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【ビジネス】変わらなければ…

この二日間外資系ブローカーの友人達と熱く語り合って改めて感じたことがいくつもある。



一昨年の10月までは地場証券のほとんどが苦しみ、未来を描けず、撤退・縮小の話ばかりだった。

そしてアベノミクスがやってきた。

おかげである程度利益も出たし、よくなったのは間違いない。



ただ…

それが企業努力によって強くなったのではないということ。

相場に救われたに過ぎないこと。



それをどれだけの地場証券のマネジメントやディーラー達が理解しているのだろう。

まだ現場で戦っているディーラーは分かっているかもしれない。

でもマネジメントの多くが黒字になったことを喜んだだけのように感じてしまう。



「アベノミクスがくれた時間」



これを活かせるか活かせないかで近い将来訪れるであろう一番キツイ淘汰の波に飲まれるか生き残れるかの差につながると思う。



最悪を想定して最善を尽くす。

結果、最悪の事態が訪れなければそれはとても幸運なこと。



アベノミクス相場に浮かれている間に取引システムは高速化が進展し、ミリ秒→マイクロ秒→ナノ秒にまで進んできた。

そして呼値は縮小され、人間が目視で板を見て発注することはどんどん困難になっている。そしてそれは7月に本番ともいえるフェーズ2を迎える。



高速化し続ける市場。

人間が視認しえるレベルを遥かに上回ってしまう高速化。ある試算によれば瞬きする間に3回は状況が変わってしまうそうだ。

そこに呼値縮小。

それはマーケットデータの劇的な増加をもたらす可能性が高い。

結果として、市場参加者の多くが使うシステムベンダーにも同じレベルでの設備投資を迫るものとなる。そうでなければトラフィックの増大による負荷で板の遅延やシステムダウンが生じる恐れが出てくる。



資本力のないシステムベンダーはその高速化についていけなくなるかもしれない。



誰のための市場なのか?

そこまでの高速化を求める市場参加者は誰なのか?

多くの参加者がそこまでを求めているのだろうか?



先日、システム取引によって見せ玉を出し、相場操縦を行った海外運用会社が処分を受けた。その課徴金は6万円。その運用会社はイギリスで約13億円の課徴金を課されている。



HFTやシステム取引に対する監督・監視体制が十分とはいえない日本。

悪質な行為に対しても十分な処分も出来ない。これでは悪いことやった者勝ちと言われてもしょうがない。そして彼らにとっては日本は美味しい市場だ。



HFTは欧米市場では規制され、厳しく監視されている。結果としてそれらの市場でのシェアは低下傾向にある。

一方、日本では増え続けている。

そんな国の市場でこれまで通りやってればうまくいくと楽観的になれる方がどうかしている。



変わらなければいけない。

これからの時代に適応しうる運用がどこにあるのか?

様々な人達が知恵を貸し、力を貸そうとしてくれている。

それに耳を傾けて、真摯に受け止め、自らを変えてこそ未来が拓けるのだと思う。



意固地になって過去の在り方にこだわっていると、いずれ手を差し伸べてくれる人はいなくなる。



ダーウィンの進化論における言葉とされている(後の創作という見方が主流かな)このフレーズ。



「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」



ここ何年も思ってきたことだが、この二日間のミーティングで改めて考えされられた。その危機感をマネジメントと現場が共有出来た時、ようやく一歩前に進めるのだろう。


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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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