FC2ブログ

【ビジネス】日本の運用者が進むべき道とは(MarketForum第一回セミナー⑤)

そんな厳しい環境の中で日計りやってりゃ厳しくなるのは当たり前。

でもそんな中でもそれなりに稼げているみんなって実はすごいんじゃないかと…(^^ゞ



値動きのない市場で値動きを取りにいく手法で売買していること自体がアホらしいのは確かですが、もっとボラティリティのある市場にいけば恐らくかなりリターンを出す力を持っているディーラーは結構いるんじゃないでしょうか。



実際に値動きが活発なときは、ほとんどのディーラーが大きな収益を上げています。当たり前っちゃあ当たり前なんですが、大事なことは一つの市場に依存せず、より効率的に収益を上げやすい市場を選択できる環境を持たせること。





しがないディーラーのブログ








まずは運用手法の多様化。

とりあえず今出来ることから…となると、夜間の取引体制がない中では大きなデルタ・リスクは取りづらい。なのでロング・ショートなど、デルタに依存しない手法が一つ。



オプションによるストラテジーもやりたいんですが、これは管理部門の知識向上が不可欠なので、正直時間もかかるしかなり難しい。でも90年代とかバンバンやっていたんですけどね。しっかりとした管理体制と知識を持ち、ガンマ・リスクに対する理解がしっかりあれば、本来は積極的に活用すべき商品だと思います。だって動かなくても儲けられる貴重な商品なんですから…(^^ゞ



次に時間軸の多様化。

これは今、一生懸命取り組んでいますが、夜間をもっと活用できる体制を構築すること(ウンザリするほどハードルは多いけど)。これが出来れば、短期運用でも値動きのある夜間で勝負できます。さらにオーバー・ナイトでデルタを傾けることもしやすくなる。それは日本市場の方向性の回復にも多少は寄与するでしょう。

夜間の売買が可能になれば、デイ・エンドでポジションをゼロにしなければならないということもだいぶ緩和されるので、デルタ勝負でもトレーディング・スパンを伸ばしていくことができます。



そして運用対象商品の多様化。

最終的にはここまでいきたいと思うのですが、海外の指数先物、個別株などもやれるようにしていきたい。外貨建てという壁はありますが、越えられない問題ではない。実際に90年代はS&P先物とかやってましたから…(^^ゞ

さらに進んでリスク・カテゴリーの異なる商品も出来るようにすべきだと思っています。ただここまで踏み込むには証券自己では難しいかもしれませんね。



実はこれらは2007年に自分が当時所属していた会社に『ディーリング部改革案』として提出していたものです。


これに加えて、証券自己であるがゆえに機動性を確保できないのなら、運用子会社化、ファンド化も含めて検討すべきだとそこには最後に書き加えました。

当時は2006年に稼いだ貯金がガッポリあったんで、上には危機感もなく、結果として無駄に時間が流れ…。





どんな企業でも研究開発投資はしています。常に時代は変わり、環境は変化していきます。日系証券の多くが、その努力を怠ってきました。安易に稼げるやつを好条件で引き抜いて、腕のいい奴を集めることにばかり。確かに運用で重要なのは人材です。頭数揃えたって意味はない。質の高い運用者をいかに確保できるかは重要です。ただその一方で、優秀な人材を育てることも中長期的にはそれ以上に重要だということだと思います。



そして育つ環境もとても重要です。自分は今の部下たちに出会ったとき、正直愕然としました。一年以上ディーリングやっていて(運用の最前線にいて)、PERもPBRもROEも説明できない…。呆れるというより悲しくなりました。若い子たちが運用のプロになるべく学ぶ場ではなく、テレビゲームの延長線上もしくは職人的なテクニックばかりを覚え、資本市場の基礎すら知ろうとしない。そして教えようとしない。これでは未来を担う運用者は生まれていきません。



『新しいことをやるお金がない。』



しょっちゅう耳にするマネジメント・サイドの言い訳です。今、自分のところでは夜間取引体制の構築を進めています。これには初期投資・維持費用ともにかかっていません。インフラ利用料としてブローカーさんに上乗せの手数料をお支払いしますが、それもブローカーさんのお力添えで最小限にすんでいます。



でもね、2006年前後とかディーラーが元気良かった時の話ですが、自分だって月1億~2億の利益上げてましたし、みんなすごい稼いでいたと思うんですよ。そのお金どーしたんですか?



新しいことをやろうともせず、知ろうともせず、ただ漫然と過去に稼げた手法に依存して、相場が改善することをただ願っているのはマネジメントではないと思います。

もちろんプレーヤーであるディーラーの責任は大きいですが、証券自己がここまでひどい状態になった根本的な問題はマネジメントにこそあるのかもしれません。



ディーラーは所詮兵隊です。ここで戦えと言われればそれに従うしかない。ただ明らかに戦況が不利な場所で戦わせ続けたのはマネジメントの問題です。市場の変化、環境の変化に適応できるよう、会社の管理体制や規則を変え、必要に応じてシステム投資(お金かけなくても工夫ひとつで何とかなるものもあります)を行い、運用の機動力を確保すること、それがマネジメントの責任ではないでしょうか?



まぁ、東証上場したら廃業する前提であるなら、そんな必要はないかもしれませんが…。





しがないディーラーのブログ






だからといってディーラーに責任がないわけではない。ここ10年ちょっとの間、成功報酬ばっかり要求してきた。20%程度ならいざしらず、30%、40%、なかには50%超なんてワケ分からない水準を平気で正しいと勘違いしてきた。



それが正当化されているのは、中小証券だけです。ヘッジファンドであれば高くても20%。実際に運用者レベルでは一ケタも当たり前。外資系のプロップも概ね一ケタです。



成功報酬はあくまで自分の取り分。年間5千万円しか儲けられないディーラーがいて、それでも40%の成功報酬があれば年収2000万円。すごいですね。でも運用者として本当にすごいのかどうか?



正直、運用者としての収益水準としてはとても一人前と呼べるレベルではないと思います。自分は部下たちに月1千万稼げれば一人前だと言ってきました。外資系や海外ファンドならもっと水準は高いでしょう。

その程度の運用者が自分の取り分を増やすことに執着し、結果、会社は利益を削られてディーリング自体がビジネス・モデルとしては崩壊してしまった。

全員が儲かるような簡単な上げ相場じゃなければ利益が残らない会社が多いのではないでしょうか?



自分も時代の流れに乗って、成功報酬高騰の恩恵にあずかったプレーヤーの一人です。でも6年ぐらい前にある水準以上の提示を受けた時に断ったことがあります。人のお金で人のリスクでそれ以上の報酬を受け取るべきではないと思ったからです。そして今の会社に入る時も提示から10%減額してもらいました。



朝、寄り前にきて、引けたらすぐに帰って飲んで好き勝手やってる。相場の知識もロクになく、海外市場や経済の動きなどを知り、学び、研究し、考えるという当たり前の努力をしてこなかった。そして運用者として大したレベルでもないのに報酬ばっかり要求する。

挙句、大きな損を出したまんま会社をやめて、他社に移ってゼロからのスタート。そんなモラルの欠片もないようなディーラーも多数いました。

これではマネジメントも管理部門もみんな力にはなってくれません。

ディーラーが動かしている資金は自分の給料のためにあるのではなく、会社(投資家)のためにあるのだという根本を忘れているんでしょうね。




そんなに好き勝手やりたけりゃ、自分のお金でやるべきでしょう。

デイ・トレーダーとして。

でもそんなデイ・トレーダーの方がよっぽど勉強してるヤツが多いのも確かですけど(^^ゞ




しがないディーラーのブログ






証券ディーラー(プロップ・トレーダー)やファンド・マネージャーは人のお金を預かり、それでリスクを取り、リターンを上げる仕事です。

これは仕事であり、遊びではない。

そして仕事である以上、我々はプロフェッショナルでいなければならない。



ある相場解説者の方と、飲みでご一緒したときに言われました。



『ディーラーってレベル低いよね。』



正直、悔しかったですが、全く否定はできませんでした。

新聞も読まず、記者のコメント鵜呑みにして、自分で相場を考えない。

基本的な知識すらない。

欧州の株価指数を知らない。

株価指標を知らない。

もちろん自分で研究することもせず、人がいいといったものを見て、あとは板カン頼み。

確かにとてもプロとは言えません…(-_-;)



少ない利益の取り分を増やすことよりも、利益自体を増やし、投資家(会社)を幸せにし、その報酬として収入を得る。そんな当たり前のことすら、分かっていないディーラーも少なくなかったと思います。



でもそんな中でも懸命に学び、研究し、戦っている連中もいます。

今回のセミナーに足を運んでくれたみんなはきっとそんな意識を持った連中だと思っています。

そしてそんな中から将来を担うプレーヤーが出てきてくれると願っています。



そのためには証券自己という選択だけではダメかもしれません。

運用会社への転職をしている元ディーラーとも何人か会いました。

ファンドとして独立した友人もいます。

今は個人投資家(デイ・トレーダー)になる人が多いですね。

それが一番楽だし、合理的ですから。



今、ディーラーもマネジメントもこの10年の誤った道を改め、自身を変えていかなければなりません。



資金運用とは何なのか?

それをビジネスとして成立させるためにはどうするべきなのか?



今、変わらなければさらに多くのディーリング部門の閉鎖が起き、自主廃業も相次ぐことでしょう。

それはそれで仕方のないことですが、古いものが淘汰される過程で新しいものを生み出していかなければ、雇用は失われ、活力は低下し、日本の運用・金融ビジネスは本来持っている力を取り戻せないでしょう。



運用をビジネスとして成立し、発展させるためにはこのままではいけないと感じています。

金融庁でも新しい投資運用業のスキームを法制化しようとしています。



アジアの金融センターになっている香港、シンガポールの環境や運用業に関する法律と日本の運用業に関する法律などをまとめた資料を参加者には配布しました。十分ではありませんが、外資系証券の友人などが力を貸してくれて要約したものです。





しがないディーラーのブログ






ディーリング部門の閉鎖・撤退が相次ぐ中で、新しい道を模索することも必要になるかもしれませんから…。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR