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【マーケット】SQ今昔物語⑥

最後に…

メジャーSQとミニSQではSQ予想をしていくうえで見るべきポイントが違います。

オプションだけのミニSQでは、オプションだけがSQ決済されて、先物は決済されません。
つまりオプションのポジションに対して先物でヘッジしていた場合、先物だけが残されてしまう。
オプションによる合成先物が一番分かりやすいでしょう。同一権利行使価格のコールを買って、プットを同枚数売る。そうすると先物と同じ損益特性を持つポジションが出来上がります。それに対して同枚数先物を売る。つまりオプションと先物を使った裁定取引です。最近の建玉状況などはそんなに見ていないのでどれぐらいやってるところがあるかは分かりませんが。

そういったポジションを組んでいた場合、ミニSQではオプションで組んだ合成先物だけが決済されてしまい、先物の売りだけが残されてしまう。それでは裁定取引にはなりません。そんなときは日経平均型の現物バスケットを同金額分SQ寄り付きで買いにいきます。そうするとSQ値でオプションは決済されますが、同じ値で現物バスケットを買うことになるため、現物買い、先物売りの裁定ポジションに置き換えることがリスクなく出来るのです。

メジャーSQの場合はオプションと先物が同じSQ値で決済されるため、基本的にそういったことを行う必要がなくなります。先に書いたようなスプレッド市場の動きや、期近の建玉状況から見極めていくのが本筋でしょう。

市場には様々な参加者がいます。
裁定業者というのは、実は非常に大きな影響を与える可能性がある存在です。SQだけではなく、指数の銘柄入れ替えなどでも。右も左もパッシブ運用(指数に連動するようにポートフォリオを構成する運用)みたいになってきた昨今。インデックスに絡んだ売買は個別銘柄に与える影響もかなり大きなものになっていますから。

2000年4月。
日経がエライことやらかしてくれたのをご存知ですか?
採用銘柄の大量入れ替え。ITバブルに乗っかって、従来の重厚長大産業銘柄を外し(低位株)、思いっきり割高に買われていたIT関連銘柄をまとめて入れ替えた。
これが日経平均株価の暴落を引き起こしました。
TOPIXはたいして下がっていないのに…です。ぜひその頃の日経平均株価とTOPIXのチャートを比較してみてください。
そのときの日経平均株価の徐数は10程度から、発表時点での試算で17超まで跳ね上がり、実際に入れ替えされたときには軽く20を上回っていました。
そのときの入れ替え最終日の対象銘柄の値動き、先物へのとんでもない売り。怖いとすら感じる状況でした。それも指数の計算方法と裁定業者のことをある程度理解できていれば、『いい投資機会』になったはずです。何も理解できていない人は何が起こってるのかパニックだったでしょうけど。

普段はあまり意識しないでしょうが、そういった知識を持っておくこともいつか役に立つことがあるかもしれません。
ややこしく感じるかもしれませんが、少しぐらいはかじってみてください。

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tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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