【トレード】一言物申す
運用の世界で成長し、成功し、長く生き残る運用者になりたいのであれば、「運」だけではどうにもならない。
たまたまいい相場で稼げた人が、数年後には消えているなんてことも沢山見てきた。
相場のおかげで稼げたのと、自分の運用者としての力量を履き違えてしまうとそうなる。
一方で、難しい相場をしっかり乗り越えてきた人は長く続けている人も少なくない。
相場は色んな表情を見せる。
静かな凪のような時もあれば
嵐のように乱暴な時もある
稼ぎやすいマーケットもあれば
稼ぎにくいマーケットもある
あるストラテジーが機能する相場もあれば
それが機能しなくなる相場もある
様々な相場環境や相場の変化を乗り越えていかなければいけない。
どんなに成功した運用者であっても、十年先、二十年先も稼ぎ続けられるかどうかは「?」だ。
自分も二十数年運用をしてきたけれど、今ではその実績も所詮は過去のもの。
自分は現役を離れ、選手から監督(もしくはGM?)のような立場に変わった。
それは自分の経験を活かして、後輩達のために道を切り拓いたり、彼らがのびのびと運用できる環境を作ってあげる側にいた方が「役に立てる」と自分で思ったから。
それは一方で、運用者として、過去の自分の最高益を超える自信や、それを実現するために様々なものを切り捨てても運用に集中する覚悟がなかったからかもしれない。
中途半端に運用にしがみつくぐらいなら、少しでも会社や周囲の人々、業界にとって役に立てる自分であるべきだと思って現役を離れる決断をした。
そしてそれに後悔はない。
給料をもらうってことは、人(会社)の役に立ってはじめて正当化される。
ディーラーという仕事を続けるならば、一定以上の収益を上げ続けなければいけない。
そしてそれを続けるためには、常に自分をブラッシュアップしていく必要があるし、マーケットの変化に適応させていく必要がある。
多くの人が過去の成功体験を引きずり、自分を変化させることが難しくなって、気がついてみたら過去のようには稼げなくなる。
自分だってその一人だと思う。
「過去に月に億単位の収益を上げた」
そんなの何人もいたしね。
それこそ自分たちの世代は月に1千万上げてようやく一人前と言ってもらえた世代なんだから。
確かにそれなりの位置にまでいったかもしれないけど、常に自分よりすごい運用者を見てきた。
どちらかというと上しか見ないで自分にプレッシャーかけ続けてきた。
それに現役世代が今のマーケット環境、リスク許容度の中で月に数千万稼いでいる方がよっぽどすごいと思う。
本の話が来たとき、正直最初は断ろうと思った。
過去の運用者が何か書いたところで…と思ったりもしたから。
マーケット環境は変わったし、当時使えた手法やらを語ってみたところで、今のマーケットでどんだけ通用するもんだかって自分で思っていたし(笑)
でも変わらないものもある。
特に「入社一年目、二年目のような若い世代に伝えたいこと」を書いてくれと言われた一言が腰の重い自分をその気にさせてくれた。
基本的なことや、大事にしてほしいこと、マーケットと向き合っているうちに疎かにしがちなことって、やっぱり昔と変わらないものもあるから。
そんなおじさんが、そんな世代にちょっと一言物申したい(笑)
勝負の世界で稼げるようになりたいと思って、きっとこの世界に挑戦してきたんだろ?
でもな、実績も知識も経験も、全てが足りていない状況で簡単に稼げるようになるほどこの世界は甘くないよ。
だから必死にならなきゃ。
結果も出せていない。
努力も中途半端。
それでも給料もらって、リスクも取らせてもらって、損も出してる。
それっていつまでも続けられるもんじゃないし、そんなつまんない状態をいつまでも続けたくもないだろ?
稼げるようになるために何が足りないのか?
それは自分自身の中にあるよ。
それを必死に探して、足りないものを身に着け、成長し、経験しながら強くなる。
相場と真摯に向きあい、必死に全力で取り組み続けてはじめて見えてくるものがある。
相場は恐ろしいほどに平等だよ。
エリートであろうが、そうでなかろうが、平等だ(人為的な不公平はちょっとあるけど(笑))。
どんなにいい大学出ていようが、それでなんとかなるもんじゃない。
一方で、エリートでもなく、単なる落ちこぼれだった自分がそれなりのディーラーになれた。
それはこの仕事が大好きで、マーケットが大好きで、だから懸命に真摯に向きあい続けてこれたから。
昔と違って、この仕事を望んでも、そのチャンスをつかみ取れる人は少ない。
ディーラーという職種自体が大幅にシュリンクしているんだから。
クビになってもどっかが拾ってくれた時代とは違う。
生き残り、成功を勝ち取らなければ次はないと思った方がいい。
せっかく望んで掴んだチャンス。
半端なマネだけはすんなよ。
結果としてダメでもいい。
マイナスで終わったとしても、それが自分なりに必死にやりきったと胸を張れる形であるなら、それでいいよ。
全員が勝てるようになる仕事ではないから。
どんなに懸命になったとしても、結果が出るかどうかは分からない。
でも、どんなに可能性があったとしても、それを活かすために懸命になれなきゃ、その可能性は最大化できない。
自分の未来のために、全力を尽くしてほしい。
その可能性をどぶに捨てるような時間の過ごし方はしないでほしい。
そしてこの道を諦める時がきても、つまらない後悔だけはしてほしくない。
うまくいかないことを人のせいや環境のせい、市場のせいにしても、それは何の意味も持たない。
自分よりうまくいっている人を妬んだりしている暇があったら、それを素直に認めて敬意を払ったうえで学び、自分の成長の糧にした方がよっぽど意味がある。
怒ってくれる先輩がいるなら、それはありがたいこと。
まだその可能性を諦めてないからこそ怒ってくれる。
もうこいつ無理だなと思ったら、きっと誰もかまってすらくれなくなる。
だってみんなそれぞれが必死に相場と向き合い、戦っているんだから。
とにかく悔いを残さないように。
限りのある残された時間を全力で相場と向き合って欲しい。
そしてその苦境を乗り越えて、結果を出せるようになってからが、ようやくスタートライン。
運用者として、その道を歩き続ける限り、常に自分と向き合い、相場と向き合い、ブラッシュアップし続けていかなければならないのだから。
あ、一言どころじゃなかったな(^^;