【投資】投資の大切さと怖さ
「投資」の必要性を訴える意見。
「老後2000万円問題」など、将来の資産形成への危機感を募らせる意見。
基本的には正しいのだろうと思います。
特にこの業界で生きている者から見れば、政府が投資促進に取り組んでくれることはいいことだと感じはします。
確かに日本は2000兆円を超える個人金融資産がありながら、それを活かしきれていない。
少子高齢化や様々な構造的な問題を抱えているこの国において、将来の自分をいかにして守るかは、個人にとって大きな問題です。
「貯蓄から投資へ」
大切なことだと思います。
一方で、危機感ばかりを煽られ、投資の必要性や重要性ばかりを感じさせられる。
その結果、知識や理解が不足したまま焦りばかりが募り、(美味しい)投資話に乗っかってしまう一般の方が増えて、投資詐欺がはびこる。
モノや製品であれば、誇大広告なども監視され、企業側に一定の責任が課されている。
投資や運用の世界においてはどうでしょうか?
金融業として届出・登録している業者はもちろん監督下にあり、ルールの下でやっている。
その一方で、無登録でやっている人たちは好き勝手な誇張や嘘をついてお金を集めていく。
そういった被害は金融庁の管轄ではなく、警察などの管轄になるのでしょうが、被害が出て初めて発覚し、表面化することが多いように思います。
その時点で、すでにかなりの被害規模になっていることが少なくない。
自分も以前、書籍を一冊だけ書かせていただいたことがあります。
そこに”修飾子”を…と言われて困りました。
「〇〇億円稼いだ」、「〇万円を〇億円にした」、「秒で〇〇」とか、派手な修飾子つけないと本が売れない…のでしょうね(^^;
例えそれが事実だとしても、そういうこともあった…という過去に過ぎません。
自分はあんまりそういうのつけたくないとお願いして、いくつか提案いただいた中で「まぁこれなら…」と思ったものを了承しました。
派手な言葉、美味しい話、そういったものに目がいきがちなのは理解できます。
でも投資や運用って、そんなに甘い世界でも、簡単な世界でも、美味しい世界でもないんです。
リターンの裏にはリスクがあります。
そのリスクをしっかりと自覚しながら、「投資」は考える必要があります。
「投資」は自己責任…かもしれません。
でも投資の必要性を煽るのであれば(投資の必要性自体は自分も同意です)、投資においてそういった詐欺に引っかからないための知識や情報、投資に伴うリスクなどについても理解を広げていくことも大切なことだと思います。
危機感や必要性ばっかり示して、一般の方々が傷ついていくのを放置していれば、「投資は(悪い意味で)危険」「株はギャンブル」なんてイメージがいつまでも払拭できないでしょう。
最近の相次ぐ投資詐欺事件見ていて、若い世代の方々が沢山引っかかってしまう状況に懸念を覚えます。
そして運用が上手い個人投資家でも、ちゃんと法律を知らずに安易に他人のお金を預かり、自覚のないまま法律に違反した行為をしてしまっているかもしれません。
金商法なんて、業界に属していなければほぼ知らないでしょうから。
投資によって、個々の大切な資産、将来を失ったり、傷つけてしまったりしないように、政治や業界も投資を煽るだけではなく、そのリスクと正しく投資と向き合ってもらうために必要な情報や知識を伝えていく取り組みがもっと必要な気がしています。