【ビジネス】絶滅危惧種と呼ばれて④
具体的には
根本的にはトレーディングスパンをより長くしていくこと。
日計りでも一カイ二ヤリではなく、少しでも長く。
出来るならもっともっとずーっと長期に。
HFTが得意とする瞬間的な短期売買というやり方から離れて中長期運用でやってみれば、彼らの存在はさほど気にならなくなるはずだ。
ただそのためには市場や銘柄の分析をしっかりとやる必要があるし、思考停止ではいられない。
これまで見ていた板ではなく、見るべきものは大きく変わるはずだ。
投機ではなく投資に近い運用。
瞬間的な鞘取りではなく、相場の流れを読み、しっかりと相場を取る。
前から同じこと言ってるけど『原点回帰』だ。
(ちょっと脱線)若い世代は知らないと思うけど有価証券取引税なんてものがあった時代は一カイ二ヤリなんてヤラレにしかならなかった。そんな売買してたら上司に怒られかねない時代もあったんですよ。「ちゃんと相場を読んで、相場を取れ』とよく言われたもんでした(^^;
せめて同じ一カイ二ヤリをするなら、HFTがあまりいない銘柄、市場を選択する。流動性の少ない中小型株や新興市場(売買コストのより高いジャスダックなど。ただしこれは今後修正されていく)。大型株についてはHFTも沢山いるし、取引所が行った呼値適正化(この制度変更は自分は超ネガティブですが、これについては今回の話とはズレるので割愛)によって人間が手動で取引するのはより難しくなっているので避けるべきだろう。
最低限、そういった変化を実現できるようにマネジメントが後押ししてあげる必要がある。
オーバーナイトがダメ、売りもダメ、ジャスダックはダメなんて制約かけていたら、現場で戦うディーラー達が可哀想だ。
もちろんそれ以外にもマネジメントとして、いろいろと取り組むべきこと、考えるべきことは沢山あるけれど、せめてそれぐらいは…と思う。
マネジメントとディーラーが共に変化し、適応する努力が出来ているかどうか。
淘汰の波を生き残れるかどうかの違いはそこが大きい。
そしてそういった『変化』をある程度実現できている会社のディーリング部は現在も生き残り、懸命に現在を戦っている。
ウチでは50名近いディーラーが多種多様な手法で自由に(※)戦っている。
ウチだけがよければいいというのではなく、業界全体としてより強く、健全に未来を作っていければいいと思う。
運用の世界を志す若い世代にとって狭き門となってしまった運用者への道。
それを守るためにはグローバルな規制(ドット・フランク法、ボルカールール)による制約を受けにくい我々のような存在が必要なはずだ。
そして我々はこれから数年、もっと先を考えていかなければならない。
自分が今一番恐れ、難しいと思っているのは『AI』だ。
HFTなんかよりよっぽど怖い存在。
我々のみならず、人の生活や仕事を大きく変えていく可能性を秘めている。
それらを知る努力、理解する努力、活用する努力を今やっておかなければいけないと思っている。
現在、ここで戦っている部下達の未来を守り、切り拓くためにも、彼らの存在を脅かしかねないものをHFT同様にただ嫌い、排除するのではなく、理解し活用し、共存の道を模索していきたい。
マネジメントの立場にある自分が考えなければいけないのは、彼らの現在そして未来なのだから。
(※)自由といっても市場ルールはちゃんと遵守したうえで。制約の少なさという意味ではまだ十分じゃないかもしれないし、自分は満足していないけど相対的にはかなり自由度の高い環境は作ってあげられていると思っている。ホントにどれだけ彼らが自由を感じているかはウチのディーラーに聞いてみてください(笑)