【市場雑感】GPIF改革について
GPIF(正式名称:年金積立金管理運用独立行政法人)は国民の年金を運用している組織だ。
厚生労働省が集めた国民からの年金を同法人が運用している。
つまりみんなの将来受け取る年金を運用している組織なのだ。
そのGPIFの運用について政治が口を出し、その運用基本方針を変えさせようとしている。
短期的には株価上昇につながり、株式市場はそれを期待してもいる。
ただ…どこか違和感を感じる。
安倍首相、GPIF運用見直しの「前倒し指示」=政府筋 | Reuters http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0EG2VA20140605
「GPIF運用見直し」=日本株の運用比率引き上げ→株価上昇
という図式。
政府もそれを意図しているのだろうし、市場もそれを期待している。
ただ本当にそれでいいのだろうか?
現在の基本ポートフォリオにおける株式運用比率は12%(±6%)。
実際には17.22%(平成25年12月末現在)。
株価が上昇すれば、その比率は上がって許容限界の18%(12%+6%)に達してしまうため、今後上がれば上がるほど売るしかないのが現状だ。
その運用比率を12%→20%(±6%)まで引き上げれば、今後は売りどころか買いすらも期待できる。
短期的には株価上昇要因となり、一見この国の経済にとっては「いいこと」だと感じられる。
でも本当にそうだろうか?
(このサイトのデータが比較的新しいようなので)
http://www.globalnote.jp/post-3751.html
世界の株式市場の国別時価総額をみてみると日本は3兆681億米ドルで現在3位。全体では53兆1729米ドルであり、日本が占める時価総額比率は6.92%に過ぎない。1位はアメリカでダントツの18兆6683億米ドルだ。
一方で、GPIFが定める基本ポートフォリオは国内株式12%、外国株式12%。要するに現段階においても、株式だけでみれば日本株と外国株が同じ比率を占めているということになる。日本が外国に比べて大きくGDP成長率が高いというならまだしも、低成長を続けるこの国の株式市場の運用比率ばかりを引き上げることが本当に運用成果の向上につながるのかどうか?世界の時価総額分布に従えば、日本株の比率は今ですら高過ぎるともいえないだろうか?確かに日本の年金なのだから日本の経済成長に連動した運用ができればそれでいいという見方もあるかもしれない。でも運用成果を向上させたいのなら、現在の方向性には疑問を感じる。
株式は債券に比べればかなり変動リスクは高い。短期的にGPIFの株式比率引き上げ→日本株買いを期待して市場が上がるとしても、それは投機的な動きであり、GPIFの買いはその利食いに利用される結果になりかねない。
GPIFは国民の年金を預かり運用をしている。
日本がインフレやバブルにならない限り、潜在成長率が高くはないこの国の株式比率を過度に引き上げることが、国民の年金需給に改善をもたらすとは思えない。
日銀による徹底的な金融緩和政策、過剰ともいえる流動性供給、国債の大量買い、株(ETF)買い。
そして国民の年金による株買い。
それらによって短期的な株価上昇が得られたとして、国の経済成長がしっかりと伴わなければその歪みはいつか破綻する。
アベノミクスが本当にこの国のためによかったのかどうかは10年先にならなければ分からないだろうと以前書いたことがある。
未体験ゾーンに突入しているのだから当たり前と言えば当たり前。
日銀や年金にリスク取らせて株買わせることばかりではなく、この国が将来本当に大きく成長していけるのだという未来を示す政治こそが一番必要なのだと思う。
短期的な株価上昇は支持率の維持にもつながるかもしれない。
短期的なインフレによって一見経済がよくなったように見えるかもしれない。
しかし、日銀の資産膨張、年金による株買いは中長期的には大きな潜在リスクとなる。その出口が描けない限りアベノミクスは成功とはいえない。
このところのGPIF見直し論議には正直違和感を感じる。
いかに目先の株を引き上げるかばかりが先行している気がする。
そこにはリスクが必ずある。
それが取るべきリスクなのか?
それが本当に将来の国民のためになるのか?
そして海外投資家依存度ばかりが高まっているこの国の株式市場。
その海外投資家の顔色ばかり伺うような政治。
世界トップレベルの個人金融資産を持つこの国。
その日本の力を信じ、それをもっと活かす政治。
どこかそういったところからはズレてきているような気がするのは自分だけだろうか?
厚生労働省が集めた国民からの年金を同法人が運用している。
つまりみんなの将来受け取る年金を運用している組織なのだ。
そのGPIFの運用について政治が口を出し、その運用基本方針を変えさせようとしている。
短期的には株価上昇につながり、株式市場はそれを期待してもいる。
ただ…どこか違和感を感じる。
安倍首相、GPIF運用見直しの「前倒し指示」=政府筋 | Reuters http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0EG2VA20140605
「GPIF運用見直し」=日本株の運用比率引き上げ→株価上昇
という図式。
政府もそれを意図しているのだろうし、市場もそれを期待している。
ただ本当にそれでいいのだろうか?
現在の基本ポートフォリオにおける株式運用比率は12%(±6%)。
実際には17.22%(平成25年12月末現在)。
株価が上昇すれば、その比率は上がって許容限界の18%(12%+6%)に達してしまうため、今後上がれば上がるほど売るしかないのが現状だ。
その運用比率を12%→20%(±6%)まで引き上げれば、今後は売りどころか買いすらも期待できる。
短期的には株価上昇要因となり、一見この国の経済にとっては「いいこと」だと感じられる。
でも本当にそうだろうか?
(このサイトのデータが比較的新しいようなので)
http://www.globalnote.jp/post-3751.html
世界の株式市場の国別時価総額をみてみると日本は3兆681億米ドルで現在3位。全体では53兆1729米ドルであり、日本が占める時価総額比率は6.92%に過ぎない。1位はアメリカでダントツの18兆6683億米ドルだ。
一方で、GPIFが定める基本ポートフォリオは国内株式12%、外国株式12%。要するに現段階においても、株式だけでみれば日本株と外国株が同じ比率を占めているということになる。日本が外国に比べて大きくGDP成長率が高いというならまだしも、低成長を続けるこの国の株式市場の運用比率ばかりを引き上げることが本当に運用成果の向上につながるのかどうか?世界の時価総額分布に従えば、日本株の比率は今ですら高過ぎるともいえないだろうか?確かに日本の年金なのだから日本の経済成長に連動した運用ができればそれでいいという見方もあるかもしれない。でも運用成果を向上させたいのなら、現在の方向性には疑問を感じる。
株式は債券に比べればかなり変動リスクは高い。短期的にGPIFの株式比率引き上げ→日本株買いを期待して市場が上がるとしても、それは投機的な動きであり、GPIFの買いはその利食いに利用される結果になりかねない。
GPIFは国民の年金を預かり運用をしている。
日本がインフレやバブルにならない限り、潜在成長率が高くはないこの国の株式比率を過度に引き上げることが、国民の年金需給に改善をもたらすとは思えない。
日銀による徹底的な金融緩和政策、過剰ともいえる流動性供給、国債の大量買い、株(ETF)買い。
そして国民の年金による株買い。
それらによって短期的な株価上昇が得られたとして、国の経済成長がしっかりと伴わなければその歪みはいつか破綻する。
アベノミクスが本当にこの国のためによかったのかどうかは10年先にならなければ分からないだろうと以前書いたことがある。
未体験ゾーンに突入しているのだから当たり前と言えば当たり前。
日銀や年金にリスク取らせて株買わせることばかりではなく、この国が将来本当に大きく成長していけるのだという未来を示す政治こそが一番必要なのだと思う。
短期的な株価上昇は支持率の維持にもつながるかもしれない。
短期的なインフレによって一見経済がよくなったように見えるかもしれない。
しかし、日銀の資産膨張、年金による株買いは中長期的には大きな潜在リスクとなる。その出口が描けない限りアベノミクスは成功とはいえない。
このところのGPIF見直し論議には正直違和感を感じる。
いかに目先の株を引き上げるかばかりが先行している気がする。
そこにはリスクが必ずある。
それが取るべきリスクなのか?
それが本当に将来の国民のためになるのか?
そして海外投資家依存度ばかりが高まっているこの国の株式市場。
その海外投資家の顔色ばかり伺うような政治。
世界トップレベルの個人金融資産を持つこの国。
その日本の力を信じ、それをもっと活かす政治。
どこかそういったところからはズレてきているような気がするのは自分だけだろうか?