FC2ブログ

【ニュース雑感】都が税金で株の運用?

都が税金で集めたお金を株式などで運用するという話。

金融業界、運用業界、株式市場にとってはいい話だが…。

お金には色がある。

①自らの意思で投資方法を選択し、自分の資産としてリスクを理解したうえで投資したお金
②自らの資産ではあるが、投資方法の選択肢がなく、強制的に徴収されたお金
③公共サービスや国・地方自治体の運営のために国民の義務として強制的に徴収されたお金

運用の基本だと思うのだけれど、そのお金がどういう色が着いているかを理解せずに運用するのは明らかな間違い。
個人に置き換えれば
目先の生活に必要なお金なのか?
将来のために確保しておかなければならないお金なのか?
余裕のあるお金なのか?
それによって換金性、リスク、リターンなども勘案して投資配分は行われるべき。

①についてはリスクを理解して自らの判断と責任において投資を行うのだから損をしたとしてもしかたない。ただし、そのリスクをちゃんと説明しておかないと証券会社や運用会社は受託者責任を問われる。
②は要するに年金。効率的かつ合理的にベストと思える運用をすることが基本とはなるが、それで失敗したからといっても運用もせずにお金を寝かせておくわけにもいかないのだからある程度のリスクはしかたない。経済成長、インフレ…今の一万円が数十年後に等価値である保証はないのだから。何らかの形で運用されることは理解されるべきだろう。ただし、政治が短期的な視点で運用方針に作為的に介入するのはよくないとは思う。損が出たとしても、それはあくまで運用の専門家が最大効率を目指して取り組んだ結果であるべきだ。
③は税金。これはさすがにどうなんだろう?法に基づいて強制的にお金を徴収し、国民や都民はその運営に必要であり、義務だからとそれに従っている。そのお金を株などの運用に使うという。「効率的な運用」といえば聞こえはいいが、かつてバブルの時代に名だたる企業がその大義名分の下で金融・運用に手を出した結果、巨額損失を出してきた。それが「飛ばし」「損失補填」などの証券不祥事の遠因にもなっている。お金を集めるそもそもの目的が違う。お金の色が違う。そのお金でリスクを取ることの意味。

結果的に儲かった場合は誤魔化せるかもしれない。でも十年というタームで考えれば損失が出るときもあるだろう。そのときどうするのか?損が出たときの対処を考えていないのならば話にならない。相場の世界において負けたときのことを一切考えない人ほど危ない人はいないのだから。

リーマンショック前に「余裕資金の効率運用」ということを大義名分として運用のど素人に過ぎないある証券会社のマネジメントがリスクを取り、わずか二ヶ月程度で相当の損失を出した。自分はそれに怒り、その会社を辞めた。

今回の都のスキーム。詳細は分からないけれど同じニオイがする。何年か先にその運用失敗が様々な問題を生むかもしれない。
頼むから相場を甘くみないでいただきたいものだ…。
ま、そういう自分は都民ではないのですけどね(^_^;)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR