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【ビジネス】大証の板寄せ直前における大口注文取消等の一部禁止について

http://www.ose.or.jp/news/20398




昨日、大阪証券取引所から板寄せ直前における大口注文取消等の一部禁止が発表された。



寄り前に大量の注文を出しておいて、他の市場参加者を意図的に誘導し、大証よりも先に売買が開始されるSGXなどで、より優位な価格で注文を執行する。



いわば相場操縦的な商いが行われるのを防ぐための措置だ。



実際には東証とも連携を取る必要がある。

しょっちゅう行われていることだが、225型のインデックス注文で下までの指値売りや上までの指値買い、成り行きも含めて現指数の寄り前状況を操作し、価格誘導を行っているヤツもいる。



当然、当人に聞けば裁定取引の一環として…というのだろうが、寄りつき直前に取り消すあたり、やはり悪質といわざるをえない行為だろう。



ザラ場においてもまだまだ『見せ玉』的な商いは非常に多く、特にアルゴが増えてから、アルゴだから…と訳の分からない理由で過当な数量の発注・取り消しが黙認されてきた。



かつて人間がやって相場操縦行為として処分されたものが、プログラム化されたことで何故か追い切れなくなっている。



そういった悪意を持ったプログラムの存在は、関係者の間では十分に認知されていながら、ブラックボックス化されており、その悪意を立証しづらくなっている。外形的基準による分析・監視をもっと強化しないといけないと思う。注文執行の処理だけを高速化するのではなく、その監視システムも高速化し、市場をしっかりと守ってほしい。





健全な市場育成にはまだまだ課題は多い気がするが、それでも今回の大証さんの発表は一歩前進だ。



こういった決断がなされた背景には、大証さんが様々な市場参加者の声に耳を傾け、それを受け止めたことがある。

7月ぐらいだったかな、大証さんが実施された日系証券ディーラーを対象としたラウンド・テーブル。

自分もその準備をいくらかお手伝いしたのだが、それによって各社のディーラーや管理者から上がった声の一つが届いた。



市場は、取引所だけではなく、取引参加者や監督当局…みんなで創っていくもの。

かつてのディーラーは新しい商品や市場の育成に、マーケットメイクという形で流動性を積極的に供給し、市場育成の担い手として機能していた。



契約化が進み、個人主義的な運用者が増えた昨今、無駄な労力、コスト、リスクを嫌い、市場育成に対する責任をディーラー自身も放棄してきた面がある。会社にも余裕ないしね。



でもこれから十年後の将来、日本の市場が健全かつ面白くあり、一般の投資家も参加できるようにあるために、みんなで知恵を出し合って、少しでもよくしていけたら…なんて思うのです。

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tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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