【コラム】フィスコ『週刊展望』今週のワンポイント~オプション取引⑥
フィスコ『週刊展望』今週のワンポイントより(2001年)
オプション取引実践編
これまでオプション取引の仕組みや、その戦略などについて大まかに解説してきました。しかし、実際にこういった運用を行えるのは、専門的かつ資金力の豊富な投資家に限られるでしょう。実際に個人投資家の皆さんがオプションを使って投資を行うとすれば、よりシンプルにオプションを売買することになるはずです。では、実際にオプション取引を行う時、どういった点に注意しなければならないのでしょうか。実際の価格を使って、様々な角度からシュミレーションしてみましょう。
2月15日の日経平均株価の引値は10048.10円でした。この時、10500円の3月限コールオプションの引値は115円、ボラティリティは29.06%でした(IVはブラックショールズモデルを元に当社算出)。あなたが3月限のSQまでに日経平均株価が上昇すると想定し、このコールオプションを10枚買った場合、その損益は以下の表のようになると想定されます。
もし日経平均株価が動かなかった場合、あなたの保有しているオプション価格は日が経つ毎に低下し、損が増えていくことになります。なぜそんなことが起こってしまうのか?オプション取引を行っていくためにはそれをしっかりと理解しておかなければならないのです。
日が経つ毎にオプション価格が下落してしまうのは時間的価値の低下によるものです。これを専門用語ではセータ(THETA)といいます。SQ(決済日)までの残存期間が長ければ長いほど、株価が変動する可能性は高くなります。3日で500円動く可能性よりも、10日で500円動く可能性の方が高い、単純なことです。つまり、SQまでの残存期間が短くなるにつれて、その期待値が減少し、オプションのプレミアム(価格)も低下していくことになるのです。
ここで一つ覚えておかなければならないのは、オプション・プレミアム(価格)には大きく二つの要素が存在するということです。本質的価値と時間的価値です。例えば、同じ日の10000円コールオプションのプレミアムは310円でした。10048.10円の日経平均株価を10000円で買う権利な訳ですから、100048.10円-10000円で48.10円が本質的価値と言われる部分に相当します。そして実際のプレミアム310円から48.10円を差し引いた額、261.9円が時間的価値となるのです。まだ残存期間が長いこともありますが、この時間的価値は決して小さなものではありません。オプション戦略を考える時、価格変動(デルタ)の予測だけではなく、この時間的価値に対してどういったスタンスを取るか、でオプションを売るか買うかという大きな戦略の違いにつながってくるのです。
で、重要なのはこういった損益推移はポジション作った時点でシミュレーション出来るということです。
・何日後に損益がどうなっているか(セータによる損益変化)
・日経平均株価の変動によって損益がどうなっているか(デルタ、ガンマによる損益変化)
・ボラティリティの変動によって損益がどうなっているか(ベガによる損益変化)
そして、株価変動による各リスクパラメータの変化も事前に予測できるものなのです。
それを元にヘッジプランを『事前に』組み立てること。
それが重要なのです。
そのためにはオプションのプライシングをしっかりと勉強する必要があります。
例えば『ブラックショールズ・モデル』。
日経平均オプションはシンプルなオプション(プレーン・バニラ)なので、このモデルを覚えておけばOKです。
しかもそんなに高度な数理的な知識が必要か、というと実はそうでもないのです。
確かに考案したのはノーベル賞を受賞した学者ですが、そのプライシングはExcelでも十分に出来るものなのです。
Excel、VBAの知識を最低限持っていれば何とかなっちゃうもんなんですよ。自分だって理系でもなんでもありませんから…(^^ゞ
その辺はこれからおいおいやっていきましょう。
オプション取引実践編
これまでオプション取引の仕組みや、その戦略などについて大まかに解説してきました。しかし、実際にこういった運用を行えるのは、専門的かつ資金力の豊富な投資家に限られるでしょう。実際に個人投資家の皆さんがオプションを使って投資を行うとすれば、よりシンプルにオプションを売買することになるはずです。では、実際にオプション取引を行う時、どういった点に注意しなければならないのでしょうか。実際の価格を使って、様々な角度からシュミレーションしてみましょう。
2月15日の日経平均株価の引値は10048.10円でした。この時、10500円の3月限コールオプションの引値は115円、ボラティリティは29.06%でした(IVはブラックショールズモデルを元に当社算出)。あなたが3月限のSQまでに日経平均株価が上昇すると想定し、このコールオプションを10枚買った場合、その損益は以下の表のようになると想定されます。
もし日経平均株価が動かなかった場合、あなたの保有しているオプション価格は日が経つ毎に低下し、損が増えていくことになります。なぜそんなことが起こってしまうのか?オプション取引を行っていくためにはそれをしっかりと理解しておかなければならないのです。
日が経つ毎にオプション価格が下落してしまうのは時間的価値の低下によるものです。これを専門用語ではセータ(THETA)といいます。SQ(決済日)までの残存期間が長ければ長いほど、株価が変動する可能性は高くなります。3日で500円動く可能性よりも、10日で500円動く可能性の方が高い、単純なことです。つまり、SQまでの残存期間が短くなるにつれて、その期待値が減少し、オプションのプレミアム(価格)も低下していくことになるのです。
ここで一つ覚えておかなければならないのは、オプション・プレミアム(価格)には大きく二つの要素が存在するということです。本質的価値と時間的価値です。例えば、同じ日の10000円コールオプションのプレミアムは310円でした。10048.10円の日経平均株価を10000円で買う権利な訳ですから、100048.10円-10000円で48.10円が本質的価値と言われる部分に相当します。そして実際のプレミアム310円から48.10円を差し引いた額、261.9円が時間的価値となるのです。まだ残存期間が長いこともありますが、この時間的価値は決して小さなものではありません。オプション戦略を考える時、価格変動(デルタ)の予測だけではなく、この時間的価値に対してどういったスタンスを取るか、でオプションを売るか買うかという大きな戦略の違いにつながってくるのです。

で、重要なのはこういった損益推移はポジション作った時点でシミュレーション出来るということです。
・何日後に損益がどうなっているか(セータによる損益変化)
・日経平均株価の変動によって損益がどうなっているか(デルタ、ガンマによる損益変化)
・ボラティリティの変動によって損益がどうなっているか(ベガによる損益変化)
そして、株価変動による各リスクパラメータの変化も事前に予測できるものなのです。
それを元にヘッジプランを『事前に』組み立てること。
それが重要なのです。
そのためにはオプションのプライシングをしっかりと勉強する必要があります。
例えば『ブラックショールズ・モデル』。
日経平均オプションはシンプルなオプション(プレーン・バニラ)なので、このモデルを覚えておけばOKです。
しかもそんなに高度な数理的な知識が必要か、というと実はそうでもないのです。
確かに考案したのはノーベル賞を受賞した学者ですが、そのプライシングはExcelでも十分に出来るものなのです。
Excel、VBAの知識を最低限持っていれば何とかなっちゃうもんなんですよ。自分だって理系でもなんでもありませんから…(^^ゞ
その辺はこれからおいおいやっていきましょう。