【相場雑感】日本時間はなぜ動かない?③
要因①…投資部門の構造的問題
外国人投資家の売買代金シェアは日に日に高まっています。
個別株では50%超、日経平均先物では60%前後、TOPIX先物でも50%前後といった状況です。
この外国人投資家には香港やシンガポールに移った日本人ヘッジファンド・マネージャーや、海外に拠点を移した日本の機関投資家なども含まれていますので、純然たる青目の外国人がどれぐらいの比率なのかはちと分かりませんが、少なくとも外国人投資家の売買動向に左右される相場が続いているのは確かです。
このグラフは2000年以降の外国人投資家の売買動向(累積)と日経平均株価(折れ線)を示したものです。
外国人投資家が買っている時は上昇、売れば下落…というパターンが見て取れます。余談ですが、累積でみるとかなりの金額を買い越しているのですが、残念ながら日経平均株価の水準は切り下がっています。つまり買い越しのときはジリジリと上がるものの、売りに回ると一気に下げる…という状況がそこにあります。彼らにとってはドル建て、ユーロ建てで考えたとき、日経平均株価自体の水準ほどは弱くはないのですが…つまり割りを食うのは日本人(-_-;)
で、なんでそれがザラ場で動かないことと関係があるのか?
外人が買えば上がる。ではその時に売っている人がいるはずです。
そうでなければ市場は成立しませんから(^^ゞ
ほとんどの場合、それに向かっているのは投資主体別売買動向でみると信託銀行(年金)と個人です。
年金は株価が上がれば売り、下がれば買うという典型的な逆張り投資家です。その理由は彼らが基本的に投資対象の比率を一定水準に維持する形で運用をしているためです。全体のポートフォリオに占める株式の比率が上昇すればその分は売り、低下すれば買う。
そして個人も2005年の株ブームで一気に存在感を増し、その後ライブドア・ショック、リーマン・ショックといった様々な逆境を乗り越えることでプロ化してきました。彼らも逆張りをすることが多くなっています。
年金と個人。両方に通じるのは国内で、日本時間の売買がほとんどを占めるということです。
つまり、日本時間は外人が買ってきても、逆張り主体がいるため上にいきづらい。しかし、欧米時間(夕方~夜間)については彼らはそこにいない。そしてグローバルに運用を行う外国人投資家の動き通りに素直に上昇する。
そういった投資主体の構図がそこにはあります。
大きな問題はグローバル運用を手掛けるファンドにとって、『日本市場』の存在価値が低下していることがあります。
外国人投資家のフローが、そういった逆張り投資家の売りをこなしきるぐらい強いものがあれば、それなりに動くのでしょうが…。基本的に日本時間で行われるのは欧米市場が上昇した分のリバランスを行う程度。東京時間は彼らにとっては夜間ですし、積極的にその時間帯に運用を活発化させる理由もない。
アジアの中で、既に中心は日本から中国へと移っています。
日本市場が主体的な動きをすることは少なくなっていき、結果として小さな値幅のせめぎ合いを繰り返し、その中でディーラーやデイ・トレーダー、HFTなどが隙間の奪い合いをしている…そんな構図が今の日本市場の活力のなさにつながっているのです。