【相場雑感】オプション・プライシング実践編~シミューレーションをやってみよう
大変お待たせいたしました。
かなり根気のいる作業になりそうなのと、連日の飲み、ワンピースにはまっていたのを理由に間があいてしまいましたが、先日ご紹介したオプション関数を使ってシミュレーションをやってみましょう。
とりあえず自分のポジションの損益がどう変化するかを計算してましょう。
あとはデルタ、ベガ、ガンマ、セータなどは応用で出来ますので。
分からなければお気軽に質問してください。

上のExcelの画面がそれです。
『基本情報』と書いてあるところに計算上で必要になる項目を入力しておきます。赤字のところには数式を入れてあります(横にそのセルの数式の内容を示してあります)。
『ポジション』というところにはいくらで(簿価)、何枚かを入力してください。売りの場合はマイナスをつけて入力すればOKです。
で、問題なのはここから。
17行目から示されている『理論価格』という表の部分は、日経平均株価が現在と同じ価格および上下500円変動した場合を縦軸に、横には一日経過する毎のオプション理論価格を示しています。
そのときに使う関数は『CallFV(プットの場合はPUTFVを使う)』です。
そこに入力されている数式はこんな感じです。

そしてその下の『損益推移』は、上の『理論価格』の表を元に現在のポジションから計算しているだけです。
そこに入力されている数式はこんな感じです。

コール・プットを自動で切り替えたければ、B4のセルを参照してIF関数などで数式を切り替えるように作れば基本情報の内容を入力しなおすだけで様々な権利行使価格の理論価格および損益をシミュレーションすることが出来ます。
日数や価格の変化についても同様で、今回は表の数式の中に変化幅を指定してしまいましたが、これもどこかのセルを参照しておくようにすれば、様々な変化を予想することが出来ます。
ここでは出来るだけシンプルに分かりやすくするために省けるところは省き、普段自分ではあまり使わない表記も使いました(損益なんかは÷10000)入れて万単位で『\』マークなんて使わないです(^^ゞ)。
とりあえずこれが基本形。これをもっと価格の変化、日数の変化の本数を増やしていくのが次の段階。
そして複数のポジションを合成できるように作り上げれば、それなりの損益シミューレータの完成です。
参考までに…
自分は日系証券でオプションディーラーをしていたときに、オプションについては8個のポジション、あと先物のヘッジ分を加味できる形でのシミュレータを作りました。実は今回ご紹介した関数はその時につくったものです。もう17年ぐらい前になりますか…オッサンなことがバレますね(^^ゞ
そこに自分の作りたいと思うポジションや実際のポジションを入力し、シミュレートする。デルタやベガやガンマやセータも大事、でも複数のオプションを組み合わせていった場合、その損益予想は分かりづらくなります。ポジション作った自分自身は大体の感覚で分かっていますが、上司や管理部門への報告には損益シミュレーションしてあげるとより理解してもらえたものです。
実際に取引所オプションでポジション組成していくうえでは、これ以上ややこしいシミュレーションは必要ないと(自分は)思います。
この損益シミュレーションは、いわばシンプルな『ストレス・テスト』につながります。
今回の震災で生じた個人投資家の巨額損失は、個人投資家自身、証券会社サイドにもストレス・テストという考えが希薄であったために生じた損失をも見れます。
スパンで証拠金取ってる云々ではないのです。日経平均株価がどの程度変動したら、そのポジションにどれぐらいの損失が発生するかをシミュレーションし、自分自身、および顧客がそれに耐えうる資産を保持しているのかどうかを検証することが必要なのだろうと思います。
所詮、スパンは過去の値動きからシンプルに計算された変動リスクに過ぎません。ボラティリティとも言えるような代物でもないのです。取引所が計算しているから…なんて安易な発想してたらいけませんよ。
ここ数年、個人投資家によるオプション取引が増えてきました。それは市場にとって素晴らしいことです。ただその商品が持つリスクや特性を理解しないで安易な売買が増えていた気もしています。
以前、このブログでご指摘いただいたことですが、オプションに関する本は90年代に発行されたものにいいものが多い…つまり日本におけるオプション取引本格化とともに学習意欲が高かったのはそのときなのかもしれません。
それから10年以上経つ現在。
オプションの売買はどれほど活性化し、それとともに参加者の知識レベルはどこまで向上したのでしょうか?
今回の巨額損失問題は、その売買の質(証券会社の管理の質も)が決して高くなってはいなかったということを示しているような気がします。
市場参加者の一人として、この日本の市場で育ち、生きてきた者の一人としてとても残念な出来事でした。
でも学びたいと思う人たちは大勢います。
このブログを通じて、そういったメッセージを伝えてくださった人たちがいます。
その人たちに何か伝えることはできないか?
そしてきっとそういった人たちが、しっかりとした知識を持って、そして楽しみながら、健全な市場を作り上げていってくれるのだと信じています。
その一助になれば、そんな思いでブログに書きました。
ちなみに私自身、オプションについてはそれなりに勉強しましたが、オプション・プレーヤーとしてやっていたのは17年前ぐらいのまだペーペーの頃のことでした。
その頃はまだパソコンも触ったことなかったし、数学は大の苦手(^^ゞ
でも必死にやれば何とかなるものです。
オレPC苦手、ややこしいの苦手、という人は無理してやる必要はありません。でも興味があるのなら、ここにヒントを残します。ぜひ時間があるときにでもトライしてみてください(^^ゞ
だいぶ間があいてしまいましたが、とりあえずオプションに関する基本的なご紹介はここまで。
ただこれから先も何か分からないこと、知りたいことがあれば、いつでもメッセージください。答えられることなら答えます。もちろん分からないことは分かりませんとへーきでいいますので、そこはご理解くださいね(^^ゞ
かなり根気のいる作業になりそうなのと、連日の飲み、ワンピースにはまっていたのを理由に間があいてしまいましたが、先日ご紹介したオプション関数を使ってシミュレーションをやってみましょう。
とりあえず自分のポジションの損益がどう変化するかを計算してましょう。
あとはデルタ、ベガ、ガンマ、セータなどは応用で出来ますので。
分からなければお気軽に質問してください。

上のExcelの画面がそれです。
『基本情報』と書いてあるところに計算上で必要になる項目を入力しておきます。赤字のところには数式を入れてあります(横にそのセルの数式の内容を示してあります)。
『ポジション』というところにはいくらで(簿価)、何枚かを入力してください。売りの場合はマイナスをつけて入力すればOKです。
で、問題なのはここから。
17行目から示されている『理論価格』という表の部分は、日経平均株価が現在と同じ価格および上下500円変動した場合を縦軸に、横には一日経過する毎のオプション理論価格を示しています。
そのときに使う関数は『CallFV(プットの場合はPUTFVを使う)』です。
そこに入力されている数式はこんな感じです。

そしてその下の『損益推移』は、上の『理論価格』の表を元に現在のポジションから計算しているだけです。
そこに入力されている数式はこんな感じです。

コール・プットを自動で切り替えたければ、B4のセルを参照してIF関数などで数式を切り替えるように作れば基本情報の内容を入力しなおすだけで様々な権利行使価格の理論価格および損益をシミュレーションすることが出来ます。
日数や価格の変化についても同様で、今回は表の数式の中に変化幅を指定してしまいましたが、これもどこかのセルを参照しておくようにすれば、様々な変化を予想することが出来ます。
ここでは出来るだけシンプルに分かりやすくするために省けるところは省き、普段自分ではあまり使わない表記も使いました(損益なんかは÷10000)入れて万単位で『\』マークなんて使わないです(^^ゞ)。
とりあえずこれが基本形。これをもっと価格の変化、日数の変化の本数を増やしていくのが次の段階。
そして複数のポジションを合成できるように作り上げれば、それなりの損益シミューレータの完成です。
参考までに…
自分は日系証券でオプションディーラーをしていたときに、オプションについては8個のポジション、あと先物のヘッジ分を加味できる形でのシミュレータを作りました。実は今回ご紹介した関数はその時につくったものです。もう17年ぐらい前になりますか…オッサンなことがバレますね(^^ゞ
そこに自分の作りたいと思うポジションや実際のポジションを入力し、シミュレートする。デルタやベガやガンマやセータも大事、でも複数のオプションを組み合わせていった場合、その損益予想は分かりづらくなります。ポジション作った自分自身は大体の感覚で分かっていますが、上司や管理部門への報告には損益シミュレーションしてあげるとより理解してもらえたものです。
実際に取引所オプションでポジション組成していくうえでは、これ以上ややこしいシミュレーションは必要ないと(自分は)思います。
この損益シミュレーションは、いわばシンプルな『ストレス・テスト』につながります。
今回の震災で生じた個人投資家の巨額損失は、個人投資家自身、証券会社サイドにもストレス・テストという考えが希薄であったために生じた損失をも見れます。
スパンで証拠金取ってる云々ではないのです。日経平均株価がどの程度変動したら、そのポジションにどれぐらいの損失が発生するかをシミュレーションし、自分自身、および顧客がそれに耐えうる資産を保持しているのかどうかを検証することが必要なのだろうと思います。
所詮、スパンは過去の値動きからシンプルに計算された変動リスクに過ぎません。ボラティリティとも言えるような代物でもないのです。取引所が計算しているから…なんて安易な発想してたらいけませんよ。
ここ数年、個人投資家によるオプション取引が増えてきました。それは市場にとって素晴らしいことです。ただその商品が持つリスクや特性を理解しないで安易な売買が増えていた気もしています。
以前、このブログでご指摘いただいたことですが、オプションに関する本は90年代に発行されたものにいいものが多い…つまり日本におけるオプション取引本格化とともに学習意欲が高かったのはそのときなのかもしれません。
それから10年以上経つ現在。
オプションの売買はどれほど活性化し、それとともに参加者の知識レベルはどこまで向上したのでしょうか?
今回の巨額損失問題は、その売買の質(証券会社の管理の質も)が決して高くなってはいなかったということを示しているような気がします。
市場参加者の一人として、この日本の市場で育ち、生きてきた者の一人としてとても残念な出来事でした。
でも学びたいと思う人たちは大勢います。
このブログを通じて、そういったメッセージを伝えてくださった人たちがいます。
その人たちに何か伝えることはできないか?
そしてきっとそういった人たちが、しっかりとした知識を持って、そして楽しみながら、健全な市場を作り上げていってくれるのだと信じています。
その一助になれば、そんな思いでブログに書きました。
ちなみに私自身、オプションについてはそれなりに勉強しましたが、オプション・プレーヤーとしてやっていたのは17年前ぐらいのまだペーペーの頃のことでした。
その頃はまだパソコンも触ったことなかったし、数学は大の苦手(^^ゞ
でも必死にやれば何とかなるものです。
オレPC苦手、ややこしいの苦手、という人は無理してやる必要はありません。でも興味があるのなら、ここにヒントを残します。ぜひ時間があるときにでもトライしてみてください(^^ゞ
だいぶ間があいてしまいましたが、とりあえずオプションに関する基本的なご紹介はここまで。
ただこれから先も何か分からないこと、知りたいことがあれば、いつでもメッセージください。答えられることなら答えます。もちろん分からないことは分かりませんとへーきでいいますので、そこはご理解くださいね(^^ゞ