【ビジネス】日本という島国
昨晩、こちらのベンダーの方とサシ飲みをしていて、4時間も語り合ってきた。
日本の株式市場をアジアの(個人)投資家などにどんどん紹介していって、広い投資家層に道を拓いていきたいとお話されていた。
自分は逆に、日本の運用者がもっとグローバルな視野で運用できるように海外市場へのアクセスを広げていきたいと思ってる。
どっちも根っこは同じ。
日本という器の中に閉じこもるのではなく、世界の中の一つの市場として開かれた形にしていきたいという想い。
日本の企業の競争相手は1990年代とは異なり、海外企業が相手になっている。
かつてよく比較されたのは
SONY 対 松下(Panasonic)
NEC 対 日立
近年ではそうではなく、彼らの競合相手はとうの昔にアップルやサムソンといった国際企業になっている。
そういった視野で捉えて運用できることは大事なこと。
日本の証券市場は海外へのアクセス、そして海外からのアクセスについて、閉鎖的で遅れている。
日本市場がそれなりの規模なので、日本市場だけ見ていれば食っていけた時代が長かったし、語学的な問題(自分も人のことは言えたもんじゃないけど)も障害だったかもしれない。
証券会社で仕事をするためには「証券外務員」という資格がある。
ウチで採用した外国人にこの資格を取ってもらうために調べたところ、この英語版のテキストがびっくりするほど高かったり、しかも英訳されたものが前年度のテキストであったりした(現在はどうだか知らない)。
外国人が日本で証券ビジネスやるのにハードルが高過ぎる。
日本人が海外居住者となったとき、海外から日本株の売買をしたいと思うと、ちゃんと取り扱ってくれる証券会社は恐ろしく少ない。
恐らく証券会社にそれを相談すると「口座を閉めてくれ」と言われるかもしれない。
「常任代理人」という仕組み、本人確認のハードル、etc…海外居住者・外国人の個人の注文取り扱うには負担が大き過ぎる。
http://www.jsda.or.jp/sonaeru/words/0158.html
海外投資家への日本企業の英語情報もまだ少ない(特に中小型株では)。
昨日聞いた話では、マレーシアの人に聞いたら「ユニクロは知っているけど、ファーストリテイリングなんて知らない」と言われたそうだ。
日本企業の認知レベルってそんなものなのかと感じてしまった。
海外に拠点を作るというと、日本でやればいいのにと言われる。
数年前にお会いしたHFT大手のアジア責任者の方に自分も聞いてみた。
「なんで日本市場を中心に取引しているのに、アジアの拠点をシンガポールにしたんですか?」
その回答は明快だった。
「こういう課題をクリアしたいと相談したところ、日本では半年経っても、一年経っても結論が出なかった問題も、シンガポール当局は3日で返答してくれた。」
もちろん税金の問題もあるだろうけど。
日本がもっと世界に開かれた市場になること(海外投資家のシェアが高いっていったって、HFTやら機関投資家がほとんどだと思う)。
日本人がもっと世界を見て運用できるようになること。
本当の意味での国際化はまだ全然十分ではないのだと感じることが多い。
特にこちらにいると思う。
シンガポールという国はあまりにも小さく、自国だけで発展し、生き残ることは困難な存在だ。
だからこそ強いリーダーシップを持って様々なことを断行し、業種なりターゲットを絞ってそういった企業や人たちのニーズに応える制度を作り、彼らを引きつけてきた。
シンガポール人は、若いうちから海外で学んだり、海外で働くことや海外を見て仕事をすることが当たり前になっている。
最近「S-VACC」という言葉にちょっと振り回された。
シンガポール政府がケイマンに負けじとファンドを誘致するために設計した新しい制度らしい。
国として、そういう動きをし続けている相手と日本はアジアにおいて競合していかないといけない。
日本という国を考えたとき、同じようにはいかないだろうけど、「世界の中の日本」という視点でもっと外の世界を知り、知ってもらう必要はあるのかなと思う。
そうなってこそ日本の強さって改めて再評価される気がする。