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【相場雑感】OSEとSGX

下はちょっと(非常に?)残念なグラフです。





しがないディーラーのブログ






これは日経平均先物のOSE(大阪証券取引所)とSGX(シンガポール取引所)の売買高の推移を示したものです。

SGXは一単位の乗数が違うため、その分を調整して大証と同じ単位に換算して示してあります(比較しやすくするため)。

期間は2008年からの20営業日平均です。



本来、日本の株価指数先物。そして最も代表的であったはずの日経平均先物。

最近は全体の出来高自体も低迷してきていますが、問題なのはSGXに大証の出来高(売買代金)が迫られているということ(事実上の出来高は完全に抜かれています)。

最近では出来高低迷時にTOPIXにも負けることが増えてきたOSEの日経平均先物。

デリバティブが強みであったはずの同取引所の状況には懸念を持たざるをえない。



地場証券の先物ディーラーの多くがかつては日経平均先物をメインにしていましたが、最近ではTOPIXにシフトするプレーヤーも増えています。

さらに先物の日計りはあまりにも非効率だから現物に…という人も少なくない。



かなり由々しき事態と感じるのは自分だけでしょうか?



最近、プレーヤーとして感じること。

『SGXでやっていれば約定したのに…。』



今、自分もSGXを売買できるような体制作りを進めています。

日経平均先物はあまりにも約定率が低いので、TOPIXの売買に切り替えを進めています。

個人的には一番お世話になったOSEの日経平均先物で頑張っていきたいのですけど…。



こうなってきた要因はいくつもあると思います。



そこには取引所の問題だけではなく、当局サイド、証券会社、運用者自身…それぞれに問題があると感じています。



グローバルでみた場合に日本市場自体の存在価値が低下していることが一番の問題。

また取引所が海外の投資家やHFTなどの誘致を追うあまり、ローカルな参加者へのフォローがおざなりになっていた面もあるでしょう。



あまりにも保守的かつ硬直的な規制や管理体制の下で、地場証券のディーラーは新しいことへのチャレンジをほぼ断たれてきました。

自分たちが変えようとする努力が足りなかった面も多々あると思います。



結果、市場参加者の多様性がなくなり、日計りやHFTなどの短期運用の比率が高くなり、板は厚くなったが、取り消し比率は高くなり、板の信ぴょう性が低下(取り消されてばっかりではねぇ)。

『見せ玉』ばっかりという印象から、一般の参加者は引いてしまった。



相場には多様な参加者が、多様な時間軸で参加してこそ、値動きが生まれ、出来高も増加し、市場が活性化していきます。



一カイ二ヤリや装置の優位性をもって瞬間的なサヤ取りばかりをする資金が市場の中心ではいけないのです。

一見、流動性を与えているようですが、これだけ注文出して取り消しやってりゃ、そんな偉そうな話でもないですからねぇ(^^ゞ



日本市場、国内取引所をマザー・マーケットとしてとらえ、その市場を主として戦う参加者をもっと活性化させなければいけないし、様々な時間軸で参加する運用者を増やさなければならない。



そのためには異なる時間軸での運用を可能とする管理体制や法整備も必要になる。

証券会社の自己売買ではそれが出来ないのなら、運用会社化するしかないのでしょうね。



自分は自分でやるべきことを全力でやるつもりです。

でもそれぞれの立場の人が、それぞれの立場で『何が問題なのか?』を考え、それを本気で変えようとしていかなければ変われない。



でもこの国のポテンシャルはとても高いはずです。

アジアの…世界の金融センターになりえる力はあるはずなのですから。



まずはこのグラフをみて、OSEさんの復活を期待します。

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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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