【ビジネス】ディーラーつぶすのは簡単?
さて寄りつき直後にひと回転。
朝方の伸びは踏みかな?
ちょっとポジションテイクが雑になりかけているのでいったん手を止めよう。
古巣の会社の後輩たちがかなり苦境に立たされているようだ。
先日のセミナーでも色々とグチを聞かされた(^^ゞ
リスクを取らせてもらえない。
損失限度をとことん抑え込んで損を出さないようにとばかり言われる。
運用の世界を知らない人やリスクとリターンをしっかりと考えられない人が上に立つとそういうバカげたマネジメントをする。
ディーラーをダメにするのは簡単。
『やられるな。』
と一言言えばいい。
損を出してはいけないとなればリスクは取れない。
わずかな損に怯え、リターンを取りに行くこともできなくなる。
しかもその損失限度が非常識に低いレベルだったり、チーム単位で縛られればディーラー自身でリスク・コントロールすら出来なくなる。
我々の仕事は損を出すこともある仕事。
マーケットでリスクを取り、リターンを上げていく。
より大きなリターンを上げたければ一定のリスクを付与するのは大前提となる。
リスクを取りたくないのなら国債でも買えばいい(こっちの方がリスクが高い気もするけど…)。
ディーラー達は運用のプロだ。
一定のリスクに対して、それ以上のリターンが取れると思うからポジション・テイクをする。
とっていいリスクが小さければ小さいほど、上げられるリターンも小さくなる。
結果、部の運営コストは賄えなくなる。
トレーディング・システムや管理システムにかかる基礎コスト。
ディーラーだけではなく、管理部門にもかかる人件費。
大体の証券会社のディーリング部は一カ月あたり5千万~8千万程度の経費がかかっている。
損益分岐がそこにある以上、そのリターンが上げられなければ赤字の垂れ流し状態になる。
かつて自分がいた頃。
その会社は月に10億円以上の運用収益を上げていたこともある。
ディーリングにおいては業界で名を馳せたこともある会社だ。
外資系や大手証券を差し置いて、先物ではほとんど毎日手口トップだったしね。
昨年度末にかなり人員を削減したと聞いた。
残っている連中はそれなりに安定した収益を上げられるメンバーが多いはず。
にも関わらずそこまでリスクを抑えさせてしまったら…。
彼ら一人一人がディーラーとしてつぶされてしまう可能性すらあると思う。
ディーラーつぶすのは簡単なんだから。
オレもかつてある会社で200万損失出しただけで
『空気読んでくれ。』
と言われたことがある。
それまで1日1000万円前後の損益のブレをこなしていた自分が、急に損失が怖くなり、手が縮こまってしまった。
そのとき自分の持つポテンシャルや能力が「やられてはいけない」というプレッシャーに押しつぶされていくのを実感した。
自分から見ても彼らはポテンシャルを持っている。
確かに経営は苦しいかもしれない。
だからといってそんな抑え方をしたら未来の可能性すらつぶしていってしまう。
運用によって利益を上げるということ。
リスクのないところにリターンは生まれない。
そのリスクをどうコントロールするかどうかがマネジメントの力量が問われるところ。
ただ抑え込めばいい…と考えているならそれは一番安易でやってはいけないマネジメントだと思う。
この10年あまり、地場証券のディーリングは多くの会社で間違った方向に進んでしまったと感じている。
成功報酬の高騰→ビジネスモデルの崩壊(全員が儲かるような相場でなければ会社に利益をもたらさなくなってしまった)→収益悪化→リスクの抑制→縮小・撤退
そんな中でも経営が懸命に踏ん張って取り組んでいる会社もある。
時代や環境の変化にどう適応し、自らを変えていけるかどうかがこれからのディーリング部門(ディーラー自身)にも問われる。
地場証券のディーリングは形を変えていかなければ生き残れないかもしれないと思うことが増えた。
でもお金もなく経験もない若手が運用の世界にチャレンジ出来る場所として、運用ビジネスのすそ野の一つとしてとても重要な存在だと思う。
自分は何よりこの仕事が好きだし、マーケットも運用も大好きだ。
そこで頑張っている後輩たちが将来を夢見て走れるような場所にしていきたいと心から願う。