【市場雑感】HFT規制について
今朝の日経新聞の一目均衡に米国市場でのHFT(High Frequancy Trading=超高頻度取引)に対する規制の話が取り上げられ
ていた。
市場で行われる売買の機械化の流れはだいぶ前からあった。
インターネットが普及し、市場取引のインフラが劇的に変化したた
めにそれが一気に加速して現在に至る。
昨今、HFTへの規制論議が欧米で盛んになっている。
ミリ秒、マイクロ秒で注文の発注・取消を頻繁に行う彼ら。
流動性を供給しているという面もあるが、過当な数量の取消など目
に余る面も指摘される。
アローヘッドやJ-GATEと呼ばれる取引所の執行システムの高
速化に伴い、彼らは日本での売買を急速に増やしている。
自分は『儲からなくなったのはアローヘッドのせい』『HFT=悪
』という意見には反対だ。
技術革新が進む中でそれに適応し、相応の資金を投じ、リスクを取
ってその技術革新を彼らは収益機会へと結びつけた。
それ自体は正しいと思う。
先回りで売買を行われることは決して不平等ではない。
かつてはディーラーがその立場にいた。
顧客がトレーダーや営業に電話で注文状況を聞いて売買執行を行っ
ている間に、ディーラーはより早いタイミングで売買執行ができた
のだから(情報が遮断されていても、同じスピードの判断ならディ
ーラーの方が早く売買執行できた)。
HFTはコロケーションなどを利用してより高速に市場情報を得て
売買執行を行える体制を持っている。
その高速な環境を活かせるだけのシステムを構築している。
そしてそれには当然お金もかかっている。
だから我々より有利な環境にあること自体は不平等だとは思わない
。
儲からなくなった本質的な問題は、その技術革新や時代の変化への
対応や努力を怠ってきた日系地場証券にこそある。
ただその努力を過剰な規制や監視で縛りつけて自由を奪ってきた当
局や取引所の監督姿勢にも行き過ぎはあったかもしれない。
ディーラーや個人投資家に対する監督・規制が強い中で、HFTに
対する監督・監視体制は脆弱だ。
彼らは一つの取引所だけではなく、複数の取引所やPTS(私設取
引所)、ダークプールなどにまたがり同時かつ高速に売買を行って
いる。
そういった売買を時系列に沿って一元的に監督・監視できるだけの
体制は日本に出来ていない。
そしてHFTの中にも悪質なものは間違いなく存在する。
かつてディーラーにもロクでもない売買をやるヤツがいたのと同じ
ように。
欧米で強まるHFTへの規制強化の流れ(2015年に予定されて
いるMiFIDⅡなどもその一つだ)。
日本の当局や取引所だけが、このまま野放しでHFT大歓迎の姿勢
でいればいずれ彼らの悪い面がクローズアップされるときがくるだ
ろう。
そして過剰な規制が敷かれ、結果として健全なHFTですらビジネ
スがしづらくなり、その後には残されるのは市場参加者が減少しき
った悲しむべき市場実態なんてことにもなりかねない。
そうやって歴史は繰り返される。
今こそ市場参加者の多様性の確保、健全な育成のために何が大切な
のかを真剣に考えて取り組んでいかなければいけない。
この日本の市場で育ち、生きてきた者の一人として、この市場が多
くの投資家や市場参加者にとって、そして多くの上場企業にとって
魅力的なものであることを願う。
ていた。
市場で行われる売買の機械化の流れはだいぶ前からあった。
インターネットが普及し、市場取引のインフラが劇的に変化したた
めにそれが一気に加速して現在に至る。
昨今、HFTへの規制論議が欧米で盛んになっている。
ミリ秒、マイクロ秒で注文の発注・取消を頻繁に行う彼ら。
流動性を供給しているという面もあるが、過当な数量の取消など目
に余る面も指摘される。
アローヘッドやJ-GATEと呼ばれる取引所の執行システムの高
速化に伴い、彼らは日本での売買を急速に増やしている。
自分は『儲からなくなったのはアローヘッドのせい』『HFT=悪
』という意見には反対だ。
技術革新が進む中でそれに適応し、相応の資金を投じ、リスクを取
ってその技術革新を彼らは収益機会へと結びつけた。
それ自体は正しいと思う。
先回りで売買を行われることは決して不平等ではない。
かつてはディーラーがその立場にいた。
顧客がトレーダーや営業に電話で注文状況を聞いて売買執行を行っ
ている間に、ディーラーはより早いタイミングで売買執行ができた
のだから(情報が遮断されていても、同じスピードの判断ならディ
ーラーの方が早く売買執行できた)。
HFTはコロケーションなどを利用してより高速に市場情報を得て
売買執行を行える体制を持っている。
その高速な環境を活かせるだけのシステムを構築している。
そしてそれには当然お金もかかっている。
だから我々より有利な環境にあること自体は不平等だとは思わない
。
儲からなくなった本質的な問題は、その技術革新や時代の変化への
対応や努力を怠ってきた日系地場証券にこそある。
ただその努力を過剰な規制や監視で縛りつけて自由を奪ってきた当
局や取引所の監督姿勢にも行き過ぎはあったかもしれない。
ディーラーや個人投資家に対する監督・規制が強い中で、HFTに
対する監督・監視体制は脆弱だ。
彼らは一つの取引所だけではなく、複数の取引所やPTS(私設取
引所)、ダークプールなどにまたがり同時かつ高速に売買を行って
いる。
そういった売買を時系列に沿って一元的に監督・監視できるだけの
体制は日本に出来ていない。
そしてHFTの中にも悪質なものは間違いなく存在する。
かつてディーラーにもロクでもない売買をやるヤツがいたのと同じ
ように。
欧米で強まるHFTへの規制強化の流れ(2015年に予定されて
いるMiFIDⅡなどもその一つだ)。
日本の当局や取引所だけが、このまま野放しでHFT大歓迎の姿勢
でいればいずれ彼らの悪い面がクローズアップされるときがくるだ
ろう。
そして過剰な規制が敷かれ、結果として健全なHFTですらビジネ
スがしづらくなり、その後には残されるのは市場参加者が減少しき
った悲しむべき市場実態なんてことにもなりかねない。
そうやって歴史は繰り返される。
今こそ市場参加者の多様性の確保、健全な育成のために何が大切な
のかを真剣に考えて取り組んでいかなければいけない。
この日本の市場で育ち、生きてきた者の一人として、この市場が多
くの投資家や市場参加者にとって、そして多くの上場企業にとって
魅力的なものであることを願う。