【市場雑感】見せ玉ファンドの記事に思う
相場操縦100銘柄弱か 監視委、海外ファンドに課徴金勧告へ :日本経済新聞 http://s.nikkei.com/1faCngc
やはり…というところですね。
『トレーダーらは短期間に頻繁に売買できるシステム取引を活用』だそうだ。
悪意のあるアルゴトレーダーの存在はだいぶ前から指摘されてきた。
個人投資家にもディーラーにも悪質な者がいるように、システムを用いるアルゴ・トレーダーやHFTの中にも悪質な者がいるのは当然といえば当然。
海外拠点からブローカーを通じて売買を行っているために実体が把握しづらかったり、処分・処罰にも限界がある。
それを逆手に悪質な連中が跋扈するような市場にはなって欲しくない。
『セレクト・バンテイジは中国や欧州、ラテンアメリカなど世界に230以上の拠点を持ち、トレーダー約2700人を抱えるとされる。運用額などは不明だ。前身はカナダのヘッジファンド、スイフト・トレード。英国の金融庁は相場操縦をしたとして、同社に800万ポンド(約13億円)の課徴金を科している。』
海外でこんな処分を受けた運用会社が日本の市場で好き勝手やっていたと思えば腹立たしく思う市場参加者は多いはずだ。
日本の制度の中で課徴金を課したとして、こういった悪質な市場参加者を締め出すことが本当にできるのか?
そしてこういった存在は氷山の一角だろう。
悪質な市場参加者を監視・監督できる体制が十分とはいえない日本の市場。
にも関わらず市場は高速化をどんどん推し進め(海外取引所との競争を考えれば理解できるところはあるのだが)、HFT優遇とすら思えるような方針を過去にとってきた。ここ数年はその他の市場参加者向けへの活動も強化され、規制緩和も進めてはくれている。
しかし、「システムを利用し、非常に高速かつ広範囲、ダークプールやPTSや海外取引所までをまたにかけて悪質な売買を行う存在」がいた場合に、それを個人投資家や証券ディーラーに対する監督・監視と同じレベルで行うことが出来るのか?
市場は公平なものであって欲しいと思う。
市場のシステム高速化もいい、呼値の縮小も別に構わない、ただそれを利用してより高速に売買を行うアルゴ・トレーダーに対して十分な監督・監視体制の強化が足りていないのではないだろうか?
それが他の市場参加者からみればHFT=悪という誤解につながってしまっている気がする。
『高速な市場』である前に『公正な市場』であって欲しいと思う。