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【マーケット】マザーズ指数先物について

マザーズ指数先物が7月19日に上場される。
※文章内データは6月21日時点のもの。JPXの方にお願いをしてディーラー向け説明会もやってもらう予定だけれど、それに合わせて自分なりにも分析し、ウチのディーラーに説明できるようにしておこうと仕事の合間に作ったものなので抜けや漏れがあったらごめんなさい。


個人投資家やディーラーは小型株をやる傾向が強く、特に悪名高き『呼値適正化』以降、その傾向はより強くなっている。

元々、個人投資家比率の高い市場ではあったが、マザーズ指数は海外投資家の動向などとは全く異なる動きを示すことがより多くなった。
そのためマザーズ市場銘柄などでポジションをとって、そのヘッジに日経平均先物を売ってみても、ものの見事に相関してくれない…なんてこともしょっちゅう。
そういう意味ではマザーズ指数先物の上場への期待はかなり高い。
もちろんウチは初日から出来るように対応する(残念ながら同日上場される台湾加権指数先物も対応はするが注目度は高くない)。

でもディーラーも個人もその指数について十分に理解してやる人がどれだけおるんだろうとちょっと心配になったりもする。
また裁定業者がどの程度入ってくるのか?
構成銘柄が構成銘柄なだけにその影響度は軽視できない。

元々流動性が少ない銘柄が多い。
PB(プライム・ブローカー)などがヘッジファンドなどの空売り用にレンディング(貸し株)に回すにしても株券調達が難しい。
となると裁定ポジション(先物売りと現物バスケット買い)をある程度保有することでマーケットリスクを限定しながらも、保有している現物株を貸し株に回すことができる(というか最近の裁定取引はそういう在庫調達に利用される側面が強い)。
そういった面からは裁定取引にも一定のニーズはあるのだろうが、この指数はかなり扱いの難しい指数になっている。

まず日経平均株価(日経225)と算出方式が違う。
東証株価指数(TOPIX)と同じ時価総額加重平均だ(2003年9月12日基準日が1000となる)。

そうなると裁定取引で買うポートフォリオ構成が日経平均株価ほどシンプルにはいかなくなる。
指数構成比率に基づいて出来る限り連動するようにポートフォリオを構成するのだが、これがまた難しい。
構成比率が最も低いのが(3185)夢展望の0.009192%。
最も高いのがご存知の(4565)SOSEIの14.934813%。
その比率の格差は1625倍にもなる。
つまり採用銘柄全部を必ず組み入れる前提でポートフォリオ構成すれば(そんなことやるところはないだろうけど)、夢展望の最小売買単位100株を組み入れたら、SOSEIは16万2500株も買わなきゃいけなくなる(笑)
30日平均売買代金が100万円をきっている銘柄すらあるし、実際に流動性リスクを考慮したら組み入れられる銘柄は限られてくる。
そういったことから当然構成比率の低い銘柄や流動性が極端に低い銘柄を除外してポートフォリオ(バスケット)を構成し、指数への連動性をしっかりと保持できるように作る必要がある(昔ならBARRAとかよく使った)。

マザーズ指数先物の乗数が1000なので、一枚あたりの売買代金はざっくり100万円になる。
一回の裁定取引で10枚だと1000万、100枚で1億円(ざっくりね)。
先物の流動性がどうなるか分からないけど、このところのETFとかの出来高見ている限りは100枚ぐらいは余裕で執行できるだろう。

で、1億円以内でどんなポートフォリオになるかざっくり試算してみた(トラッキングエラーとかポートフォリオに関する分析はしていないのであくまで金額合わせ)。
流動性や浮動株に対する比率などを多少考慮してアレンジし、21日引け時点でマザーズ指数先物を100枚売ったのに対して買いを入れるバスケットとして金額をほぼ合わせて試算してみた。
会社によって当然ポートフォリオは変わってくるし、かなり適当に作ったポートなのであくまでご参考ということで。
1億円程度のポートフォリオ作ろうと思うとかなりの銘柄は除外しないと厳しい(サンプルでは91銘柄除外)。
これでも個別板見てるとアービトラージやるにはちょっと流動性リスクは高過ぎるかな(^^ゞ

実際に取引が始まると先物の計算式も知らず、理論価格も知らない人たちが沢山入ってくる可能性がある。
そうなるとミス・プライスもかなりついて、結果としてアービトラージのチャンスも生まれる。
流動性リスクとトラッキングエラーリスク、またマザーズ市場から東証一部・二部へ昇格したりするときに発生するイベントリスク(チャンスにもなる)…先物が出来ることで考慮すべきこと、知るべきことは山ほどある。

中長期的に心配なのは裁定業者がどれぐらい入ってくるかということ。
彼らが入ることによる価格適正化、先物への流動性供給はあるのだけれど、裁定ポジションに多くの株券が吸収されるとただでさえ流動性が少ない市場なので、個々の銘柄の方の流動性リスクがどの程度高まるか懸念される。

ただでさえボラタイルなマーケット。
先物上場が与える影響は小さくないだろう。
せめて理論価格ぐらいは頭に入れておいた方がいいと思いますよ。


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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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