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【ビジネス】投資や運用の世界に飛び込む前に①

今回の1ヵ月強の日本出張では、本当に様々な方々にお会いしました。

ビジネスに関わる方々、業界関係者はもちろんのこと、学生の方や、まだ金融業界に入って間もない若い方、メディア関係の方…etc。名刺交換しただけでも百数十枚にはなりました。
既知の友人、知人も含めればずいぶん沢山の方にお会いしたと思います。
1ヵ月前のことが、1年前に感じるぐらい密度の濃い滞在期間でした。

とはいえ、一昨日の朝に今回の出張の延期が決まり、もうしばらくは日本にいることになりそうです。。。

様々な方にお会いし、色んなお話をさせていただき、感じたこと、思うところが沢山ありました。
3月中は、やるべきことを少しでもとミーティングに会食にと詰め込んでいたため、ほとんど席に座ってゆっくりブログ書く時間も取れなかったんですが、4月は少しペースダウンしながら、時間があるときに少しずつ書いてみようかなと思います。


この十数年の間に、個人投資家のレベルは驚くほど高くなったと感じています。
ネット証券の存在が、投資や運用を身近なものにし、様々な方が気軽に投資や運用ができるようになったこと。
個人投資家で成功を収めてきた方々が、TwitterやYoutube、ブログなどで積極的に露出することで、若い世代が憧れを持ち、裾野が大きく広がってきたこともあると思います。
個人投資家から何人ものスターが生まれてきたこと、そういった方々が発信してきたこと、牽引してきたことがとても意味があったのだろうと感じています。

もちろん玉石混交です。

自分も見るに堪えないような発信をしている方も多少なりとも目にしてきましたし(出来るだけ見ないようにしてますが)、悪質な煽りや全く理解不足のまま安易な情報を発信していたり、若い世代の方をミスリーディングしかねないものも少なくありません。それを見極めることも最低限の知識がなければできないでしょうから、まずは基本的な知識や理解を深めるプロセスを経てから、この世界に飛び込んでくることをお勧めします。

投資や運用は、リスクのある世界です。
そういった世界でそれを長く楽しむこと、生活や人生にプラスになるようにすること、生活の糧、職業にすることの意味を考えてみてください。
何も知らないまま、安易に飛び込むことはあまりお勧めしません。

「貯蓄から投資へ」「老後2000万円問題」などで投資や運用の必要性や危機感を強めざるをえなくなってきた現実もあるかもしれません。
危機感ばかりが募り、金融や運用、投資についての知識がほとんどないような一般の方も少なくありません。
そしてその危機感につけ込み、悪質な詐欺行為なども投資や運用の名の下で行われていること、そういった事例が増えていることも忘れてはいけないと思います。

無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について

こちらのリンク先では金融庁がホームページで無登録業者の一覧を掲載しています。
最低限の知識として、大切な資金をお預けになる前に、その販売をしている業者や運用を行っている業者が、きちんと金融庁に届出や登録、認可を得てその業務(業)を行っているかを確認することだけは忘れないでください。

本来、金融庁への登録も届出もない時点で金融庁の管轄下とはいえない業者になり、警察の管轄になるのでしょうが、あまりに問題が多いので金融庁でもこうした取り組みをしてくださっています。
ぜひもっと一般の方にも、詐欺行為にあってしまう前に、こういった情報が周知されることを願います。

中には知識が不足していて、自覚もないまま違法行為を行ってしまっているところもあるかもしれません。
しかし、そういった基本的な知識が不足している時点でやはりNGですし、悪質なところはポンジスキーム、詐欺まがいのところも少なからずあると思います。

登録や認可を受けている業者は、金融庁や各地域財務局の監督や監視の下で業を営んでいます(ウチはシンガポールの金融当局であるMASの承認)。
定期的な検査も受けなければなりません。
問題があれば、処分、課徴金などを課されますし、場合によっては業務停止や免許取り消しといった厳しい処分も受けます。
金融業を営むにあたっては「コンプライアンス」「法律への理解」といったところが必須であり、大きな課題や重荷にもなったりします。シンガポールなどでは、ライセンスのステータスによってはコンプライアンスのアウトソースが可能だったり、そういった専門の会社があったりもするんですけどね。

人にお金を預ける。
金融商品を購入するということは、そういう行為に他なりません。
ただその真偽や、妥当性を見極めるにあたっては、最低限の知識が必要になります。
もしくはその真偽を見極めることができる信頼できるプロを見つけてください。

無登録業者がこれだけ大量にあり、それが稼げているという現実。
いくつか事件やニュースになった事例もあります。
真っ当な金融業者は公募であれば積極的に情報を開示し、販売もできますが、私募であればそれもできません。
でも無登録業者は、無登録のまま派手なイベントをやったり、勧誘行為をガンガンやってお金を集めていたりもします。

こんな状態を放置していると、数年後には「投資は危険」「運用業者は詐欺ばっかり」なんてイメージが一般の方々に定着してしまうんではないかと危惧しています。
これは政治、金融当局、業界全体で真剣に考えていかなければいけない問題だと感じました。

確かに業界自身でも自省しなければならないことは少なくありません。
投資家のためよりも自分の利益のために、手数料稼ぎのために回転売買をさせてきた時代もありました。
手数料をいかに稼ぐか?
それがここ数年流行った仕組債だったりもしたのかもしれません(すべての仕組債が悪いとは思いません)。

顧客の利益のために我々は働く。
運用によって利益を上げる=投資家の資産を増やす。
その報酬として、一定のフィーを頂戴して利益を上げる。
販売や資産管理などで協力してくれた人たちと、そのフィーをシェアする形でWinWinの関係をいかに作るか。

業界内であっても、様々な課題があることも事実です。
ただ顧客が幸せにならないビジネスは長続きしません。
顧客のニーズにいかに応えていくか。

投資や運用が詐欺や危険なものというレッテルを貼られるような時代を終わらせなければ、2000兆円と言われる日本の金融資産は資源として活きてきません。

沢山の課題や問題を感じた1ヵ月でもありました。
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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