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【回想録】新人の頃③

そこからは変わった。

プレッシャーで追われるような状態から、ある程度信頼してもらえるようになり、パソコンに関することではアテにもされるようになった。



チーフの家にトラブったパソコン直しにいったりね^_^;



チーフの構想は、チーム運用体制を確立し、先物のスキャルピング(チーフ)、裁定取引(O先輩)、オプション取引(オレ)で利益を上げていくことにあった。



基本的なストラテジーはセルボラ(ネガティブ・ガンマ)。コールとプットを両方売り、タイム・ディケイ(時間的価値の減少)を取りにいく戦略だ。



この戦略は値動きが敵になる。先日の震災で個人投資家が巨額損失を出したのが典型的な例だ。



ただあえてその戦略を軸に据えたのには理由があった。

激しい値動きが生じれば、スキャルピングや裁定取引でかなり稼げる。こっちは一歩間違えれば大ヤラレだが(そこで腕が問われる)、チームとしてはカバー可能だ。そしてスキャルピングて裁定取引が儲けづらい相場(値動きが乏しい相場)には、このストラテジーは非常に有効だ。



セルボラの怖さを徹底的に知ることから始めた。オプションやExcelを使いこなせるスキルを身につけたから、シミュレーションも散々やった。



そしてストラテジーでポジションをキャリーしていくため、相場見通しをしっかりと持つ必要もあった。そこでテクニカル分析を勉強し、研究した。



そこで学んだ知識などを生かして、先物オプションのレポートなども作り直した。

かなりいい出来だったと思う。



ただそれを部内に配布するのは俺じゃなかった。

あるとき聞こえた話し声。



他チームの先輩:『この資料いいねぇ!』

配っていた○○先輩:『ありがとうございます。』

他チームの先輩:『これ○○君が作ったの?』

○○先輩:『ええ、まぁ…。』



必死に勉強してオレが作ったのに…。

ムカついたけど、文句も言わずに黙っていた。

一番大事なことは、これを作る能力をオレが身につけたこと。

長い目でみたら、その資料を誰が作ったかなんて大した問題じゃない。

作る力もないのに、人のフンドシで相撲取ったヤツはいずれボロが出る。



そんな小さなことで揉めてる暇も余裕もなかった。

当時、デリバティブでも先端をいく商品を任された。

それまでの先物スキャルピングとは、まったく違うセンスやスキルが必要だった。

さらに懸命に勉強した。

そしてオプションの運用がスタートした。

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おはようございます。

>一番大事なことは、これを作る能力をオレが身につけたこと。
まだ新人さんの頃に、このように考えられるなんて、すばらしいですね!

Re:おはようございます。

>藤だなさん
でもむちゃくちゃ悔しかったですよ…(^^ゞ
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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