【ビジネス】絶滅危惧種と呼ばれて③
ではどうすればよかったのか?
2009年だったかな、バトルオブクオンツというイベントが日本で初めて開催された。
そのパネリストで招待してもらったことがある。
テーマは『機械vs人間』5名のパネリスト。3名はHFT系のファンドの人たち、2名は手動で売買をする旧来のトレーダー、ファンドマネージャー。
もちろん自分は後者の方だった。
もう一人はロンドンのヘッジファンドマネージャー。
そしてその5名で名刺交換をしたときに驚いたのは前者の人たちの名刺にトレーダーとかファンドマネージャーなんて肩書は一人もいなかったこと。
もらった名刺には『Professor』『Scientist』と書かれていた。
もはや運用者ではなく、研究者・学者の人たちなんだと驚かされたことを今でも覚えている。
ただ彼らは決してそのパネル・ディスカッションで優位な立場ではなかった。
なぜならその前年が『リーマン・ショック』だったから。
サブプライムローンに端を発した金融不安からベアスターンズ、リーマン・ブラザーズが破たんに追い込まれ、数十年に一度?とも言われる大暴落が発生した2008年。
彼らのデータ、分析では起こりえないはずのことが起きた年。
市場は一時的に恐怖やパニックに支配され、感情的な動きをした。
その市場におけるパフォーマンスは当時はまだ人間の方が圧倒的に優位だったのだ。
対HFTで言うならば、人間にはまだ優位性はいくらでもある。
取引速度は圧倒的に彼らの方が優位だろう。
そして広範囲に市場監視することも機械の方が強い。
それを理解し、受け入れたうえで同じ土俵で戦わないこと。
自分達の優位性がどこにあるのか?
自分たちの弱点がどこにあるのか?
相手の優位性がどこにあるのか?
相手の弱点がどこにあるのか?
ディーラー達はそれらをしっかりと理解し、戦い方を変えていけばいい。
マネジメントは彼らが戦い方を変えられるだけの環境をしっかりと用意し、サポートしてあげればいい。
基本的にはただそれだけのことだ。