【市場雑感】HFTは善か?悪か?
HFT(超高速取引)に関するWSJの記事があった。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304218104579181132819753814.html
自分の私見だが…
HFT=悪い存在という認識は明らかに間違っている。
HFTはテクノロジーの進化を効果的に活用して利益を上げている合理的な存在だ。
一方で、HFT全てがクリーンな売買手法で取引しているかといえば、残念ながらそうではないと思っている。
個人投資家にも、ディーラーにも、トレーダーにも不正を行う者がいたように、HFTにも悪質な(違法または違法すれすれの)売買を行う存在はいるだろう。
そういった存在が野放し状態であることに問題があり、その発注・取消の様を他の市場参加者が見て「HFTは悪だ」と感じてしまっているのが現状だろう。
人間が手動で行う売買には限度がある。
発注件数、銘柄数…当然、目視で行い手作業で発注・取消を行っていれば検査・監督するのは比較的容易だ。
そして個人やディーラー、トレーダーから何人も悪質な売買を行う者が処分されてきた(当然)。
HFTはどうか?
同時かつ大量かつ瞬時に発注・取消を行い、また主市場だけではなく、PTSやダークプールまで使う彼ら。
それを人間が目視で検査・監督しきれるわけがない。
いくらでも誤魔化されるだろう。
日本市場で活動しているHFTが処分されたという話はあまり聞かない。
彼らの全てが良心的にクリーンな発注・取消行為を行っていると思うのは甘過ぎる。
市場参加者の在り方が変質し、システム取引によってミリ秒・マイクロ秒まで高速化した売買。
それを公平かつ平等に監督・監視できる体制作りが必要なんだろうと思う。
HFTは悪ではない。非常に合理的な存在だがその全てが善でもない。
個人投資家やディーラー、トレーダーと同じ。
人間が作り出しているものである以上、そこには悪意も存在する。
それをどう見つけ出し、市場から適切に退出させていくか。
それが実現されなければ良心的かつ健全なHFTまでいずれ一緒くたに非難を浴びる(すでにそうなりつつあるが…)。
そして無意味にしか思えないHFT擁護や非難の論争が繰り返される。
より高速な市場環境を提供する以上、そういった検査・監督体制の確立も公平な市場形成のためには必要なのだと思う。