【ビジネス】MarketForum⑧
正直、不安だった。
でもせっかくいただいた機会を無駄にしたくはない。
会場をご提供いただいた東京証券取引所の方を始め、協賛企業の皆さんにもお声がけして知恵を貸してくださいとお願いした。
理事、協賛企業の方々、そして自分自身の知り合いの方々…いろんな方に相談してみた。
失敗するかもしれない。
でもやる前から諦めていては何も前に進みはしない。
その頃、AIJ問題がファンド業界に大きな影を落としていた。
そしてディーリング業界は先の見えない状況に陥っていた。
そんな中でどんなメッセージを伝えていきたいのか?
それを考えて、香港拠点でファンドオブファンズを経営をされている先輩や、ヘッジファンド業界の方々、金融庁の方にも力を貸していただいた。
講演料すらないのにも関わらず、錚々たる方々がパネルディスカッションにご登壇してくださった。
三部構成
第一部 ディーリング部門のマネジメントの方やミドル・バックオフィスの方向け
第二部 その年素晴らしいパフォーマンスを上げたヘッジファンドのマネージャーさん達のパネルディスカッション
第三部 金融庁が取り組まれた新たな投資一任スキームについての解説と、ファンドの立ち上げやビジネス全般について
多分、第一部は大コケするかもしれないと思った。それもあって自分を始めとした理事と法人会員企業の方でそのパネルは構成した。
恐らく一番聞いてほしい各社のマネジメントの方やミドル・バックオフィスの方はそういう場所には出ては来ない。何かを学ぼう、何かを変えようという意思が感じられない人が多かったから。本当はその立場にいる人こそが問題や課題と向き合い、真剣に学びながら変えていかなければならないのだけれど…。
それでも100名を超える方が第一部から参加してくれて、第二部、第三部と成功裏に終わった。
沢山の人が知恵も力も貸してくれた。
お金の世界のことだけれど、お金ではなく思いで沢山の人が動いてくれた。
この世界は捨てたもんじゃない。
業界を活性化する。
若い世代の為に何か出来るのなら。
みんなそんな思いで動いてくれた。
普通ならメディアや取材には応じないような凄腕ファンドマネージャー達までもが。
無事会が終了したとき、思わず嬉しくて涙が溢れた。
自分はこの活動を通じて、本当に沢山の知己を得、沢山の経験をし、沢山のものを学び、そして何かを変えていけるのだと信じられるだけのものを得ることが出来た。
その頃から、初代、三代目理事長をやってきた自分の頭には『後輩達に託し、彼らにそんな経験をしていって欲しい』という思いが高まっていった。