【マーケット】フォローアップのフォローアップ
昨日はたけぞうさんにお声がけいただき、たけぞうさんのメルマガ会員向けフォローアップセミナーにゲスト出演させていただきました。
久し振りにかのうちさんとも掛け合いが出来て懐かしくもあり、嬉しい時間でした。
お二人ともありがとうございました。
またパンローリングの皆さんにもいい機会をいただき、ありがとうございました。
昨日、視聴してくださった方の中には、自分がラジオ日経のかのうちさんの番組に出演した際の放送を聞いてくださっていた方もいたそうですね。嬉しいコメント、ちゃんと受け取りました。ありがとうございます。
「ヘッジファンド」という言葉を聞いて、いい印象を持たれない方も少なくないと思います。
得体のしれない存在、なんか特別なことやってそう、仕掛けて個人を食い物にしている…とかでしょうか。
ヘッジファンドを立ち上げて以来、海外の投資家とお話する機会もかなり増えていますが、日本の偏った情報や理解、海外との格差をすごく感じています。
”投資家から資金をお預かりして運用を行い、リターンをお返しする”
その目的は日本で一般的な投資信託と何ら変わるところはありません。
日本の投資信託は、ロングオンリーがほとんどという状況なので、同じと言われても違和感があるかもしれません。
確かにヘッジファンドは「レバレッジを使う」「ショート(売り)を使う」という点で、大きな違いがあります。
特にショートを使っていることで、ロング(買い)一辺倒の投資家から見ると「敵」に見られがちなんでしょうね。
米国でゲームストップ株を巡ってヘッジファンドが個人から狙い撃ちにされて話題になったことも記憶に残っています。
ヘッジファンドでも同じポジションを取るわけではありません。
それぞれのファンドマネージャー、ポートフォリオマネージャーが自分達なりの分析や考察、相場観に基づいてポジションを取っています。
結果、ショートでポジションを取る人もいれば、ロングでポジションを取る人もいる。
ショートポジションだけ見て相場に敵対する存在というレッテルを貼られがちですが、”ヘッジ”ファンドなんです。基本的に何らかの形で”ヘッジ”を行い、「相場の上げ下げに左右されずに安定的なリターンを拠出する」ことをその運用の目的にしています。
なんか特殊なことやってるわけでもないですし、魔法や手品を使って儲けているわけではありません。
いわゆる「絶対リターン」をどう実現するかということがヘッジファンドの基本的な運用目的です。
ヘッジファンドのリサーチ(HFRなど)を行っている会社の集計では、エクイティ・ロングショートと言われる投資戦略が最も一般的で31%を占めているそうです。
ただ同じエクイティ・ロングショートといっても、さらに細かく見ていくと結構な違いがあったりします。
なかにはシングルアルファ、ロングアルファというように、「買いは個別銘柄で銘柄選択のスキルによってアルファ(超過リターン)を得ていくが、売りは指数先物などを使って売り買いを合わせていく」ところもありますし、ショート(売り)でもロング(買い)でも個別銘柄でポートフォリオを構成し、売り買いともにアルファを目指していくダブルアルファであったり、売り買いのバランスの取り方から、マーケットニュートラル、ローネット、ロングバイアス、ショートバイアス…など様々な違いがあります。
さらにはイベント・ドリブン、アクティビスト(エンゲージメント)。
資金の規模が大きいグローバル展開しているファンドなどでは、マクロ戦略とかもあります。
CTAなど派生商品などで活発にポジションを取り、株式だけではなく、債券や為替、様々な商品を用いて運用するクロス・アセット。
債券などでの運用、仮想通貨(暗号資産)での運用など、広義のヘッジファンドで見ると実に様々な運用手法があります。
それぞれのアプローチでマーケットと向き合い、研究し、どんなマーケットでもリターンを追求していく(絶対リターン)という意味では個人投資家の皆さんやディーラーと何ら変わることはありません。
そして残念ながら、それでもうまくいかないときがあるのも事実です。
実際にヘッジファンドの多くにとって、今年はかなり難しい一年だったようです。
ヘッジファンドに投資してくださる投資家は、基本的には機関投資家です。
FoF(ファンドオブファンズ)、ファミリーオフィス、金融機関や年金や大学基金など様々です。
投資家属性やその地域によっても求められるリスクリターンの特性が違っていたりもするので、自分達の運用にマッチした投資家、理解してくださる投資家に出会うまで、長い道のりがあります。
そうして出会えた投資家、信頼を与えてくださった投資家は我々にとっては本当に大切な存在です。
そのために全力でマーケットと向き合い、いいリターンをお返しできるように取り組む。
運用という仕事である以上、そこに変わりはないんです。
日本は残念ながら、まだまだヘッジファンドという存在に対して理解が少なく、一般的ではありません。
投資地域別でみたAUMでみると日本はわずか1%程度しかないそうです(北米68%、欧州21%)。
株式取引所の時価総額でみれば、日本は世界の上位に位置してるんですけどね。
その認知度、理解度の格差が個人的には悔しいなと思います。
日本は個人投資家においては、この20数年の間に各段にレベルが高くなっていると思います。
ネット証券が台頭し、個人投資家に株式取引を身近なものにしていったこと。
何人もの成功者が出てきて、彼らの存在がリードする形でより幅広く若い層に夢や目標になっていったこと(中にはあんまりよくないなぁ…と思う人もいますけど)。
そして裾野が広がり、頂点が高くなっていった。
それを見れば、日本人の運用スキルや適性は、世界に全然負けてないとも思うのです。
自分は、資産運用の担い手として、職業としての運用者をゼロから育てる取り組みを何とかして続けていきたい。
一人でも多くの運用者を世に送り出し、その裾野を広げていきたいと思ってこの仕事に取り組んでいます。
個人投資家からそういった道を進まれる方も出てきていますし、これからの日本の資産運用業界は可能性が沢山あると信じています。