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【相場雑感】システムの時代

今日は引け後にとあるシステム会社さんに呼ばれて訪問。



アルゴリズム・トレーディングのシミュレータについてのアドバイスを求められた。流動性やマーケット・インパクトまでを精緻に分析したうえでのシミュレーションなのでより実績値に近いものが出せるというもの。



とても興味深かった。

一昔前、自分がシステム・トレードのバックテストで四苦八苦していたことを思い出した(^^ゞ

あの頃はPCのスペックも低く(ようやくPentiumⅡとかそれぐらいだったと思う)、処理しようにも自分のPCでは限界点が低かった。



225銘柄をユニバースにあれこれやってみるんだけど、バックテスト終わるのに数時間は当たり前…(最長2日間かかったこともある)。しかもその頃は処理能力の限界から日々の価格情報のみを使ってやっていた。



今日相談を受けたのは、日中の板情報からティックデータまですべてを精緻に解析し、そのデータに基づいて検証できるという代物。



ただそのレベルのデータ・検証を活かすトレーディングをしようと思うとアルゴ、そしてコロケーションとかまでを使うぐらいのレベルでシステム運用していないとちょっと合わないかな。



となると個人や中小証券の自己ではまず無理。外資系や大手、銀行系やその顧客でHFTやってるところなんかになるだろう。



あの頃を思い出すと、時代の変化を強く感じた。



例えば「裁定取引」。

自分が入社した頃は取引所銘柄とシステム銘柄が分かれていて、8インチの薄っぺらなフロッピーを使って発注していた。



先物と現指数の価格差を見ながらチーフ・ディーラーが「Go!」を出す。

そしてアシスタントがEnterキーを押すと…

カチャ…カチャカチャ…

と8インチフロッピーが動いて225銘柄への注文が流れる。



全部出来るまで何十秒かはかかっていたかな?初期は何分もかかっていたらしいけど…。



そんで約定が返ってくるんだけど、その値段を一つ一つExcelに打ち込み、それでようやく225現物株式をいくらで買えたかが判明する(^^ゞ



で、出来上がった価格と先物との価格差が見込み通りだったら儲かってるって感じだった。



この頃はうまくいくと何十円もサヤが抜けた。初期の頃では数百円単位で抜けていたこともあったらしい、ソロモンのチームが荒稼ぎしていた時代。この時代、現物より先物が何百円も高いと相場解説者が「先高感で先物が買われた」と当たり前のように語っていたそうだ…一応「理論価格」があるんですけどねぇ(-_-;)



今はそれが瞬時に行われ、目で見てどうのこうのする時代ではない。

システムによる監視の下、ミスプライスは瞬時に吸収される。



隙間といえる隙間はどんどん小さくなり、何分が何秒、そしてミリセカンド、マイクロセカンド…すでに人間が視認できるレベルのスピードではなくなっている。



トコトン資金力があり、資金調達コストの安いところでなければ裁定取引はできなくなった(日系中小証券は最後にドイツ証券にSQでトドメを刺された…)。HFTなどもそう。コロケーションなどを利用し、設備に金をかけ、薄利多売が成立するところしか生き残れない(彼らはLANケーブルの長さ、ラックの位置でもめるらしい…)。しかも裁定取引すら利益の源泉ではなく、株の調達(在庫管理)が主目的になりつつある(ヘッジファンドなどへのレンディングに使われる)。



中小証券や個人投資家はそういった世界の対極にいかなければ生き残れなくなりつつある。

自分は「原点回帰」なんだと思う。



「相場を取る」



当たり前のことなんだけど、日計りだけをやらせ、一カイ二ヤリばかりをさせてきた中小証券ではなかなか切り替えられない。



ある程度のスパンで相場をしっかり取れれば、まだまだ人間はシステムに負けない。

昨年「Battle of Quants」でパネリストとして出たときに話したことだけど、高速性や広範囲に渡った同時監視といったことはすでに人間よりシステムの方が上だ。でも相場の流れを読み、それを取るということにおいてはまだまだ人間が戦える余地がある。



相場のことを考え、色んなものを見て、分析し、決断する。

当たり前のことだけど、中小証券のディーラーはそんなことすら怠ってきたディーラーも少なくない。

ニュースも見ずに、チャートも見ずに、板カンだけでやる商いはもう通用しなくなっていく…(中にはいまだにとんでもなくすごいヤツもいるけど)。



地力が求められる時代なんだろう。

だからこそこのマーケットを勝ち残れるヤツはきっとこれからの十年を戦っていけるんじゃないかな。



今が踏ん張りどきなんだと思う。

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質問

できれば、
「日系中小証券は最後にドイツ証券にSQでトドメを刺された…」
っていう所を、いつ頃どういうことがあったのかを教えていただけないでしょうか^^;
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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