【ビジネス】在宅ディーリング
3月中旬に仕事を再開して、4月半ばから本格的に取り組み始めた問題がある。
24時間取引可能な体制の確立。
それを在宅でも可能にする。
90年代は当たり前のように在宅でもやっていた。
外出先からでもSGXなどを携帯から売買していたし、夜中にチーフの家でS&P先物を朝までやったりもしていた。
急速に出来なくなっていったのは2003年ぐらいだったかな。
今、取引所は24時間取引を目指している。
市場はいまやグローバルにつながり、日本市場はその一部に過ぎない。
しかし、日系証券のほとんどがこの流れから取り残されている。その流れを変えたいと思う。
今、日系証券では会社からじゃなければ売買出来ない。そして管理者が立ち合わなければいけない。それが常識だ。つまり夜間やりたければ、会社に残り、上司に付き合ってもらわなければいけない。しかも出来て23:30まで。SGXやっている会社でも、大証のラストまでが限界だ。そしてシステム会社に支払う高い夜間サポート料金が重石になっている。そして労働基準法という壁まである。
なんでそんなコストの高い無駄なやり方をしなければならないのだろうか?お金かけずにやれる方法はいくらでもあるのに…。
ちなみにここまでガチガチなのは日系証券だけだ。外資系のプロップは認可を受けたトレーダーは在宅でもどこからでも可能だ。為替や商品をやっている銀行、商社、プロップハウス、ヘッジファンド、もちろん個人でさえも。
あるプロップハウスでは、24時間フルタイムで在宅ディーリング可能だそうだ。地方にいてオンラインでのみつながっているトレーダーすらいる。
日系証券の我々だけが取り残されている。
これを変えていきたい。
そうでなければ、いつまでも日計り主体の商いからディーラーは変わっていけない。
おかしいとは思いませんか?
オーバーナイトポジションを付与しておきながら、夜間のヘッジ手段を持たせず、それをリスク管理と言いきってしまう今の管理の在り方。
オレはほとんどオーバーナイトをしない。
だって自分がコントロール出来ない時間帯にポジションを持つのが嫌だから。
これからの時代。
限られた資金力でリターンを叩き出すには、一定のリスクを取りながら、より幅の広い運用を目指さなければならない。そのためにはそのリスクをコントロール可能な状態におくことは必要条件になる。
まずは小さな一歩だが、在宅可能な24時間ディーリング可能な体制を作り、業界に広げたい。
まず何故出来なくなったのか?
そこから考えてみる。
当時はDMA端末がそれほど普及しておらず、売買はほとんど携帯から行っていた。結果として、管理部門は朝にコンファメーションがきて初めて売買の内容を知り、いくら儲かったか、やられたかを把握することになる。
『リスク管理が出来ていない。』
と言われてもしかたないかもしれない。
しかし、今はDMA端末が普及し、非常に安く、また簡単に導入できる。これを使い、
インターネットにさえつながれば管理者はどこからでも24時間売買状況をモニタリングできる。
会社からじゃないとダメだという理由。
会員証券は取引所に対して、緊急連絡先として事務所を届け出ている。
自社アカウントで売買を行う場合、そこに人がいなければならない。
しかし、ブローカーを経由し、委託になった場合は話が違ってくる。
まだまだ我々が常識と思っていることが、世界的にみて非常識なことはいくつもある。
小さな一歩かもしれないが、一つ一つ変えていきたいと思う。
若い伸び盛りのディーラーが、さらに大きくなっていける環境を作り出すこと。これは我々の世代の役割だと思うから。
日本の規制ガチガチの環境に嫌気がさし、収まりきらなくなった運用者はみな海外に行ってしまう。日本でも出来る…いずれは日本でなら出来る…そんな変革をしていかなければ、日本は金融でもいちローカル市場に過ぎなくなる(すでにそうなり始めているが)。
今、会社の人達や取引所の方々も力を貸してくれている。何とか突破口を開きたい。
ちなみに…
金融庁の検査マニュアルに在宅ディーリングの在り方について明文化されたものがあります。皆さん、ご存知でしたか?(笑)