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【マーケット】SQ今昔物語③

まぁややこしいこと書きましたけど、儲ける隙間を見つけるためにはそれだけ色んなこと勉強して、分析して、データ集めて、調べて、考える。

そんな地道な努力が沢山必要だったってことだけは理解しておいてください。

楽して儲け続けられるほどこの世界は甘くはないので。

 

で、そんな感じで裁定取引をやっていたわけですが、その当時は取引所集中義務もあり、手口も公開で、透明性も高かったのでデータさえしっかり揃えておけば、分析はそんなに難しくはなく、SQでどこが買ってくる、売ってくるとかの予測も立てやすかったのです。

 

ただ時代は変わっていく。

手口が非公開になった。

個別株の手口も見えなくなったことで裁定業者の動きをリアルタイムに把握するのはほぼ出来なくなっていきました。

 

取引所集中義務がなくなったため、市場を通じた取引以外のポジションが増え、見える範囲のデータで分析しても当てるのが難しくなっていったのです。

 

そして『スプレッド市場』が開設された。

先物の当限と期先(例えば、2017年3月限の日経平均先物と2017年6月限の日経平均先物)の売り買いをセットで行える市場です。期先を基準に考えますので、『スプレッドを売る=期先売り、期近買い』『スプレッドを買う=期先買い、期近売り』になります。

その価格差を売買する市場がスプレッド市場です。

 

先に先物には『理論価格』があることに触れました。

3月限にも6月限にも『理論価格』は存在します。

つまり3月限と6月限の『理論スプレッド』というものもあるわけです。

 

現在の例でみると、来年3月限の日経平均先物の理論価格は原資産から▲44.17円、6月限は▲171.16円です。その価格差は▲126.99円。
3月限は日経平均株価に比べて40~50円程度安い価格で推移していれば理論価格通り。6月限は170円程度安い価格で推移していれば理論価格通りで、3月限に比べてみると120~130円程度安い価格で推移していれば理論スプレッド通りになります。

 

スプレッド市場で売買が活性化するのは概ねメジャーSQ2週間前ぐらいからでしょうか?

SQを迎えると当限(期近)の先物はSQ値で決済されて消滅します(SQ値で反対売買したことと同義になってしまう)。

そのため継続して先物ポジションを維持しなければいけない人たちは『ロールオーバー(限月を期先に乗り換える)』を行います。

期近の先物を買っている人は『期近を売り、期先を買う』、売っている人はその逆です。

スプレッド市場が出来る前までは、そういう人たちは基本的にそれぞれの市場で板を見ながら入れ替えを進めていくしかありませんでした。

スプレッド市場が出来たおかげでそこで価格差に従って売買を行うだけでその行為が一回の取引で可能になったのです。

 

スプレッド市場が開設されたばかりの初のメジャーSQ。

限月間の価格差を取引するスプレッド市場。価格差の取引に過ぎないし、理論価格もあるのだから動いても知れているはず…と思っていたら…。
そのスプレッド市場がすごい動きを示したのを覚えています。

チーフがそれで勝負して1億円以上の利益をたたき出していたので忘れられません。

なんでそんな風なポジション取れたんだろう?と当時若手だった自分は不思議でしたが、突然チーフがスプレッドを2000枚以上売った(期先売りの期近買いを同枚数建てたのと同義)。確かに期近の買いと期先の売りなので、市場リスクは大したことはないのですが、当時はラージしかなかったので結構な金額です。だってスプレッドが10円動くだけで2000万は損益ブレることになるんですから…。
『おっかねぇポジション取るなぁ。』

『大丈夫なんか?』
と思っていたんですが、数日もたたずにスプレッド市場はその予想通りにつぶれていきました(売られていった)。
しかも理論価格を大幅に下回っていき、最後はちょっとパニック的な売りが出るまでいきました。チーフはそこできっちり買い戻して億を軽く上回る利益を得ていた。SQ直前にも関わらず、論理的に考えればおかしいとしか思えない下げ方でした。

まぁ次のメジャーSQからは学習効果かそこまで無茶苦茶な動きはなくなりましたけど。


結局のところ、SQも『需給』なんです。
先物の建玉がある以上、売っている人と買っている人がいます。
メジャーSQでは、どちらも何もしなければただ清算・決済されてしまいます。
でも建玉を(ロールオーバー)残しておかなければいけない人もいます。
メジャーSQを読む上で考えなければいけないのは基本的にその需給です。

例えば投資信託。
先物をポートフォリオに組み入れていれば、SQで決済されてしまうと困りますよね?

決済されたのをいちいち投資家に返すわけにもいかないですし、かといってSQ値決まると同時に期先に乗り換えにいっても大きな金額動かせば市場に影響を与えてしまい、結果大きなコストを支払う羽目になる。なのでSQまでにロールオーバーするのが基本になります。
また先物でヘッジかけている(売り)人も、SQまでヘッジが有効ならいいというなら構いませんが、それでは困る場合もある。だからロールオーバーが必要になる。
裁定業者は…ちょっと特殊です。彼らは基本的には裁定買いポジションを有しています(先物は売り、現物バスケット買い)。SQで先物の売りだけ決済されてしまうと、現物バスケットの買いだけが残ってしまい、えらいリスクになりかねません。なのでその裁定ポジションを維持しようと思うのであれば先物をロールオーバー(期先に乗り換える=期近を買い戻して期先を売る)するのですが、いざとなればSQで決済したっていいわけです。SQ値は全構成銘柄の寄値で決まります。なので裁定買いポジションをSQで解消しようと思えば、持っている全銘柄を成り行きで売って寄値で決済。先物は同じSQ値で決済されるわけですからリスクはありません。実は彼らはSQでの動きを結構左右しかねない存在だったりするのです。

そしてロールオーバーしないでいい人は、SQで先物を決済されても構わないという人たちになります。もしくはSQで先物を決済されても、同時に同等のポジションを現物バスケットに入れ替える人とか…。

なので各社の先物・オプションの建玉からロールするであろうポジションと、そうではないであろうポジションを分析し、スプレッド市場の状況から予想を立てていくのが基本になります。
http://www.jpx.co.jp/markets/derivatives/open-interest/

スプレッド市場の価格差が理論価格よりも高いのであれば、買い方がロールを急ぎ、理論価格より割高であっても期先への乗り換えを急いでいるということになります。理論価格より低いのであればその逆。
SQ当日までロールオーバーされずに残った当限の先物建玉は、そのまま決済されるか、SQで同じ金額になるよう現物バスケットを発注して先物から現物に乗せ換えるという作業を行うことになります。

情報量が少なくなっていることもあって、SQ予想は昔よりはかなり難しくなりました。

でも毎回データ集めてしっかり分析していると気づくこともきっとあるはずです。
日々データを集めて分析する。
そんな地道な努力も年に何度かは収益機会に活かせることがありました。
どんなに面倒くさくても、知らないよりは知っていた方がいい。

ま、裁定業者経験ある人なら当たり前のことでしたが、それ以外のディーラー達はほとんどデリコメ情報をアテにしていたかな?(^^;

さて知識の話ばっかりだと疲れるだろうし、次はただの昔話で…

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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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