【トレード】攻めと守り②
常にフルスイングで勝負していないと満足できない。
もしそれで儲かったら、『もっと勝負しておけばよかった』と損をした気になる。
その貪欲さは評価できる。
でも損をしたときのこと、その相場観が間違えていたときのことを想像しないと。
相場は表情を変える。
銘柄によっても値動きが違う。
自分の置かれている状況もその時々によって違う。
バブル的な勢いのある上昇相場やパニック的な急落相場。
少なくとも方向性が極端に強く、ボラティリティが大きい相場。
順張り的なリスクをとっても成功率は比較的高い。
そういった相場では値動きが大きくなり、同じ金額でポジションをとっても損益のブレは当然大きくなる。
そういった相場で逆張るのであれば、それは結構なリスクになる。
そういったときにはポジション量を抑えるなり、打診売り(買い)から入り、状況を見ながらポジションをコントロールするなどのリスクコントロールが求められる。
でも何も材料がなく、値動きの乏しいボックス相場ではチマチマやっていてもなかなか利益は増えていかない。
かといってそういった相場では出来高自体も減少しがちなので、極端に大きなポジションを取るとさばくのが困難になる。
大型株の値動きと小型株(特に直近IPOなど)の値動きもまた全然異なる。
同じ1億円でも損益のブレは全く違ってくるし、流動性も異なるから、それに伴うリスクも変わってくる。
そして自分自身に余裕があるときとないとき。
積極的に攻めていいときと、守りを固めてコツコツと利益を積み上げる必要があるとき。
特に損が出ていて苦しい時にコツコツとやるなんてのは修行しているようなもんだ。
我慢に我慢を重ねて少しずつ取り返しても、不用意なトレード一つでまた振り出しに戻るなんてこともザラ。
一歩ずつ階段上っているのに、あっという間に落ちる。
モグラたたきのモグラになっているような気分。
でもキレたら負け。
歯を食いしばって乗り越えていくしかない。
またお金の色を理解しておかなければいけない。
自分のお金であっても、最悪なくなっても生活に困らないようなお金なのか、絶対になくなっては困るようなお金なのか(個人的にはそういったお金では相場を張るべきではないと思うけど)、リスク許容度が変わってくる。
ディーラーやファンドマネージャーなどの他人様のお金を預かる身ならなおさらのこと。その会社や投資家のリスク許容度を理解しておかなければならない。ディーラーなんて会社によってその許容度は大きく違ってたりもする。
それに合わせてどこまで攻めていいのか、守っていかなければならないのかをバランスしていく必要がある。
自分の置かれている状況を客観的に分析し
自分自身の状況を客観的に分析し
相場環境や銘柄の値動き・特性を客観的に分析し
合理的にそれに合わせてリスク量をコントロールする。
その強弱こそが『攻め』と『守り』だ。
多くの人が儲かったときのことだけを想像し、全力で勝負してないと儲かったときにもったいないと思う。
自分だって『もっとやっときゃよかった』と思ったことは一度や二度ではない。
でも実際には負けることもある。
そして全力で勝負し続けて負けたときは大きなダメージを負う。
相場はやらなければやられることはない。
日計りなどの短期運用で勝率を上げていくためにはポジションを取らずに見ているときだって必要。
ポートフォリオマネジメントにおいても、リスクを抑制しておくべきときも必要。
『待つのも相場』
実際にはヤラレてもいないのに、『やっておけばよかった』『もっと勝負しておけばよかった』と損をして気分になってしまうのは心情としては理解できるけれど、それは合理的な考え方ではなかったりする。
やらなければ儲け損なうことはあってもヤラレではない。
合理的かつ客観的な分析に基づいてトレードに強弱をつける(リスクコントロール)。
それに『待ち』が出来るようになれば、少しずつ勝率も、損益のバランスも改善していくはずだ。
自分がディーラーだった頃
・勝率(個々のトレードおよび日々の損益)
・利益と損失のバランス(損小利大)。最大利益と最大損失、平均利益と平均損失がどちらも利益が大きいこと。
を常に意識し、自身のトレードを必ず毎日、毎月分析していた。
歯車が狂い始めたとき、自分を客観的に分析し直してみると、どこかにその要因が見えてくる。
『攻め』と『守り』と『待ち』
それを主観的(悔しい、焦り、思い込み、怒り…)ではなく客観的な分析に基づいてバランスできたとき、最終的に積みあがる収益は変わってくるはずだ。
毎月・毎年の損益は、結局のところ一つ一つのトレードの積み重ねでしかない。
その一つ一つのトレードを大切にできなければ、ブレばかり大きくなり、数字は残らない(シャープレシオ)。