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【相場雑感】何を大騒ぎしているのやら…

このところ日経平均株価の急落が話題となり、まるで大変な暴落が

起きているような表現や報道が増えている。

今朝、NYダウも変調をきたしているかのような報道も一部あった

がちょっと笑ってしまった。

添付のチャートをみれば一目瞭然。

調整ともいえないような反落に過ぎないのだから…。



しがないディーラーのブログ




「いったいこの人たちはマーケットの何を見ているんだろう?」

と思う。



日経平均株価は昨年10月15日の安値8488.14からわずか

半年で15942.60円まで急騰した。実に87.82%もの急

騰だ。

さっとデータの取れる1962年からの日経平均株価で同じ期間(

営業日数)での上昇率を調べてみた。

もちろんこの期間には「バブル」と呼ばれた時代、「ITバブル」

「株ブーム」なども含まれている。



『上昇率』だけでみれば同じ営業日数でみれば今回の上昇は過去例

をみないレベルでの上昇を実現している。次いで上昇率が大きいの

は1987年のバブル相場に向けた上昇期の57.42%だ(15

819.55円→24902.63円)。

そもそもの分母となるスタート時の株価水準が低かったとはいえ、

これだけでも今回の87.82%もの急騰がどれほど短期間に過熱

感を持った上昇だったのかが分かる。



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明らかに短期的には「やり過ぎ」。

アベノミクスという言葉が独り歩きし、日本経済の復活に対して実

体よりも期待が大きく先行した結果が今回の反動安だろう。



ここまでの上昇が「バブル」かどうかはまた別の話。

そもそも日本市場自体がここ数年見向きもされずに放置され、アン

ダーウェイトにされ続けてきた。

誰も期待していなかったものがアベノミクスで急激に見直された。



株価が一番急激に上昇するときって赤字の会社が黒字に転換すると

か、つぶれると思われていた会社が復活を遂げたときだったりする

もの。

いいといわれていたものがさらによくなる場合に比べると上昇率は

極端に高かったりする。

元々が割安に放置されていたのだから…。



(ただ15000円から上の上昇はあまりにも「バブル的」だった

とは思うけど…(^_^;)

リスクも市場の歪みも無視して指数だけ上げ続けたから。)



この急激な上昇の反動が急激だったからといって慌てることも騒ぐ

必要もない。

テクニカルでみたって25日移動平均線をちょっと割り込んだ程度

のレベルに過ぎない。

100日移動平均線なんてまだはるか下。

この程度はあって然るべき『調整』の範囲内であって、無防備にな

っていたところにきたから慌てている人が多いだけのこと。

『この程度の下落で大騒ぎするならこんな危なっかしい高値圏で買

わなきゃいいのに…。』

と感じてしまう。



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株は上がれば上がるほど下落リスクは高まる。

それが短期的に急激であったからこそ、こういった下落は生じても

おかしくはない。

ただ中長期的な成長が閉ざされたわけではなく、「アベノミクス」

の効果のほどが示されるのはここからだ(それが不発に終わると怖

いけど…)。



「アベノミクス→日本経済の復活」への理想だけで買いあがった『

理想買い』の局面は終わったかもしれない。

でもここからは日本経済の回復が徐々に経済統計に現れながら、実

態を買う相場(=現実買い)になっていくのだろう。



もうしばらく不安定な相場は続くだろう。

短期的にやり過ぎた結果、高値圏で買った人たちはちょっとしたパ

ニックに陥っている。

結果、ショック安的な下落がもう少しあるかもしれないが、その動

きに惑わされることなく次のチャンスにしっかりと備えておくべき

だろう。


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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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