秀なパフォーマンスが出せるという面もあるのでしょうから。
ただその感情むき出しに相場と向き合い、トレーディングを行っていると安定した成果は得られないでしょう。
ただその感情むき出しに相場と向き合い、トレーディングを行っていると安定した成果は得られないでしょう。
先日執筆させていただいた書籍で『メンタルコントロール』に重点を置いたのは、若い運用者の多くがそれが出来ないままリスクを振り回し、追い込まれて淘汰されていくのを何人も見てきた。そんな若い運用者向けに書いてほしいと言われた書籍だったからでもあります。
また自分は所詮、過去の運用者です。現役ではありません。
当時使っていたテクニック的なものを、いくら書いたところで現在のマーケットに通用するかは疑問だと思っています(笑)
でもメンタルコントロール的なものは、人間が感情を持つ生き物である以上、そしてトレードをその人間がやる以上、普遍的なものだから、と考えていたこともあります。
自分を知り
自分の感情とどう向き合い
自分がポジションを持った状態でも客観的な判断ができるようにコントロールするか?
利食いと損切りが難しいということ。
その背景には、自身の感情というものがある。
・エントリーの際に、利食いと損切りのポイントを決めてから入るようにしていたり
・ポジションを取ったらすぐに利食いのオーダーを出しておいたり(損切りもOCOで出していたことも多い)
・短期売買ではテクニカルを積極的に利用したり(客観的な数値で示される判断基準を求めた)
・朝早く起きて、海外市場の分析、その日の東京市場の予測・シナリオ組み立て、新聞や情報を徹底的に読み込み、沢山の情報を見たしていたこと(自分の判断の裏付けとなる強い根拠を探し続けた)
・データを集めて分析したり、プログラミングを覚え、それを活かしてバックテストをしたり(自分が指標とするものがどの程度の精度なのかを解析することで信頼度を確かめるため)
・新しい商品やテクノロジー、話題となっているものがあれば徹底的に勉強したり、調べたり(アルゴリズム取引やHFTなどを知る努力をしたのもそう)
その全てが自分自身の感情と向き合うため(コントロールするため)の武器が欲しかったからなのだと思います。
裏付けがあるからこそ、自分に沸き起こる感情と向き合い、正面からそれを乗り越えることができる。
それでも時にはトコトン追い込まれることもありました。
そういうときは飲みに行って発散しても、どこかにいって気分転換しても、結局のところ不安を抱えたままなので楽しめたりはしなかった。
追い込まれた自分と向き合い、何が足りなかったのか、何を間違えたのか、その原因を自分の中に見つけ出すこと。
マーケットがどんなに歪んでいたとしても、それを読み誤った自分がそこにいるはず。
そして自分を戒め、より強くなるために努力して、ごくわずかな金額でもいいから勝ちを続けること。
それが結局一番自分を取り戻すことにつながりました。
自分が現役の頃はよく、「いつ寝ているんですか?」と聞かれるぐらい、色んなことをやっていました。
それこそ必死に勉強したり、調べたり。
それは全て戦うための裏付けを求めていたのだと思います。
自分をコントロールするための「自信」が必要だったのかもしれません。
自分が知る限り、一流と呼ばれた運用者達はみな自分に厳しかった。
年上でも同世代でも後輩でも、みなリスペクトできる人たちだった。
前にも似たようなこと書きましたが、運用者を目指す若い後輩達に一度考えてみて欲しいと思うのです。
誰も最初からすごい運用者なんていない。
沢山失敗して、怖い思いも辛い思いも乗り越えて成長していく。
でもそこで生き残り、成長し、成功していく人たちは、やはり自分としっかり向き合ってきた人たちなのだと思います(相場がいいときにたまたまって人もまぁいますけど(笑))。
相場を見て予測したり考えたりすることも大切だけれど
自分のトレードから、自分自身を知ることも同じぐらい大切なことなのだと。
それがポジションを持った状態での自分自身のメンタル・コントロールにもつながり、適切なポジション・コントロールやロスカットを出来るようにつながっていくかもしれません。