【コラム】フィスコ『週刊展望』ワンポイントより~オプション取引
先日、オプション取引について、ショート・ストラングルのシミュレーションをやってみました。
そもそもオプションの基本がよくワカランという人もいらっしゃるようでしたので、昔フィスコの『週刊展望』でコラムを始める前に書いていた『今週のワンポイント』からオプション取引に関するものを転載していきたいと思います。
2001年(10年前)に書いたものなので、多少色々とアレかもしれませんが…そのあたりはご容赦ください(^^ゞ
フィスコ『週刊展望』より
今週のワンポイント
『オプション取引って何だろう?』
Q:『オプション取引』ってなに?
オプション取引とは、権利の売買を意味します。その権利とは、特定の商品を特定の価格で買う(または売る)権利のことです。例えば、日経平均株価を10000円で買う権利とか、同じものを11000円で売る権利とか…と言っても分かりづらいですね。では、少しずつ解説していきましょう。
まずオプション取引で使われている用語を覚えることから始めましょう。
オプション取引では、買う権利のことを『コール・オプション』と呼びます。売る権利は『プット・オプション』です。そして特定の価格のことを『権利行使価格』と呼びます。特定の商品には様々なものがありますが、日本では、日経平均株価、東証株価指数、個別株などのオプション取引が主に行われています。活発に売買されているのは「日経平均株価指数オプション」です。例えば、10000円のコール・オプションと言えば、日経平均株価(特定の商品)を10000円(特定の価格=権利行使価格)で買う権利(コール・オプション)のことを意味します。
Q:『オプション取引』の仕組み?
(日経平均株価指数オプションの場合)
権利行使価格の設定
市場で売買されているのは一つの権利行使価格だけではありません。同時に複数の権利行使価格のオプションがコール、プットともに売買されているのです。権利行使価格は250円刻みで設定されます。例えば、残存期間が3カ月以内のオプションについては、現在の日経平均株価が10000円だとだとすると、まず10000円のオプションが設定され、さらにその上下8本ずつが設定されることになります(計17本)。上に8本(10250円、10500円、10750円、11000円、11250円、11500円、11750円、12000円)、下に8本(9750円、9500円、9250円、9000円、8750円、8500円、8250円、8000円)といった具合に。株価が変動した場合でも、常の上下に8本以上の権利行使価格があるようにオプションは追加設定されていきます。
SQ(特別清算日)
オプション取引にも先物取引と同様にSQ(特別清算日)があります。先物取引では3ヶ月に一回でしたが(3,6,9,12月)、オプション取引では毎月第2金曜日にSQがあり、その限月のオプションはその日に決まるSQ値で清算されることになります。
(オプションを買った場合)
例えば、SQ値が10300円だったとしましょう。もしあなたが10000円のコール・オプションを買っていた場合は、10300円のものを10000円で買う権利を持っている訳ですから、差額の300円分をもらえることになります。
ではもし10500円のコール・オプションを買っていた場合はどうでしょう?10300円のものを10500円で買う権利だから200円の損と考えてしまうかもしれませんが、そうではないのです。オプションはあくまで権利であって義務ではないのですから、その権利を放棄してしまえば買う必要はないのです。つまりそこで200円の損が発生することはありません。
ただしこれはあくまでオプションを買っていた場合です。オプション取引でも、株式や先物と同じように誰かが買う以上、それを売る人がいるのです。売っていた場合どうなるのか、そしてオプションの価格について解説していきましょう。
(オプションを売った場合)
ちょっとややこしくなりますが、オプションを売るということは権利を売ることになります。つまり権利を売った以上、それに応じる義務を持つことになるのです。買った人は損をする状況では権利放棄すればいいだけなのですが、売った人はどんなに損な状況でも、買った人の申し出を受けなければならないのです。
前回と同じ例でやってみましょう。SQ値が10300円でした。10000円のコール・オプションを売っていた場合はどうなるでしょうか?この場合、そのオプションを買っていた人の求めに応じて、10300円のものを10000円で売ってあげなければいけません。実際の値段より安い値段で売ってあげる訳ですから、300円分損することになるのです。
では10500円のコールを売っていた場合はどうでしょうか?さきほど説明したように、10300円のものをわざわざ10500円で買う人はいないでしょう。このオプションを買っていた人はその権利を放棄することになります。つまりそこで損をすることはないのです。
こうしてみるとオプションを売った人は損をするか、損をしないかで儲かることがないじゃないか!と思われるかもしれませんが、そうではないのです。オプションにも価格があります。当然、オプションをある価格で買った人は売った人に対してその価格分を支払うことになります。オプションを売った人にとってはその価格こそが利益の源泉になるのです。オプション市場ではその価格のことをプレミアムと呼びます。10000円のコールは300円、10500円のコールは100円といった具合にそれぞれの権利行使価格毎に異なった価格で売買されているのです。
先ほどの例で考えてみましょう。10000円のコールを300円(プレミアム)で売っていました。そしてSQ値が10300円としましょう。この場合、SQ値と権利行使価格の差額分の300円分は損することになるのですが、コール・オプションを売っていたプレミアム300円をもらっているので、差引きゼロということになります。
ではSQ値が10200円の場合はどうでしょうか?SQ値と権利行使価格の差分200円の損に対して、300円のプレミアムが入ることになるので、100円の儲けになります。
(式)-200円+300円(プレミアム)=100円
損益分岐図(コール買い)
それでは、SQ値がいくらになったら儲けで、いくらになったら損になるのかをグラフ化してみましょう。
(条件)権利行使価格10000円、プレミアム300円
このグラフはコール・オプションを買った場合の損益の推移を示しています。コールを買った場合、プレミアムの300円を最初に支払うことになるので、もしSQ値が10000円以下ならば、そのプレミアム分はそのまま損失となります。しかし、10000円を超えてくれば、SQ値と権利行使価格の差額分が手元に入ることになっていきます。そしてその差額分が、最初に支払ったプレミアムを上回ってきた場合に利益になり、あとはSQ値が高ければ高いほど利益は無限大に拡大していきます。基本的にオプションの買いは損失限定・利益無限であるということを覚えておいて下さい(ただしそんなに簡単に儲かるものでもありませんが…)。
そもそもオプションの基本がよくワカランという人もいらっしゃるようでしたので、昔フィスコの『週刊展望』でコラムを始める前に書いていた『今週のワンポイント』からオプション取引に関するものを転載していきたいと思います。
2001年(10年前)に書いたものなので、多少色々とアレかもしれませんが…そのあたりはご容赦ください(^^ゞ
フィスコ『週刊展望』より
今週のワンポイント
『オプション取引って何だろう?』
Q:『オプション取引』ってなに?
オプション取引とは、権利の売買を意味します。その権利とは、特定の商品を特定の価格で買う(または売る)権利のことです。例えば、日経平均株価を10000円で買う権利とか、同じものを11000円で売る権利とか…と言っても分かりづらいですね。では、少しずつ解説していきましょう。
まずオプション取引で使われている用語を覚えることから始めましょう。
オプション取引では、買う権利のことを『コール・オプション』と呼びます。売る権利は『プット・オプション』です。そして特定の価格のことを『権利行使価格』と呼びます。特定の商品には様々なものがありますが、日本では、日経平均株価、東証株価指数、個別株などのオプション取引が主に行われています。活発に売買されているのは「日経平均株価指数オプション」です。例えば、10000円のコール・オプションと言えば、日経平均株価(特定の商品)を10000円(特定の価格=権利行使価格)で買う権利(コール・オプション)のことを意味します。
Q:『オプション取引』の仕組み?
(日経平均株価指数オプションの場合)
権利行使価格の設定
市場で売買されているのは一つの権利行使価格だけではありません。同時に複数の権利行使価格のオプションがコール、プットともに売買されているのです。権利行使価格は250円刻みで設定されます。例えば、残存期間が3カ月以内のオプションについては、現在の日経平均株価が10000円だとだとすると、まず10000円のオプションが設定され、さらにその上下8本ずつが設定されることになります(計17本)。上に8本(10250円、10500円、10750円、11000円、11250円、11500円、11750円、12000円)、下に8本(9750円、9500円、9250円、9000円、8750円、8500円、8250円、8000円)といった具合に。株価が変動した場合でも、常の上下に8本以上の権利行使価格があるようにオプションは追加設定されていきます。
SQ(特別清算日)
オプション取引にも先物取引と同様にSQ(特別清算日)があります。先物取引では3ヶ月に一回でしたが(3,6,9,12月)、オプション取引では毎月第2金曜日にSQがあり、その限月のオプションはその日に決まるSQ値で清算されることになります。
(オプションを買った場合)
例えば、SQ値が10300円だったとしましょう。もしあなたが10000円のコール・オプションを買っていた場合は、10300円のものを10000円で買う権利を持っている訳ですから、差額の300円分をもらえることになります。
ではもし10500円のコール・オプションを買っていた場合はどうでしょう?10300円のものを10500円で買う権利だから200円の損と考えてしまうかもしれませんが、そうではないのです。オプションはあくまで権利であって義務ではないのですから、その権利を放棄してしまえば買う必要はないのです。つまりそこで200円の損が発生することはありません。
ただしこれはあくまでオプションを買っていた場合です。オプション取引でも、株式や先物と同じように誰かが買う以上、それを売る人がいるのです。売っていた場合どうなるのか、そしてオプションの価格について解説していきましょう。
(オプションを売った場合)
ちょっとややこしくなりますが、オプションを売るということは権利を売ることになります。つまり権利を売った以上、それに応じる義務を持つことになるのです。買った人は損をする状況では権利放棄すればいいだけなのですが、売った人はどんなに損な状況でも、買った人の申し出を受けなければならないのです。
前回と同じ例でやってみましょう。SQ値が10300円でした。10000円のコール・オプションを売っていた場合はどうなるでしょうか?この場合、そのオプションを買っていた人の求めに応じて、10300円のものを10000円で売ってあげなければいけません。実際の値段より安い値段で売ってあげる訳ですから、300円分損することになるのです。
では10500円のコールを売っていた場合はどうでしょうか?さきほど説明したように、10300円のものをわざわざ10500円で買う人はいないでしょう。このオプションを買っていた人はその権利を放棄することになります。つまりそこで損をすることはないのです。
こうしてみるとオプションを売った人は損をするか、損をしないかで儲かることがないじゃないか!と思われるかもしれませんが、そうではないのです。オプションにも価格があります。当然、オプションをある価格で買った人は売った人に対してその価格分を支払うことになります。オプションを売った人にとってはその価格こそが利益の源泉になるのです。オプション市場ではその価格のことをプレミアムと呼びます。10000円のコールは300円、10500円のコールは100円といった具合にそれぞれの権利行使価格毎に異なった価格で売買されているのです。
先ほどの例で考えてみましょう。10000円のコールを300円(プレミアム)で売っていました。そしてSQ値が10300円としましょう。この場合、SQ値と権利行使価格の差額分の300円分は損することになるのですが、コール・オプションを売っていたプレミアム300円をもらっているので、差引きゼロということになります。
ではSQ値が10200円の場合はどうでしょうか?SQ値と権利行使価格の差分200円の損に対して、300円のプレミアムが入ることになるので、100円の儲けになります。
(式)-200円+300円(プレミアム)=100円
損益分岐図(コール買い)
それでは、SQ値がいくらになったら儲けで、いくらになったら損になるのかをグラフ化してみましょう。
(条件)権利行使価格10000円、プレミアム300円

このグラフはコール・オプションを買った場合の損益の推移を示しています。コールを買った場合、プレミアムの300円を最初に支払うことになるので、もしSQ値が10000円以下ならば、そのプレミアム分はそのまま損失となります。しかし、10000円を超えてくれば、SQ値と権利行使価格の差額分が手元に入ることになっていきます。そしてその差額分が、最初に支払ったプレミアムを上回ってきた場合に利益になり、あとはSQ値が高ければ高いほど利益は無限大に拡大していきます。基本的にオプションの買いは損失限定・利益無限であるということを覚えておいて下さい(ただしそんなに簡単に儲かるものでもありませんが…)。