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【コラム】スランプ脱出の心得?

例のフィスコのコラムの中から第149回に書いた記事を転載します。
最近、ディーラー仲間からちょいちょいスランプに陥っているという話を耳にするので、参考になるかどうかは疑問ですけど、とりあえずこのネタを…。

※ちなみに昔の記事なんで、株価関係は全然値段違いますからあらかじめご了承くださいね。


しがないディーラーの独り言(第149回)
フィスコ『展望』より

『ついに17000円台を大きく割り込んじゃいましたね(-_-;)』と書いてわずか一週間…今度は16000円まで一時割り込んでしまいました(-_-;) 久しぶりに相場の怖さを感じる一週間でもありました。日経平均株価が直近高値17375.25円をつけたのが5月8日のこと。そこから僅か一週間余りで16000円まで一時割り込んでしまうこととなりました。特に新興市場で積極的なリスクを取っていた個人投資家は直撃喰らった感じですね…ご愁傷さまです<(_ _)>
と、人のこと言ってる場合じゃないのが我々ディーラー。こんな活力のない、訳のワカラン動きをする相場にあっても儲けなきゃアカンのですからマジ厳しい。特に先月から長期スランプに陥っている私としては涙チョチョぎれる状態であったりするのです(T_T)

私もディーラーを12年やっています(それなりの稼ぎが取れるようになってからはまだ10年も経っていませんが…)。当然、スランプに陥ったこと、涙チョチョギレ状態に陥ったことも何度かありました。そんなときをどうやって乗り切ってきたのだろう…?自省の意味を含めてちょっと振り返ってみようと思います。


自分が一番苦しかったのは…忘れもしない2003年12月。月初から不調に喘いでいた私は、月間の累損がジリジリと積み上がり、かなり苦しい水準までマイナスに沈み込んでいました。確か▲1800万ぐらいでしたかね…。で、そこに流れたフセイン捕縛のニュース。ここぞとばかりに勝負をかけ、銀行株をフルロング。ついでに先物もロング(そっちはチョコッとでしたけどね)。そして半分近くのロスを取り戻し、意気揚々とオーバーナイト(翌日に持ち越し)。その夜の米国市場は…フセイン捕縛を好感して寄付きから大幅高。でも良かったのはここまで…眠って、いい夢見て、朝目が覚めたときにはわが目を疑うマイナス転落…当然その晩の米国市場大幅高を織り込む形で前日に大きく値を飛ばしていた日経平均株価も朝から売り気配の急落(T_T)/~~~ そして私は自身過去最悪のマイナスレコードを残したのでした。

その後2週間ほど(年内)お休みをいただき、復活まで長いリハビリを要した『しがないディーラー』。このとき思ったのは何故あの日あそこまで大きなポジションを持つ必要があったのか?普段でもそこまで大きなオーバーナイトポジションを持たない自分が…です。日経平均株価は既にフセイン捕縛を好感して300円以上も上昇していました。しかも、その頃の日経平均は10000円割れスレスレの水準にあり、全体の相場環境はあまりよくない状況。ある程度評価益になっていたのに利益を確定せず、オーバーナイトしたのは何故か?損を取り返そうとする焦りから『相場を期待で見てしまった』のです。

ディーラーというのはとてもメンタルな仕事です。不安や期待のせめぎ合いの中で、『イケる!』と思っても、それが本当に客観的かつ冷静な判断に基づいた自信なのか、裏づけのない中で焦りから(期待の混じった)自信なのか、その違いが後のポジション・コントロールに大きな影響を及ぼすのです(我慢できるところで我慢できなくなったり…)。本来、我々は『仕事』で『人(会社)のお金を預かっている』のですから、常に冷静かつ客観的である必要があるのです。いわゆる『メンタル・コントロール』ってヤツですね。ただそのメンタル・コントロールと表裏一体なのが、『PL(プロフィット・ロス=損益)・コントロール』と『ポジション(リスク)・コントロール』です。『損益』なんてコントロール出来るわけねーだろっって言われてしまうかもしれませんが、損益自体のコントロールを意味している訳ではありません。例えば大ヤラレしているとき、人は冷静な判断が出来なくなります。損失によるプレッシャー、取り返そうとする焦り…そして本来の自分らしいトレーディングを見失い、待ちが出来なくなってついついヤラされる(手を出して損を出す)。大切なことは、損が出ているときの戦い方と利益が出ているときの戦い方を変えていくこと、損が出ているときに無理をして致命的な損失をこうむらないようにコントロールし、利益が出ているときはそれを武器により積極的な運用をする…これを『PLコントロール』と称しています。

『リスク・コントロール』もある意味では同義のモノです。損益状況にも関わってきますが、収益面で余裕があるときと、ないときのリスク(ポジション)量を調整することが一つ。あとは以前にも触れたことがありますが、自分が冷静にハンドル(運用)出来る限界点を把握し、過大なリスク量を取ったりしないこと(ただし成長の為には限界点をちょっと超えたところへのチャレンジも必要)、またそれぞれの銘柄における流動性を踏まえ、適正量にコントロールすること、なんかもあります。
当然、相場環境によっても影響は出てきますが、それぞれの『コントロール』がしっかりと出来たとき、結果として収益も安定してくるものです。それでも環境が変わったり(例えば会社が変わるなど)、プライベートでストレスがあったり(例えばカミさんとケンカなど(^_^;))…そんな仕事以外の面でコントロールを失うこともあったりするから、なかなか思うようにはいかないもんですけど…ね。

先月から調子の悪い『しがないディーラー』。何が悪いってまず勝率が恐ろしく悪い!書くの恥ずかしいんで書かないですけど日々ベースで見ると過去最低の勝率です。それだけ確率の悪い局面で無理をしているということ。これじゃあ収益が伸びる訳がない。基本的に勝率を安定させること、最大利益と最大損失、平均利益と平均損失において常に利益が損失を上回っていること、これが実現できてさえいればおのずと数字は残るはずなんです。損益のコントロールが最低限出来ているから、今のところはズルズルにはなっていませんけど、これだけ勝率悪くっちゃどうにもなりませんね(T_T) 

ではどうやってそれを克服するのか?核心のトコですが…ぶっちゃけノーアイデアです(^_^;) こーすりゃ稼げるようになるっちゅうなら何でもしますけど…。結局のところ、相場ですしね、ヤラレるときもあれば我慢が必要なときもあります。『待つのも相場』なんて格言があるぐらいですから。今のような相場展開では、かなりツライ思いをしているディーラー、トレーダー、デイ・トレーダーも少なくないことでしょう(自分もその一人ですが…(^_^;))。一番大切なことは、マーケット環境が悪化しているときに無理をして再起不能に陥らないこと。ITバブル崩壊のときもそうでしたが、それまで順調に稼いでいた仲間が何人か消えていきました。こんなときは毎回大振りのストレートでKO狙いではなく、判定勝ちでもいいんです。あんまり守りに入ったようなコメント書くのは好きではありませんが、難しい敵と戦うときにはカッコつけても始まりません。大切なのは『勝つ』こと。この調整局面…何もこんな難しい相場で無理する必要ないんですから、焦らず、無理せず、我慢せず…小さなコトからコツコツと…こんなときこそマイペースでいきまっしょい!…と自分に言い聞かせるスランプ中の「しがないディーラー」でした(^_^;)

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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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