【相場雑感】オプション・トレード・シミュレーション
オプションの売りによる個人投資家の巨額損失が話題になっています。
実際にどんなことやったらそんなになってしまうのか?
シミュレーションをしてみたいと思います。
ある情報筋からの話を元に仮想ポジションを組んでみます。
3月11日時点でショート・ストラングル(ディープ・アウトのコールとプットの売り)を組んだとします。
先物の引値は10170円。
そのときに11000円のコールと9000円のプットを1000枚ずつ売りました。
それぞれのプレミアム(引値)は12円と25円です。
その損益分岐図がこちら…。

『1000円ずつも離れているんだから大丈夫!』
なんて思っていたら大間違い。
もしこういったポジションを組むのであれば、組んだ時点で頭に入れておかなければならないことがいくつもあります。
・日経平均株価がいくらになったら評価損益がどれぐらいになっているか?
・同じく、そのときのポジション・デルタがどうなっているか?
まずこれは最低ラインです。
またダウンサイドについて考えなければいけないのは
・そのオプションの流動性リスク(アウトのとき(値段が安い時)は板が詰まっていますが、アットやインに近づけば(値段が高くなれば)板はスカスカになっていきます)。1000円も離れているオプションであれば、買い戻すのは容易ですが、相場が下がっていって権利行使価格に近づけば買い戻すのは困難になり、権利行使価格を割り込んでしまえば(イン・ザ・マネー、プットの場合)、板は完全にスカスカになります。
・また急落時にはスパン証拠金が大幅に引き上げられる可能性が高いこと。
・同じく、インプライド・ボラティリティの急上昇を招くことが多く、デルタ、ガンマによる損失のみならず、ベガでも大きな損失が生じる危険があること。
参考までに、この仮想ポジションの損益予想表です。

このポジションは時間的価値の減少(タイム・ディケイ)だけが味方です。
相場があまり動かずに時間が経てば経つほど利益は積み上がっていきます。
遠い権利行使価格なので値段(プレミアム)が安いため、最大利益は3700万円(9000円~11000円の間でSQまで持ち越した場合)です。
この表を見ると1日経過すると300万円弱ずつの利益が生まれていきます(時間的価値の減少でオプションの値段が下がる)。
しかし、日経平均株価が500円動いただけで▲5000万円近い評価損が生まれるのもこのポジションの怖さです。
このポジションの特徴は株価が下がれば下がるほどデルタはプラスになっていく…というとワケが分からないかもしれませんが、要するに買い下がり続ける形になっていくのです(上昇時は売り上がり)。
例えば▲500円ほど日経平均株価が下がった時の予想デルタは+170(225先物ラージを170枚買っているのと同じ)。そして▲1000円安のときのデルタは+360に膨れ上がります。万が一、▲2000円安となったら+830。
株価が下がれば下がるほど、買いが増えていく状態になるのです。
そして先物が3月15日につけた安値7800円近辺では▲12億円もの巨額損失が予想されます。
重要なのは、こういったリスクがあることは全て事前に分かっているということです。
もしこれらのことを理解せずにこんなポジションを作っていたのなら危険極まりない…今回のような損失を出しても自業自得ということです。
ポジションを作る時点で、そのポジションの損益推移予想およびデルタの変化(ガンマ・リスク)をしっかり頭に叩き込んでおくこと。
そして『事前』にテクニカルでも何でもいいですが、そのヘッジ・プランをしっかりと作っておくことが重要です。
ショート・ガンマ(セル・ボラともいう)は値動きが敵になります。
その値動きに対して無防備であれば、今回のような巨額損失を生む危険もあるのです。
つまり時間的価値の減少を取りにいく部分と、値動きに対して守る部分(ヘッジをかける)とのせめぎ合いの中で利益をいかに残すかがポイントになります。
先物による一定のヘッジ・コストはある程度計算に入れた上でポジションを組まなければいけないでしょう。
また流動性がなくなる前にプットの売りをどこでカバーするかも決めておく必要がありますし、コールの売りは権利行使価格が遠い分、儲けが限定的ですから、早めにカバーしながら、もっと近いコールを売り直すといった対応もありかもしれません。
かなり専門用語が多く、分かりづらかったかもしれませんが、ただ安易にオプションを売る行為がどれほど危険なものなのかは今回の出来事でみんな分かったと思います。
でもそのリスクをしっかりと理解して、相場観を持ってそれに合ったストラテジーを用いることでオプションはとても有用な運用手段になります。
ややこしい言葉が多いし、ワケわからんかもしれませんが、そこでリスクを取ろうというなら、。しっかりと学んで欲しい。
そう思います。
実際にどんなことやったらそんなになってしまうのか?
シミュレーションをしてみたいと思います。
ある情報筋からの話を元に仮想ポジションを組んでみます。
3月11日時点でショート・ストラングル(ディープ・アウトのコールとプットの売り)を組んだとします。
先物の引値は10170円。
そのときに11000円のコールと9000円のプットを1000枚ずつ売りました。
それぞれのプレミアム(引値)は12円と25円です。
その損益分岐図がこちら…。

『1000円ずつも離れているんだから大丈夫!』
なんて思っていたら大間違い。
もしこういったポジションを組むのであれば、組んだ時点で頭に入れておかなければならないことがいくつもあります。
・日経平均株価がいくらになったら評価損益がどれぐらいになっているか?
・同じく、そのときのポジション・デルタがどうなっているか?
まずこれは最低ラインです。
またダウンサイドについて考えなければいけないのは
・そのオプションの流動性リスク(アウトのとき(値段が安い時)は板が詰まっていますが、アットやインに近づけば(値段が高くなれば)板はスカスカになっていきます)。1000円も離れているオプションであれば、買い戻すのは容易ですが、相場が下がっていって権利行使価格に近づけば買い戻すのは困難になり、権利行使価格を割り込んでしまえば(イン・ザ・マネー、プットの場合)、板は完全にスカスカになります。
・また急落時にはスパン証拠金が大幅に引き上げられる可能性が高いこと。
・同じく、インプライド・ボラティリティの急上昇を招くことが多く、デルタ、ガンマによる損失のみならず、ベガでも大きな損失が生じる危険があること。
参考までに、この仮想ポジションの損益予想表です。

このポジションは時間的価値の減少(タイム・ディケイ)だけが味方です。
相場があまり動かずに時間が経てば経つほど利益は積み上がっていきます。
遠い権利行使価格なので値段(プレミアム)が安いため、最大利益は3700万円(9000円~11000円の間でSQまで持ち越した場合)です。
この表を見ると1日経過すると300万円弱ずつの利益が生まれていきます(時間的価値の減少でオプションの値段が下がる)。
しかし、日経平均株価が500円動いただけで▲5000万円近い評価損が生まれるのもこのポジションの怖さです。
このポジションの特徴は株価が下がれば下がるほどデルタはプラスになっていく…というとワケが分からないかもしれませんが、要するに買い下がり続ける形になっていくのです(上昇時は売り上がり)。
例えば▲500円ほど日経平均株価が下がった時の予想デルタは+170(225先物ラージを170枚買っているのと同じ)。そして▲1000円安のときのデルタは+360に膨れ上がります。万が一、▲2000円安となったら+830。
株価が下がれば下がるほど、買いが増えていく状態になるのです。
そして先物が3月15日につけた安値7800円近辺では▲12億円もの巨額損失が予想されます。
重要なのは、こういったリスクがあることは全て事前に分かっているということです。
もしこれらのことを理解せずにこんなポジションを作っていたのなら危険極まりない…今回のような損失を出しても自業自得ということです。
ポジションを作る時点で、そのポジションの損益推移予想およびデルタの変化(ガンマ・リスク)をしっかり頭に叩き込んでおくこと。
そして『事前』にテクニカルでも何でもいいですが、そのヘッジ・プランをしっかりと作っておくことが重要です。
ショート・ガンマ(セル・ボラともいう)は値動きが敵になります。
その値動きに対して無防備であれば、今回のような巨額損失を生む危険もあるのです。
つまり時間的価値の減少を取りにいく部分と、値動きに対して守る部分(ヘッジをかける)とのせめぎ合いの中で利益をいかに残すかがポイントになります。
先物による一定のヘッジ・コストはある程度計算に入れた上でポジションを組まなければいけないでしょう。
また流動性がなくなる前にプットの売りをどこでカバーするかも決めておく必要がありますし、コールの売りは権利行使価格が遠い分、儲けが限定的ですから、早めにカバーしながら、もっと近いコールを売り直すといった対応もありかもしれません。
かなり専門用語が多く、分かりづらかったかもしれませんが、ただ安易にオプションを売る行為がどれほど危険なものなのかは今回の出来事でみんな分かったと思います。
でもそのリスクをしっかりと理解して、相場観を持ってそれに合ったストラテジーを用いることでオプションはとても有用な運用手段になります。
ややこしい言葉が多いし、ワケわからんかもしれませんが、そこでリスクを取ろうというなら、。しっかりと学んで欲しい。
そう思います。