【トレード】市場の変化は…②
さて短期運用においての市場の変化について書きましたが、長期運用においてはどうでしょうか?
株価の水準を計る指標として、あなたはどんな指標を見ていますか?
例えばPERやPBR、ROEなど一般的なものがあります。
90年代、自分が最初に株を学んだ頃は「PERで20%を割り込んだら割安」と教えてもらいました。
今考えるとちょっとビックリですよね(^_^;)
その背景にあるのは日本市場独特の「持ち合い構造」がありました。メインバンクを中心とした企業間の株の持ち合いが一般的であったその頃。
それが需給的に株価水準を押し上げていたのです。
PBRも1倍割れなんてその当時は想像も出来ませんでした。解散価値を割り込むなんて…割安過ぎる!と言われたものです(^_^;)
その頃はROEはそれほど重要視されていませんでした。しかし、国際化していく中で海外企業との競争にさらされたとき、日本企業のROEの低さが指摘されることが多くなり、今ではそれなりに意識されるようになりました。
海外企業との競争という意味では違った側面もあります。
かつて日本株でロング・ショート(割高と思う銘柄を売り、割安と思う銘柄を買う、売り買いをニュートラルにすることで市場全体の上げ下げをあまり意識せずに銘柄間格差を取りにいく手法)をするとき、最もオーソドックスだったのは、松下売りのソニー買い、アドバンテスト売りの東京エレクトロン買いといったように同一業種間の銘柄間裁定でした。
しかし、日本の電機産業は海外企業との競争にさらされ、株価は低迷し、一部はその存続すら危ぶまれました。実際の企業間競争の相手が海外企業である以上、運用する側も視野を広げて海外企業も含めた銘柄間の裁定を組むべきだったのかもしれません。例えばソニー売りのアップル買いといったように。企業間の競争がグローバル化していく以上、それらの企業(株)に投資をする側もグローバル化していくべきでしょうね。
またバブル期の特徴として、それまでの指標で現在株価を説明出来なくなったとき、新しい指標が生まれます。
バブルのときは「Qレシオ」、ITバブルのときは「保有株の含み益を組み入れた指標」などです。
そしてアナリストやらストラテジストはまだまだ買えると連呼します。そして歴史的高値が生まれるのです(^_^;)
本来、相場を見るうえで継続的に使用している指標で明らかな割高ならば、それを元に現在の株価がどういった水準にあるのかを考えるべきです。
なのに現在の株価を正当化し、さらに買えると「営業」するために新しい指標を生み出す。
明らかなバブルの兆候ですね(笑)
少なくとも何かの指標が絶対的なものとして使い続けることが出来るというのは間違いかもしれません。市場環境や経済の変化の中で様々な影響を受けるものだということは知っておくべきでしょう。
ロング・ショートもそのアプローチは多種多様です。
先のようなオーソドックスなものから、業種間やテーマ、何かとの相関性に着目したり、成長性に着目したり…。でもマーケット・ニュートラル戦略(ロング・ショートを組み合わせて市場の方向性にはBETしない)だからといって、市場全体の流れや変化を考えることを軽視してはいけません。バブル期などは割高なものがさらに買われるような「踊る阿呆に見る阿呆。同じ阿呆なら踊らにゃ損損」なんていう状態になりますから(笑)
またそんなロング・ショートでも、リサーチなどをベースにロング(買い)・オンリーでポートフォリオを組むにせよ、「いい銘柄(企業)」を見極める力はとても重要です。最も根本的かつ普遍的かつ不変なものかもしれません。企業を経営しているのは「人」です。ある投資家の方がおっしゃっていました。「企業は人だよ。投資をする際には人を見るんだ。」と。