【ビジネス雑感】これからの変化
一部の銘柄の呼値が変更されて約一ヶ月。
影響は概ね予想通りかな。
取引所の方でもその影響について市場参加者の声に耳は傾けようとはしてくれている。
ただすでに決まっているスケジュールは変わることはなく、恐らく今年の7月以以降、一気に苦しくなるディーラーも出てくるだろう。
日計りではない一定のスパンでトレードする人、システムによる自動取引(アルゴリズム・トレーディング)などにとっては概ね好ましい制度変更といっていいだろう。
しかし、従来の一カイ二ヤリを主体とした板カンベースのトレードをするディーラーには致命的なものになるだろう。それに適応できる者と淘汰される者がハッキリと出てくるはずだ。
いまだに証券ディーラーの多くがそういったトレードをしていたりする。
そしてこのままではいずれ厳しくなるだろう
それもしかたのないことなのかもしれない。
このスケジュールはだいぶ前から告知されていたことなのだし、こうなることは分かっていたのだから。
一昨年の10月までは青色吐息だった地場証券もアベノミクス相場で一時潤った。
しかし、この相場はそこまでは続かないだろう。
恐らく来年度は証券自己にとって正念場の一年になる。
本気で業界や会社を守りたければそういった最悪の想定の下に戦う備えをしておくべきだろう。
そのうえでいい相場が続くのは幸運なのだから。
これから生じるであろう変化に対するディーラー個々の自己変革も必要。
しかし、それ以上にマネジメントレベルでの変革が求められている。
ディーラーが変わろうとしても、会社側のルールや管理体制が古く硬直的であるために変化を許容できない場合がある。
オーバーナイトリスクをまともに取らせない会社。
ヘッジトレードやロングショートすらまともに出来ない会社(信じられない話だが、売りポジションと買いポジションを足してリスクを計算するような会社が存在する。一定のリスク相殺は法律上でもスパン証拠金の計算においても認められているにも関わらずだ)。
オプション取引もまともに出来ない会社。
24時間化が進む市場において夜間対応が出来ない会社…。
あれをやってはいけない、これをやってはいけないと縛られた結果、ディーラー自身がやりたくてもやれないということが少なくないのだから。
個人投資家よりも窮屈な運用環境でトレードしているのが証券ディーラーなのだと思う。
運用の現場でどんな変化が起きているのか?
どんな影響を受けるのか?
そしてこれからさらにどんな変化が起きるのか?
そういった分析・見通しをしっかりと立ててそれに対応できるように組織自体を変えていくことがまず第一だ。
そしてそれを活かして変わろうとするディーラー達の背中を押してあげなければいけない。
もちろんその変化を受け入れず変わろうとしないディーラーも少なくないだろう。
そんな彼らにも生き残っていけるように考えられる手は打つべきだろう。
そういった全ての努力をしたうえでこれからの変化に向き合っていくべきだ。
それでも個々の淘汰、証券会社の淘汰は避けて通れないだろう。
10年後の会社がどういった形であるのか?
そこに至るためにはどういった道を切り拓かなければいけないのか?
アベノミクス相場が永遠に続くことを祈るのではなく、その間に市場構造にどういった変化が起きていたのか(アローヘッドを皮切りとしたシステム高速化、HFTの台頭、呼値の縮小…そのほとんどが地場証券の得意とする日計り・板張りにはネガティブなものばかりだ)、そしてこれからどんな変化が起きようとしているのかに目を向けて、それと対峙することこそが今の地場証券には求められているのではないかと思う。