FC2ブログ

【ビジネス】国際的な飲み(^_^;)

すっかりFacebookばっかりやるようになってしまいましたが…超久し振りにブログアップします^^;



昨晩は某取引所の知人のアレンジで外国人の運用者達との飲み会でした。

急なお話でもあったので数名の後輩を連れていきました。本当は他社の後輩なんかも声かけたかったんだけど…。



アメリカ、オランダ、オーストラリア、インド、ドイツ…当然、基本は英語。

みんなコミュニケーション取るのに苦労していたけど、それなりにいい経験になってくれたかな^^;

チームでロゼッタストーン買ってくれと言われましたが…(笑)





彼らはほとんどの取引を自動化しています。

そんな彼らをマーケットメーカーと呼ぶ人もいれば、HFT(High Frequency Trading)と呼ぶ人もいます。



日本市場のデリバティブにおけるマーケットシェアでもかなりの割合を占めるメンバーでした。



とてもいい刺激になりましたが、やはり外から見ると日本の証券会社のディーリングは不思議なようですね^^;



「日本のトレーダー達は何故売買を自動化しないんだ?」



彼らの一人から投げかけられた質問です。



アローヘッド(取引所の売買執行処理システム)が稼働し、売買執行の処理がミリ秒、マイクロ秒へと短縮されたのが2010年。



コロケーション(取引所内(もしくは隣接したスペース)にあるサーバールーム)が導入され、より高速に売買執行を行う為に物理的に取引所サーバーに近い場所にサーバーを設置、取引所の注文状況を監視し、より早い段階でサーバー内のプログラムが自動発注を行うような時代になりました。



HFTと呼ばれる彼らはそのプログラムの売買状況をモニタリングしている。

我々が彼らより少し遅れた情報を見ながら一喜一憂し、マウスをクリックしながら売買している間に彼らは注文をさらっていってしまう。



彼らは設備投資をし、新しい技術・開発に取り組み、ディーラー・トレーダーはプログラマーに置き換わりました(もしくはプログラマーを雇って開発させた)。彼らはLANケーブル1mの長さで揉めるほど高速処理にこだわっています。自分がかつてパネリストとして参加したカンファレンスではプロフェッサーやサイエンティストといった肩書きの人までいました。



時代が変わっていく…。



そんな数年でした。

そんな中で国内地場証券は変わることが出来ずに淘汰されてきました。

うまくいかなくなったのはアローヘッドのせいだ(正確にいうと取引所が処理システムを高速化させて海外の投資家ばかり有利にしたからだという意味。アローヘッドは象徴的な存在として取り上げられる。)という人達は国内証券の経営者にもディーラーにも多かった。



でも取引所の処理システムが高速化されることは悪いことなのでしょうか?

否、技術革新の流れの中で海外取引所が高速化していく中で国内取引所のシステムは呆れるほど遅く、その高速化は必然だったと思います。



そのせいで儲からなくなった…のではなく、その変化に適応出来なかったから儲からなくなったのです。



まずはその現実を受けとめることが国内地場証券再興の第一歩でしょう。



では何故適応出来なかったのか?

そこにはいくつかの要因があります。



その根底にあるのはディーラーの契約化と成功報酬の高騰。



2000年前後からディーラーの成功報酬は高騰し始め、それを正当化する為に(他の正社員とのバランスを取る意味もあって)雇用形態は正社員から契約社員が主流となってきました。



それによりディーラーは組織やチームといったものから離れ、個人主義化が進みました。



結果として、人を育てるということがなくなり、マーケットの基礎的な知識すらないままに運用しているディーラーも増えています(ディーラーの金融知識、運用知識の劣化)。優れた運用ノウハウも組織内部で共有化が出来ずにいます。



また知識も意欲もあり、新しいことにチャレンジしたいディーラーでさえも、自分個人の為に必要な設備投資をしてもらえる額は限界点が低くなりました。チーム全体ではなく、個人でそのコストを負担するのは重いからです。



さらに契約化が進んだ為に、ディーリングをよく知る人材も契約であるがゆえに儲からなくなればお払い箱。結果として、ディーリングのマネジメントには運用をしたことがない人がいる会社も少なくありません。



成功報酬の高騰も大きな要因です。

損失を出すこともあり得る運用の世界では異常と言われる国内地場証券ディーラーの成功報酬水準。外資系プロップトレーダーなら一桁、ヘッジファンドにおいても20%ですら高いと言われる昨今。国内地場証券は未だに30%~40%(下手するともっと高いところも)という水準にあります。中には営業外務員は昔から高かったという人もいますが外務員が上げる手数料にマイナスはありません…。



これはディーリングにおけるビジネスモデルの崩壊を招きました。

全員が儲かるような相場ならいざ知らず、負けることもあるのが運用の世界。ちょっと難しいマーケットになると簡単に赤字に陥り、結果として設備投資をする余力がなくなっていったのです。



正社員ディーラーが主体であった90年代。この頃はまだ国内地場証券も新しい運用技術に対して前向きに取り組んでいました。



例えば

「アービトラージ(裁定取引)」



日本で金融先物取引が始まったのは1987年(株先50)、現在主に売買されている日経225先物取引が開始されたのは1988年。



その後、旧ソロモン・ブラザーズを筆頭に外資系証券は荒稼ぎ。

しかし、国内地場証券もそれに追いつこうとノウハウを学び、設備投資を行いました。



今思えばそんな会社が?

というほど小さな規模の会社でも結構頑張ってましたよ^^;



裁定取引を行うには、現物株をバスケット買いするためにそれなりの資金と設備を必要としました。規模の小さい会社には負担が大きいはずですが、結構色んな会社が取り組んでいたものです。



こういった負担の大きいプロジェクトは、契約化・個人主義化が進んでしまった今の国内地場証券には出来ない取り組みでしょう。



昨日、海外のプレーヤー達と飲みながら、今の国内証券の運用の在り方について色々と考えさせられました。



最近はあまりにも瑣末なことに振り回されることも多く、若干ゲンナリしていたところでしたが、いい刺激をもらったような気がします。



アベノミクスのおかげで多少は延命できましたが、国内証券、その運用の未来は新しい道を切り拓いていかなければいけないことに変わりはありません。



前を向いて運用者のみんなと共に進んでいきたいと思います。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR