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【コラム】フィスコ『週刊展望』ワンポイントより~オプション取引③

『そんな初歩的なこと分かってるよ。つまんねー。』とお思いの方も多いと思いますが、合成オプションなどに入っていく前に基礎の基礎を知っておかないとアカンのでこの調子で少しずつ続けます…(^^ゞ


フィスコ『週刊展望』今週のワンポイントより(2001年)

オプション取引(実践編)
前週、コール・プットそれぞれの売りと買いについて解説しました。では、もしあなたが相場が上昇すると考えた場合、どのオプションを売買すれば良いのでしょうか?先物や個別株式であれば、『買う=上がる』『売る=下がる』となります。しかし、オプション取引ではそれがもっと複雑になるのです。

相場が上昇すると考えた場合

この場合、コールの買いもしくはプットの売りが正しいポジション選択となります。相場が上がれば上がるほど、コールの買いはどんどん儲かりますし、プットの売りは下がりさえしなければプレミアム(価格)分だけ儲かることになるからです。では、この二つの取引の違いはどこにあるのでしょうか?

コールの買いの場合は利益無限・損失限定となります。しかし、ここで注意しなければいけないのは、(コールでもプットでも)オプションを買う場合、最初はプレミアム分だけ支払うことになるため、一定以上上昇してくれなければ儲からないのです。例えば、10000円のコールを300円で買ったとしましょう。この場合の損益分岐点は10300円となり、その価格以上まで相場が上昇してくれないと利益とはならないのです。

一方、プットの売りの場合は、利益限定・損失無限となります。当然、相場が上昇するという見通しが外れ、急落となった時には大きな損失を被るリスクがあります。そういった意味では十分な注意が必要といえるでしょう。反面、コールのように一定以上上昇しなければ儲からないということはありません。例えば、10000円のプットを300円で売ったとしましょう。この場合、損益分岐点である9700円より下がらなければ損になることはありません。それ以上の価格であれば、相場が決して大きく上昇しなくても利益を得ることが出来るのです。

以上のことから、同じ『相場が上昇する』と予想しとったポジションでも、そのニュアンスに違いがあることが分かります。

『コールの買い』
相場が大きく上昇すると考えた場合。または上昇すると考えていても、急落へのリスクを限定したい場合。
『プットの売り』
相場が上昇するもしくはそれ以上下がることはないと考えた場合。



相場が下落すると考えた場合

この場合は、プットの買いもしくはコールの売りが正しいポジション選択となります。

プットの買いの場合は、利益無限・損失限定です。先ほどと同様に、10000円のプットを300円で買ったとしましょう。その場合、損益分岐点となる9700円より相場が下がれば利益を得ることが出来ます。さらに下がれば下がるほど利益は拡大していきます。しかし、相場の下落が大きくなく、9700円より下がらなければ利益を得ることは出来ないのです。

またコールの売りは、利益限定・損失無限となります。相場が予想外に大きく上昇してしまった場合、大きな損失につながる危険があります。しかし、それほど大きく下がらなくても利益を得ることが出来るのです。同じように10000円のコールを300円で売ったとしましょう。この場合、損益分岐点である10300円を超えてくると損失が発生することになりますが、それ以下の価格であればある程度の利益を得ることが出来るのです。

『プットの買い』
相場が大きく下落すると考えた場合。または下落すると考えていても、急上昇へのリスクを限定したい場合。
『コールの売り』
相場が下落するもしくはそれ以上上がることはないと考えた場合。


このようにオプション取引を使えば、ただ上がるか下がるかだけではなく、「いくら以上に上昇する可能性がある」とか、「下落してもここまでだろう」といった微妙な相場見通しをポジションに反映させることが出来るのです。また複数のオプション取引を組み合わせることで、「相場が変動しない」「上がるか下がるかは分からないが、相場が大きく変動しそう」といった場合に儲かるようなポジションを組成することも出来るのです。

ここで一つしっかりと覚えておいて欲しいことがあります。オプションを使う時こそ、相場見通し、ストラテジーをより具体的にしっかりと持つ必要があるということです。

相場観なくして、安易なプレミアム取りをした結果が先日の巨額損失です。プレミアム取りにいくのも結構。ただその前提は『相場が動かない』という見通しのはず。その前提条件が崩れたとき、どこでカバーし、ヘッジに動くかを考えていない人は膨れ上がる損失の前になすすべがなくなるでしょう。

オプションは自分の相場観をより具体的に具現化するためのツールです。相場観を持たずに思考停止状態で使うものではありません。そしてその相場観が間違えたときのロスカットもしくはヘッジプランを持たないでポジションを取ることも間違いです。株買うのと同じでしょ?

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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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