【トレード】ロスカットについて
先日、マネックス証券さんのセミナーで、個人投資家さん向けに講演させていただく機会がありました。
これは十数年ぶり二回目という超レアなこと(笑)
(パネルディスカッション形式では何回かありましたが)
基本的に人前でお話する仕事ではないし、これまではそういう機会があっても業界関係者向けばっかりだったし。
本が出版されたからということで、それをきっかけにお声をかけていただいたんだろうけど、自分にとってもいい経験になりました。
講演終了後に何人かの方が待ち構えられており、いくつかご質問をいただきました。
その中に
「ロスカットがうまくできない」
というご相談がありました。
全て終了後だったし、そんなに時間をかけてお話もできなかったので、ちょっと触れてみようと思います。
「俺はロスカットなんてしねぇ」
なんて言えたら格好いいのかもしれないんですけどね…(^_^;)
自分は「ロスカットこそ大事」と思っていました(笑)
100回トレードして、100回勝つなんて自分には出来ません。
そんな自分が安定して収益を残す為に大事に思っていたのが「負け方」なんです。
勝ち方ばっかり見ていて
負け方を考えていないと
損益ばっかりブレが大きい割りに利益が残らない。
新規でポジション取ることよりも
利食いやロスカットの方がはるかに難しい。
だからこそ大事にしていました。
ロスカットの基準の考え方って
『ストラテジーの違い』
『トレーディング期間の違い』
『余力(リスク許容度)などによる違い』
様々な要因によっても変わってきます。
モメンタムを取りにいく短期トレードなら、テクニカルも有効でしょうし、ターゲット・ロスカットのラインもタイトになります。
ファンダメンタルズを取りにいく中長期トレードなら、どちらかといえばテクニカルなんて使うべきじゃない。自分なりのシナリオをしっかりと作って、シナリオと実際の業績や株価の水準などを総合的に判断して決めていく必要があります(需給的な背景や、ニュース・材料なんかで振り回される場合はあるでしょうから、その辺の判断は難しいかもしれません)。
だから「こう決めればいいよ」なんて簡単な解を出すことは自分には出来ません。
とりあえず一度下記のことをやってみてください(本でもちょっと触れましたが)。
STEP①
まず過去の自分のトレードの結果・内容を一度振り返って客観的に見てみてください。
短期売買なら、一つ一つのトレードの結果。
中長期運用なら、一つ一つの銘柄選別の結果。
全勝って人はなかなかいないと思います。
それをプロットしたうえで
①勝率
②平均利益と平均損失
③最大利益と最大損失
この3つの視点で数字を出してみてください。
最終的になかなか利益が残らない人や損益がブレばかり大きくて安定しない人は、そのどれかがおかしくなっているはずです。
STEP②
次に負けたトレードを分析してみてください。
①がいいのに②③が損失の方が大きくなっているということは「ロスカット」が適切に出来ていない状況なんだと思います。いわゆる『損小利大』が出来ていない状態です。
ちなみに①が悪いのは、多くの場合、相場観の修正、相場を見る目を養う、何か見落としていたものがないか見つけ出すなど、根本的な分析力の改善が必要でしょう。
②③に問題がある場合は、そのときに負けたトレードを、なぜそこまで引っ張り、損を膨らませてしまったのかを思い出してみてください。
(1)「負けを認めたくなくて意地になってしまった」
(2)「どうしていいか分からなくなってしまった」
(3)「確信があったんだけど、我慢しきれなかった(その後、当初の想定通りに大きく上昇した)」
その辺が見えてくると修正すべき点がクリアになってくるかもしれません。
(1)の人は、主観でトレードをし過ぎているのでしょう。相場は自分の都合では動いてくれません。相場相手にプライド振りかざしてみたってはじまらない。自分の感情に支配されたトレードではなく、自分を客観視し、感情を抑制する。メンタル・コントロールする術を身につける必要があります。
(2)の人は、同じくメンタル・コントロールに問題があります。ただこの場合は、恐怖心から動けなくなるという問題を抱えている。そういった人は何か予め決め事を持つように心がける必要があるかもしれません。短期トレードなら、テクニカル分析などをベースに「ここを切ったらロスカットする」などを予め決めておく。そう「予め」が大事なんです。そこでロスカットしたときの損失額が最初から分かっているのなら、その評価損を抱えたときにパニックにならずに済みます。ただ決めた通りに切ればいいだけなのですから。
自分もポジション量が大きくなっていたときは、そういった対処を常に意識していました。『ここで切ったら2000万ヤラれるけれど、そこにいくまでは耐えよう。そして期待収益は6000万あるのだから。』といった具合です。1トレードで一番大きなリターン上げたときは、そうやって最初から決めていなければ耐えることは出来なかったかもしれません(日計りでも瞬間2000万程度の評価損抱えてましたから)。
(3)の人は、ポジション量のコントロールが適切ではなかったのかもしれません。ターゲットとロスカットの水準に対して、「期待」を強く持ちすぎた結果、過剰なポジション量を取り、想定内の調整であったのに損益のブレが大きすぎて我慢しきれなくなった。
相場が引けた後に自分のトレードやポジションを冷静な状態で客観的に分析するって大切なプロセスだったりします。
まぁアプローチは人それぞれかもしれません。
これはあくまで自分が現役時代に心がけていたことです。
相場を張るってことは、
相場を読む力と同じぐらい、自分を客観視し、コントロールする力も必要になります。
ポジションを取る(=リスクを取る)と、自分の中に様々な感情が沸き起こるのが人間なんですから。
ご参考までに。