【回想録?】運用者からマネジメントへ
2010年11月から2011年2月まで書いていた【回想録】。
自分が新卒で証券会社に入社し、ディーラーとしてスタートしてから、それなりにディーラーという仕事と向き合い成長していった過程、そしてファンド挑戦、挫折までの道のりを書いた。
元はといえば、当時元部下が甘えた相談してきたのがきっかけだった。
結果を出せていない。
努力も足りていない。
彼は自分に厳しく向き合うことも出来ずに、ディーラーという道を閉ざされかけて、元上司である自分になんとかしてもらえないかと言ってきた。
もちろん厳しい言葉で話さざるをえなかったけれど、彼にはこの道はそんなに甘いもんじゃないということを知って欲しかった。
そして当時それなりのディーラーになっていた自分だって『何もなかった』時代があり、若手としてただ懸命に頑張り続けた下積み時代があったことを知って欲しかった。
自分の可能性を広げることも、閉ざしてしまうことも、自分次第なのだということを知って欲しかった。
そしてどれだけ大きくなったって足掻き続けているんだってことを知って欲しかった。
彼が読んだかどうかは分からないけれど、同じように若く、これから運用を志す人達の目に止まればと思っている。
そこでは現在の会社に入社する前までを書いた。
所属している会社での苦労話はなかなか書きづらい(^_^;)
またいつか続きを書こうとは思っているけれど。
でもその新しい章は運用者としてではなく、マネジメントとして、部下であるディーラー達のために、これからを目指す若手の為に四苦八苦してきた話になるだろう。
自分が入社した頃、正直に言って今の会社はディーリングもトップグループにいる会社にははるかに及ばない印象があった。
実際、管理体制や運用、ストラテジーなんか驚くほど古く、派生なんて出来たもんじゃなかったし、日計りや一カイニヤリがほとんどの状態だった。
業界でディーリングが強いといえばA証券、Y証券などであり、ウチの名前はあまり聞くことはなかった。
でも今では人数も、運用ストラテジーの多様性も、収益力も業界トップクラスになっていると信じられる。
要するに変わってこれたのだ。
先月の不安定な相場でも今期最高益を叩き出してくれたウチのディーラー達。
彼らを支えるスタッフ達。
最近では誇らしいとすら感じられる。
でも最初からそうではなかった。
沢山の苦労もあった。
そんな話をいつか伝えられたらとは思う。
ディーラー達はちゃんとした運用体制を作ってあげれば、まだまだ稼げるやつらが沢山いるということを知って欲しい。
彼らの可能性を各社のマネジメントには信じてやって欲しい。
もし今期収益が低迷しているのであれば、それはディーラー達だけのせいではないかもしれない。
今年の三月末。
かつては名門と言われたディーリング部が二社で閉鎖になった。一社はかつて自分が所属していた会社だ。月に億を超える収益を上げられるディーラーが何人もいたところだ。
今期末はもっと多くの会社で閉鎖があるかもしれない。
でもその前に…
ディーラー達の可能性や能力を全力で引き出してやれたのかどうか?
マネジメントとして考えてみて欲しいと思う。
俺自身、それをいつも自問自答している。
マネジメントとしてやるべきことを一つ残らず全力でやりきったか?
あいつらの可能性を俺が潰すようなことがあってはならない。
だからいつも走っている。
仲間や部下からは『こんなに忙しそうな部長初めて見た』とよく言われる。
でもね、悔いを残したくはないんだよ。
俺の努力不足や怠慢で部下の可能性が閉ざされるなんてあっちゃいけない。
いつも自分に言っている。
『もっと考えろ。』
『もっと動け。』
『もっと頑張れ。』
部下であるディーラー達が幸せであること。
相場が大好きなやつらが大好きな仕事を夢中でやれること。
こいつらがここにいることを誇れるようにしてやりたい。
彼らの笑顔が自分にとっては最大のご褒美であり、原動力なんだ。