【マーケット】2022年お疲れさまでした。そして2023年へ。
もうすぐ2022年も終わりますね。
ちょっと気が早いですが、この週末には出張、旅行と立て続けになるので今年最後のブログになるかと思います。
ブロガーとしてどうこうなる気もなく、思いついたこと、伝えたいことができたときに書くだけの気まぐれブログですが、お付き合いいただきありがとうございました。
ブロガーとしてどうこうなる気もなく、思いついたこと、伝えたいことができたときに書くだけの気まぐれブログですが、お付き合いいただきありがとうございました。
自分にとっては、ようやく様々なこと前に進めることができた一年になりました。
2020年のパンデミック以降、ただ「信じて待つ」「最善を尽くしつつ耐える」時間が過ぎていきました。
後輩達の力を信じて、その先を見据えて今出来ることをやる。
面倒なこと、つまらないことは積極的に引き受けて、組織として苦しい期間を乗り越えていける体力を残す。
この難しい市場環境下で利益を積み上げてくれた後輩達。
彼らが持つ本来の力。何年も積み重ねてきた実績や、競争の中で勝ち残ってきた実力は、投資家の方々の信頼にしっかり応えてくれました。
今年は機関投資家以外の投資家からの信頼も預けていただくことができました。
金額の多寡ではなく、その投資家ご自身にとっての重みを考えると、一層身が引き締まる思いです。
自分にとっては日常が戻り始める中で「ようやく日が昇った」一年だったと思います。
来年の相場もまた難しい一年になりそうです。
自分にとっては日常が戻り始める中で「ようやく日が昇った」一年だったと思います。
来年の相場もまた難しい一年になりそうです。
ただ思っていたよりも、市場は賢明であるとも感じています。
10月ぐらいからのCTAなどのショートカバーの流れ、自社株買いの加速、ターミナルレートが見えてくる中での金利上昇一巡感(今年の株価を抑え込んだ要因の後退)…年末にかけてのラリーが起きる可能性を感じつつ、その先にある下落を懸念もしていましたが、市場は次に来るであろう景気後退や企業業績の悪化への警戒をしっかりと強めています。
これはちょっと想定外でしたが、確かに信託銀行経由の売り越しはここ数週間続いていましたね。
年末にかけて、市場に楽観ムードが漂っているようだと、来年はまぁまぁ危ない動きになるかも…とは思っていましたが、これだけ先を織り込む形で慎重な動きになっているのなら、難しい局面ではあったとしても、「墜落」にはならず「ランディング」に留まるのかなと思います。
【懸念材料のシフト】
2022年の懸念要因は米国を中心とした金利上昇でした。FRBの金利引き上げ幅はペースダウンを始めており、ここまでの金利引き上げが与えた経済への影響を確認しながら、ターミナルレートを探る局面に入っています。過度に市場が楽観しないよう適度にタカ派発言を交えつつ、かなり絶妙に抑制を利かせているようにも思います。10月ぐらいに出ていた雰囲気「金利が天井つけるから、あとは株は上がるしかない」的なまま年末走るようだったら、かえって危険だったと思います。
ただここからの焦点は、金利引き上げによって生じた経済や企業業績への影響をどう読むかになってきます。これもまた難易度が高い。米国企業では多くの名だたる企業が、来年の景気後退を想定しつつ、レイオフを積極的に始めています。雇用の硬直性が高い日本では、それも思うようにはいかないでしょう。結果、景気後退の影響を受けやすくなり、そういった懸念を感じるからこそ企業は内部留保を高める。そして給料がなかなか上がらないという悪循環。来年は景気後退、企業業績の悪化、「逆業績相場」といった局面になるのでしょう。
2022年の懸念要因は米国を中心とした金利上昇でした。FRBの金利引き上げ幅はペースダウンを始めており、ここまでの金利引き上げが与えた経済への影響を確認しながら、ターミナルレートを探る局面に入っています。過度に市場が楽観しないよう適度にタカ派発言を交えつつ、かなり絶妙に抑制を利かせているようにも思います。10月ぐらいに出ていた雰囲気「金利が天井つけるから、あとは株は上がるしかない」的なまま年末走るようだったら、かえって危険だったと思います。
ただここからの焦点は、金利引き上げによって生じた経済や企業業績への影響をどう読むかになってきます。これもまた難易度が高い。米国企業では多くの名だたる企業が、来年の景気後退を想定しつつ、レイオフを積極的に始めています。雇用の硬直性が高い日本では、それも思うようにはいかないでしょう。結果、景気後退の影響を受けやすくなり、そういった懸念を感じるからこそ企業は内部留保を高める。そして給料がなかなか上がらないという悪循環。来年は景気後退、企業業績の悪化、「逆業績相場」といった局面になるのでしょう。
【地域・国による格差】
withコロナからafterコロナへ。欧米を中心に各国は規制緩和を進めており、日常が戻りつつあります。自分が暮らしているシンガポールでも、渡航は柔軟になり、出張で来られる方もかなり増えてきました。マスクも公共交通機関など限られた場所でのみ規制されていますが、もうインフルエンザとさして変わらない扱いになってきた印象があります。
withコロナからafterコロナへ。欧米を中心に各国は規制緩和を進めており、日常が戻りつつあります。自分が暮らしているシンガポールでも、渡航は柔軟になり、出張で来られる方もかなり増えてきました。マスクも公共交通機関など限られた場所でのみ規制されていますが、もうインフルエンザとさして変わらない扱いになってきた印象があります。
日本でもインバウンド需要が戻りつつある。しかし、実際の旅行者は規制緩和が進んだ欧米や韓国などが多く、かつて「爆買い」でインパクトをもたらした中国からの旅行者はまだまだ少ない。最後までゼロコロナを目指してきた中国。先日の中国本土での抗議活動にはちょっと驚きましたが、さすがに規制緩和に進まざるをえなくなっていきそうです。冬場の感染者増が懸念要因ではありますが、中国からの旅行者がコロナ前の状況に戻ってようやくインバウンド需要も本格化といえるでしょう。このようにコロナ規制緩和も国や地域によってタイムラグがある。
金利正常化については、逆に日本が一番遅れている。FRB、ECBはじめ各国がゼロ金利、マイナス金利を離脱し、インフレ退治に向けて金利を引き上げてきた中で、日銀だけは依怙地にを金融緩和政策を維持しようとし続けている。確かに欧米に比べればインフレ(消費者物価)圧力も少なく見える日本ではありますが、現在の金融緩和政策にはすでにアチコチに歪みや綻びが出始めている。来年春には日銀総裁の交代、春闘(金利引き上げに踏み切らない理由として賃金が上がらないことを日銀は示している)もあり、「日本の金融政策」がその時期には大きな焦点になってくるでしょう。
(追記)
今日、ちょっと唐突に日銀が動きましたね。
市場にはまぁまぁのサプライズだったようで、株は大幅下落、為替は円高方向へと振れました。
(追記)
今日、ちょっと唐突に日銀が動きましたね。
市場にはまぁまぁのサプライズだったようで、株は大幅下落、為替は円高方向へと振れました。
さすがにアチコチにこの政策を維持することへの反動や歪みが生じていましたから、ある程度の変動幅を許容していかないと政策自体が機能不全を起こしかねないというところだったのかもしれません。ずっと「賃金が…」と語っていたので、春闘を待つかなと思っていましたが、本格的な政策変更というのとは、ちょっと違う意味合いでの日銀の決定だったのかと思います。
12月のFOMC終了後は、海外投資家などクリスマス休暇に入る市場参加者も多く、流動性が減少しがちな時期でもあります。こういう流動性が低下する時期って、CTAの売買によるインパクトがかなり出やすいともいえます。
12月のFOMC終了後は、海外投資家などクリスマス休暇に入る市場参加者も多く、流動性が減少しがちな時期でもあります。こういう流動性が低下する時期って、CTAの売買によるインパクトがかなり出やすいともいえます。
10月ぐらいからの相場上昇は、CTAのショートカバーがかなり相場をけん引した印象がありますが、足元ではほぼフラットではないかという見方も多かったようです。市場が閑散期になる年末相場の中での日銀の判断がCTAの動向などにどう影響するかは要注意ですね。
【金融緩和・流動性供給の時代の終わり】
2008年のリーマンショック以降続いてきた各国中央銀行による金融緩和と流動性供給。自分はまさかゼロ金利、マイナス金利などという世界を見るとは当時想定もしていませんでした。「お金を預けるとお金が減る」自分の中にあった常識からすれば、異常だと感じたぐらいです。
2019年末にかけて、FRBはそこからの出口を模索しかけましたが、新型コロナとパンデミックによって一気に転換。急激な流動性供給を行い、パンデミックによる経済的なダメージやショックを払拭しにかかりました。各国中央銀行も同じように行動し、その資産残高は膨張し続けました(QE)。
そしてようやく今年、金利はほとんどの国でプラス圏に戻り、中央銀行の資産膨張にも歯止めがかかり、QTと言われるプロセスに入りつつあります。ただまだQTは始まったに過ぎないレベルだと思います。それほどまだ中央銀行の資産は減っていませんから。
2008年以降続いてきた金融緩和・流動性供給の時代は終わり、ゲームチェンジは起きたと自分は認識しています。よほどなことがない限り、再度ゼロ金利、マイナス金利に戻ったり、QEに戻ることはないでしょう。つまりちょっとマーケットが不安定になったぐらいで中央銀行が助けてくれる市場に優しい中央銀行は期待しづらいと考えています。2008年以降、ほとんどの期間においてグロース一辺倒だった物色動向も変わってくるでしょう。マクロ環境は、リーマンショック~新型コロナパンデミックまでとは大きく変わったという前提に立って相場と向き合う必要があると考えています。
【脱グローバル化、分断とブロック経済化への懸念】
世界的に物価が上がりづらくなった理由には様々あるでしょうが、経済のグローバル化が大きく影響していたと思います。それぞれの国や地域で生産し、消費してきた時代から、より生産コストの安い国でモノを作ることが容易になった。冷戦終了以降、国家間においては緊張緩和・融和の方向に進み、生産・製造、輸送・物流、消費が国をまたいで行われることが当たり前のようになっていった。より人件費などが安い国や地域でモノを作る。結果、物価は上がりづらくなった(デフレの強化)。そしてそういったヒト・モノ・カネの流入が発展途上国の成長を促し、先進国にとっては産業の空洞化や技術の流出も招いてきた。
今、その反動が様々な形で出始めています。世界二位の大国となり、米国主導の経済圏や軍事的なバランスすらも脅かす存在になりつつある中国。それに対する警戒や反発。ロシアによるウクライナ侵攻が与えた地政学的リスクの高まりと、ひとたびそれが起きてしまったときの経済的ダメージ。国や企業は、将来的なリスクを意識し始めています。
米国主導で中国への輸出規制などが強化されているように、今後は脱グローバル化、そして地政学的リスクの高まりから、国家間の分断やブロック経済化の動きも出てくるかもしれません。これまでの流れと逆流を始める可能性がある。それはコスト削減の可能性を制限し、潜在的なインフレ圧力をある程度高めることにもつながる可能性があります。。
【金融市場のストレスへの警戒】
金利がある程度の水準で高止まり、QTが続くとなると、金融市場へのストレスはそれなりにかかり続けることになります。2008年以降の優しい中央銀行に慣れきった市場や経済。有り余った資金は様々なところに流れ込み、資産価値を大きく引き上げてもきました。
その流れが逆転した結果、NFTや仮想通貨といった資産価値の裏付けが乏しいものが大きくダメージを受けた。PE(プライベート・エクイティ、未公開株投資など)なども、評価額の見直しを余儀なくされています。過剰流動性を背景に膨らんだ「期待」がはげ落ち、市場がリスクを意識し始めた結果、「実態価値」へと回帰していく流れの一つでしょう。株式市場で起きたグロースからバリューへの流れも同質です。
2022年を終える前に暗号資産(仮想通貨)業界で発生したFTXの破綻。従来の金融商品や業界においても繰り返されてきたことです。そういった経験を乗り越え、適切な規制や監督体制をどう構築していくか、信頼に足る業界へと成長していくプロセスの一つなのでしょう。
株式市場の波乱以上に気をつけないといけないのは、債券市場における波乱でしょう。金融市場にそれなりの高いレベルでストレスがかかり続けると、どこかで大きな破綻や波乱が起きてくる。90年代後半に日本で起きた住専問題から山一證券などの金融機関の連鎖的破綻、アジア通貨危機、欧州でのソブリン危機、リーマンショック。2023年は債券市場をよりモニターしておく必要があると思っています。財務基盤の弱い新興国や企業などの破綻などが生じてくる可能性は少なくないと思います。一方で、金融システム自体はいくつもの経験を踏まえて、以前に比べればかなり強化されてもいます。何か起きた時にも冷静に対処できるように頭の中で備えをしておくことが大事だと思います。
相場見通しや市場予測については、かなり難易度が高い局面がしばらく続くと思います。エコノミストやストラテジストの方とお話していても、結構意見が分かれることが多いと感じていたのが今年後半でした。
冷戦終了以降続いてきたグローバル化の流れが変わる転換点。
リーマンショック以降続いてきた金融政策(金融緩和・流動性供給)の転換点。
パンデミックや戦争がトリガーを引き、加速させたこれらの「転換」。
パンデミックや戦争がトリガーを引き、加速させたこれらの「転換」。
私達は今歴史の一つの転換点を迎えようとしているのかもしれません。
そういった意味では、マーケットと向き合う力が求められる局面ともいえます。
そういった意味では、マーケットと向き合う力が求められる局面ともいえます。
常に相場は変化する。
以前、ここでも書きましたが、「運用者って年齢が大事なんですか?」という問いに、自分は「年齢自体はあまり関係ない。成功体験が邪魔をするんだ。」と答えています。
ある相場でうまくいったアプローチ。相場がすでに変わっているのに、その成功体験が邪魔をして相場に自分を合わせることが出来なくなる。端的に言えば「時代についていけなくなる」ということなのでしょう。
これは運用の世界だけではなく、企業でも、個人でも同様だと思います。
我々証券の世界でも、2000年前後に台頭してきたネット証券が営業やビジネスの在り方を変え、株式市場を個人投資家にとって身近なものにしていった。地場証券の多くは変化を拒否し、過去のやり方にしがみついてきた。
そこで何らかの独自性が打ち出せない証券は、その存在意義を失い淘汰されていった。
かつて稼げたビジネスが、これからも稼げる保証なんてどこにもない。
常にスクラップ&ビルドを繰り返し、より若い目線で未来志向で自分達を変えていくこと。
そのためには自身を否定する姿勢も必要になる。
常にスクラップ&ビルドを繰り返し、より若い目線で未来志向で自分達を変えていくこと。
そのためには自身を否定する姿勢も必要になる。
変わらない理由、変われない理由を探している暇があったら、これからどうしていくかを考え、常に変わり続けるために努力し続けた方がいい。一定の成功によってその貪欲さが失われ、自己否定ができなくなり、過去の成功や栄光にしがみついて新しい自分の在り方や戦い方を見出す努力ができなくなったとき、自分の居場所がなくなっていくのでしょう。
もしかすると「日本」自体がそういう状況に陥っているのかもしれません。
12年前にシンガポールで暮らした時期。
そして現在。
アジアの中にあっても、日本の存在感の低下は著しく痛感します。
戦後からの復興、高度成長を経てバブルへ。
そして現在。
アジアの中にあっても、日本の存在感の低下は著しく痛感します。
戦後からの復興、高度成長を経てバブルへ。
アジアの中でもひと際輝き、世界においても力強い存在だった日本。
その成功の中で、日本だけ見ていれば生きていける。食べていけるという時代が続いた。
言語の問題もあり(他人のこと言えないですけど)、日本人は海外や世界を見る姿勢が当時のアジアの人々に比べてもかなり低かった。
自国の中だけでは食べていけない、夢を見れない国々の人は貪欲に世界を見て成長してきた。
そしてバブル崩壊から30年ちょっと経て、現在の状況がある。
日本はまだまだ世界で戦える力を有しています。
2000兆円を超える個人金融資産は日本にとっての資源ともいえるでしょう。
その受け皿になりえる若い世代の運用者を一人でも多く生み、育て、世に送り出していく。
自分が目指すことは来年も同じです。
簡単なマーケットにはならないでしょうが、2023年が皆さんにとって良い年になることを願っています。
【ディスクレーマー】
本ブログは、個人的な相場観や私見をまとめたものです。有価証券や金融商品の購入・引き受け、または投資サービスや投資助言の提供をオファー・勧誘するものではありません。
簡単なマーケットにはならないでしょうが、2023年が皆さんにとって良い年になることを願っています。
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