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【トレード】知識の大切さ

マーケット相手の仕事。

勝つか負けるか。
確かにギャンブルに通じるものが沢山ある。
でも運用を仕事でやる以上、ただのギャンブルじゃいけない。
しっかりとした根拠を持ち、適切なアプローチを取り、コントロールされた「運用」でなければいけない。
最終的に一定期間でみれば、勝ち続ける必要があるのだから。
そしてそれを実現出来ている人は少なからずいる。
相場での取引をギャンブルにするか、運用にするかはその人自身の取り組み方次第。
 
本ではメンタル・コントロールを中心に伝えたけれど、「知識」もとっても大切なものだ。
 
マーケットで生じている値動きから、何が起き、どうしてそういう動きになっているのかを理解するためには、知識が必要だ。
 
例えばMSCIのリバランスが、直近で注目されている。その動きを理解するためには、MSCIがどういう指数で、計算方法がどうで、現在の採用銘柄が何で、今回の動きでいつ頃から、それぞれにどんな影響が起こりえるのか?そしてMSCI連動型で運用している市場参加者がどういうところで、どういった規模であるのか、そして彼らがリバランスを実施するのにどういった執行プロセスを経るのか?そしてそれを元にどういったアプローチで収益化するか?
 
外資系や、大手、銀行系証券あたりの優秀な人が分析したレポートは出ていたりするだろうけど、自分でそれらを計算できて、想定し、戦略を組み立てられた方がいい。他人が試算できるものなら、ちゃんと知識を身につければ出来るはずのことなんだから。
 
そういったことが顕著に出たのが、2000年4月に起きた「日経平均採用銘柄の大量入れ替え」だろう。市場はとんでもないことになったけれど、知識を持ち、それなりに想定や準備が出来ていれば、それは大きなチャンスになった。それが全く分かっていない人にとっては「一体何が起こっているんだ?」と、パニクりながら、値動きに振らされて終わってしまうことになる。
 
市場はどんなに歪んでいても、それが絶対的な正になる。
その歪んでいる理由(合理的な投資行動を取らない巨大な市場参加者による需給的な歪みが多い気がするけど)が見えれば、それはチャンスにもなるし、その歪みにどこまで耐えればいいのかを考えることも出来るかもしれない。
知識がなければ、その歪みの理由も、影響の度合いも見えてはこない。
 
運用手法だって、様々な道がある。そしてそれをこなすためにも知識が必要だ。
 
自分のスタートはオプション・ディーラーだった。
そこから現物株をやり、裁定取引や個別株絡みのヘッジトレード、システマティックな運用もし、最後の方は先物中心のデリバティブ運用に変えていった。
 
ITバブルの頃は先物は先物、現物は現物と結構分かれているところが多かったけれど、明らかに現物の方がチャンスがあると思ったから、そっちを中心にやらせてもらった。だって光通信もソフトバンクも採用されていない日経平均株価を原資産とした先物をやっていたって、ITバブルからは蚊帳の外にしかならない(その両銘柄が指数構成銘柄に含まれていたTOPIXはまだマシだった)。
その後、ITバブルが崩壊して、悪名高い「アップティック・ルール」が作られてからは先物中心に戻った。だって下がると思っているのに、タイミングが重要な短期売買で売りたいときに売れない、相場感通りに戦えないなんて不公平な土俵で勝負するのは嫌だったから。
 
マーケットへのアプローチや戦い方は一つじゃない。
一つのやり方を身につけたり、極めたりしちゃうと、新しい運用を試したり、思いきって根っこから変えるのって簡単じゃないし、勇気もいる。特に一年契約で仕事していると相当な覚悟がいる(それを見守ってやるマネジメントがいりゃあいいだけなんだけど)。
 
若い頃に指導してもらった厳しい上司のお陰で、自分は沢山のことを学び、デリバティブから個別株まで、株という世界の中だけでしかないけれど、様々なアプローチをさせてもらえた。
でもそれを全てこなすのも知識がなければ話にならない。
 
最近では、株価指数の計算ですら、自分では出来ない人が圧倒的に多いだろう。少なくともどういう計算式で、どういった銘柄の構成比率が高くて、どういった市場参加者がそれに連動する運用をしているのか、ぐらいは知っておいた方がいい。
特にこれだけ連日のように日銀が指数連動型のETFを買ってくるような時代。
それがマーケットにどれだけの影響を与えているのか、個々の銘柄の流動性や需給にどれだけ影響を与えているのか、自分で判断出来た方がいい。
 
それが「いつかそのとき」に大きな収益機会を捉える力になることもある。
MSCIのこともあったので、ここではインデックス絡みの話で紹介したけれど、アプローチの仕方によっては、個別企業のファンダメンタルズや業界知識などもとても大切だ。
 
どんなことでも知らないままでいるより、知る努力を続けて、多くのことを判断できる力を身につける。
最前線で戦っているのに、コメンテーターやレポート、誰かの相場観に依存している限り、一歩後手に回ってしまう。
 
何か理解できない動きをマーケットが示したときこそ、「なんで?」という気持ちを大切にして、その要因を徹底的に調べてみる。もちろん納得できる答えが見つからないかもしれないけれど、その繰り返しの中で、いつかそれも理解できるようになるかもしれない。
 
知識が武器になることは沢山ある。
 
人より多くのチャンスに気づいたり
値動きの背景をより理解できたり
市場の変化への対応力が上がったり
アプローチや戦い方の選択肢が増えたり
自分の不安と向き合う強さにもなる(裏付けがあるから)
 
個別株やっていたって、オプションの知識があれば「個別株オプション」を活かすことも出来るかもしれない。
1990年代までは、(自分自身でも)CBやワラントと個別株を組み合わせたボラティリティ・トレードなんかもやっていた。
 
若いうちは、学ぶべきことは限りなく沢山あるよ。
毎日が同じルーティーンで終わってしまって、新しく得るものがなければなかなか成長もしていかない。
ただチャート見て、明日の戦略考えて終わりではなく、明日の自分が一つ成長できるように、毎日、毎週、毎月、毎年、どんなタームでもいいから、何か課題を見つけて勉強してみるといい。
 
自分は
「色んなことを知っていますね。」
と仕事をしていても、周囲から感心してもらうことが多い方だと思う。
HFTでもないくせに、HFTについてCNBCの番組でお話させてもらったりもした(笑)
なんでかって?
マーケットの向こうで戦っている相手であるHFTを知る努力をしていたから。
取引所の知人に頼んで、HFTの人たちとの飲み会開いてもらって色々と聞いてみたり、HFT大手のアジアヘッドを紹介してもらって意見交換させてもらったり、色んなレポートや欧米での動向分析をして、これからどうなるのか、彼らがどんなことをやっているのか知識を得ようとしていたから。ただ理解もせずに悪とレッテルを貼るのではなく、彼らの優位性がどこにあり、彼らが悪と言われる要因や問題点を知ろうとしていたから。
 
2000年代前半では「アルゴリズム取引」で同じようなことをした。外資系証券の友人たちに頼み込んで、7社ぐらい回らせてもらったかな。アルゴの開発チームの人とミーティングさせてもらったり、レクチャー受けたり。戦っている相手を知ること。それも大事な知識だと思っていたから。
 
そんな自分でも、今は知らないことばかりの世界で情けないほどに苦労している。
色んな場所で、(相手が年下であろうがなんだろうが)色んな方に教えを請い、本や資料を読み漁り、勉強中だ。
最近はマーケット関連よりも、自分の立場や仕事柄、各国の法律や規制や税金とか、ビジネス周りが圧倒的に多いけど(^^;
 
いい年こいて、恥ずかしいぐらい色んな場所で「すいません、今の単語知らないので教えてください。」と食いついてる(笑)
でも恥はそのときだけのこと。
知らないことを知ることが出来る方が何十倍も価値がある。
自分がこれから担う責任を考えたとき、「そのとき」には自分はその道のプロとして胸を張れるように成長していなければならないのだから。
 
学びのプロセスは苦しいし、疲れるけれど、それは成長しようとしている証でもある。
 
多分に主観の混ざった知識や、恣意的なバイアスのかかった知識、いかにもすごい手法的な売り文句に飾られた安直な知識ではなく、「ただの知識」こそ大事にして欲しい。
その「ただの知識」という情報を元に判断を下すことこそが、運用者としての「自分自身の存在意義」になる。
ましてや相場を張るプロを目指すなら、誰かのコメントに振り回されるのではなく、誰かに聞かれるぐらいになってみせて欲しいと思う。
 
若いうちは時間もエネルギーも吸収力も全然あるんだからさ。
この年になって、知らないことばかりの世界でヒーヒー言ってるおっちゃんよりは間違いなく…ね(笑)

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ほんとうに感動してます!でも、がんばりすぎないで・・

お勉強の内容も、学ばなければいけない量も、私には思い浮かべることができない??くらい大変な状況で、なんだか心配です・・海辺に出かけるお時間は、なかなか見つけられないですね・・・なにか身近なカフェで休憩とか、映画鑑賞とか、ささやかな楽しみで気分を変えたり?お勉強は、わりと長く続いてゆくようですので、無理しすぎないでください・・・

Re:ほんとうに感動してます!でも、がんばりすぎないで・・

>yoko23jewelsさん
ありがとうございます(^.^)
週末シンガポールでは孤独死しそうなぐらい暇?な時間をちゃんと?過ごしてますよ(笑)
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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